昨今、マス広告とは全く異なる特性を持つデジタル広告が普及していますが、なぜ現代のマーケティングにおいてデジタル広告が重要視されるのか、またインターネット広告やWEB広告との違いについて理解していない方もいるのではないでしょうか。
当記事では、デジタル広告が注目される理由やデジタル広告の種類、各広告のメリットとデメリットについて解説しています。自社にとって最適な広告を選択できるよう、ぜひ参考にしてください。
デジタル広告とは?重要視される背景も解説
デジタル広告とは、SNSや動画配信プラットフォーム、検索エンジンなど、インターネット上の多様なプラットフォームで展開される広告のことを指します。これらは通常、オンラインで広く一般公開されます。
デジタル広告の重要性が認識されるようになった背景には、全世界的なインターネットユーザー数の増加が関連しています。デジタル広告はインターネット上の様々なサービス内で表示される特性があるため、より広範なユーザー層からのアクセスが期待できます。企業が効果的にターゲットにアプローチするための強力なツールとなるため、利用する企業が増加しているのです。
マス広告やデジタル広告との違いは?
デジタル広告と対比される言葉がマス広告です。マス広告は主に以下の4媒体による広告を指します。
・新聞
・テレビ
・ラジオ
・雑誌
マス広告はデジタル広告が台頭するよりずっと前から存在し、多くのユーザーの目に留まりやすい形で打ち出されてきました。
出稿媒体以外でのマス広告とデジタル広告の違いとして、デジタル広告は、個人向けのアプローチをしやすい点があります。デジタル広告は、ユーザーの行動分析が可能なものが多く、ユーザーが求める情報に基づいたアプローチがしやすいです。またデジタル広告の方が広告費用が安く、広告を掲載するまでの期間が短いこともメリットといえます。
次にWEB広告(インターネット広告)との違いです。WEB広告とデジタル広告はほとんど同じ意味として使われています。あえて区別するとすれば、WEB広告は「インターネット上のサービスに限定した広告」であり、デジタル広告は「インターネットに限らず、ざまざまなサービス上で展開されている広告」も指すことでしょう。
デジタル広告の種類とそれぞれのメリット・デメリット
ここではデジタル広告の種類と、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
・リスティング広告
・ディスプレイ広告
・純広告
・ネイティブ広告
・アフィリエイト広告
・SNS広告
・動画(YouTube)広告
・音声広告
・メール広告
順番に詳しく見ていきましょう。
● リスティング広告
リスティング広告とは、検索エンジンの検索結果に合わせて表示される広告です。GoogleやYahooの検索エンジンで検索した際に、検索結果の上や右端の箇所にある広告を見たことがあるのではないでしょうか。
リスティング広告はデジタル広告の中で、コンバージョン率(ユーザー獲得)が高くなりやすい広告といえます。
リスティング広告のメリット・デメリット
リスティング広告のメリットは、検索キーワードに合わせた広告を表示できることです。広告を掲載したい企業は、商品やサービスごとに「ユーザーが検索するであろう検索キーワード」を見繕って広告を掲載します。
そうすることで、商品やサービスと強く関連する検索キーワードに対して広告を掲載可能です。結果として、何も知らないユーザーよりも、商品やサービスに対する興味が強いため、コンバージョンにつながりやすいメリットが生まれます。
一方でリスティング広告のデメリットは、検索キーワードによっては広告費用が高くなってしまうことです。コンバージョン率を高くしたいと思えば、人気がある検索キーワードでリスティング広告をする必要があります。しかし、人気がある検索キーワードであれば、他社もリスティング広告を掲載しており、競合となりやすいです。よって多くのユーザーが広告を見てくれるであろうキーワードにリスティング広告を掲載する場合には、広告費用が高くなってしまうことがあります。
● ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とはWebサイトやアプリの中で掲載されている、画像やアニメーションによる広告です。ディスプレイ広告は「バナー広告」の方が聞き馴染みがあるかもしれません。
メインコンテンツの横にあるサイドバーや、コンテンツ内の複数箇所に掲載されたディスプレイ広告を見たことがあるのではないでしょうか。コンテンツの内外に、ユーザーの目に留まるように掲載するタイプの広告です。
ディスプレイ広告のメリット・デメリット
ディスプレイ広告のメリットは以下の通りです。
・ニーズが不明なユーザーにも有効
・画像や動画などによる、視覚的でわかりやすいアプローチ
ディスプレイ広告はニーズが不明なユーザーに対しても一定の効果があります。ディスプレイ広告は、ユーザーのニーズの有無を問わずコンテンツの内外に目に留まりやすい特徴があるためです。
またディスプレイ広告は画像や動画による広告のため、文字と比べてユーザーにわかりやすくアプローチできるメリットがあります。
一方でディスプレイ広告のデメリットはコンバージョン率が低くなりやすいことです。ディスプレイ広告は、掲載するコンテンツと関連がない場合もあります。関連がないコンテンツに掲載された広告は無視されることも多いです。よってディスプレイ広告はユーザーの購買意欲につながらないケースが多い点がデメリットといえます。
● 純広告
純広告とは、メディアが持つ特定の広告枠を特定期間分だけ契約して掲載するタイプの広告です。広告を掲載したい期間を事前に決めておくため、途中で広告を停止することができません(停止できたとしても停止期間分の費用を掲載メディアに払うことになるでしょう)。
ちなみにリスティング広告やディスプレイ広告の場合は広告元が期間を調整し、停止をしたいタイミングで停止が可能です。
純広告のメリット・デメリット
純広告のメリットは広告を掲載する際に、掲載期間や表示回数の調整が可能なことです。純広告は費用にクリック数や表示回数の保証オプションが含まれている場合が多くあります。これにより「広告を掲載したが、広告自体ほとんど見られてもいない」という状況の回避が可能です。
リスティング広告やディスプレイ広告は、広告を出稿しても設定次第では表示やクリックがほとんどされず、広告として機能しない可能性もあります。それに対し、純広告はこうした状況になりにくいメリットがあります。
純広告のデメリットは、リスティング広告やディスプレイ広告と比べて広告費用が高くなりやすい点です。
● ネイティブ広告
ネイティブ広告は、メディアのコンテンツ間に溶け込む形で表示されるタイプの広告です。例えば、ニュースアプリを見ている際に、ニュースとニュースの間に「広告」や「sponsored」の文字を見たことはないでしょうか。
これはインフィード広告と呼ばれるネイティブ広告の1つです。「あなたへのおすすめ」など、関連コンテンツ欄にもネイティブ広告が含まれています。
ネイティブ広告のメリット・デメリット
ネイティブ広告のメリットは、ユーザーが不快感を覚えずに広告を表示可能なことです。ネイティブ広告は、ユーザーが見ているコンテンツの間に溶け込む形で自然に掲載されるため、「広告」という主張が減ります。
よって、自らの興味を持ったコンテンツとして見られることが多いため、ユーザーが不快な気分を覚えずに広告を配信することができます。
またスマホの小さい画面でもクリックしてもらいやすいことや、商品を知らないユーザーにも見てもらえる可能性を秘めている点もメリットといえます。
一方でネイティブ広告のデメリットは、メディアへの不信感につながる可能性があることです。広告だとわかりにくいため、ネイティブ広告だと思わずにクリックしたユーザーは「広告なんて見たくなかったのに」と思うこともあるでしょう。結果として、広告が多くてメディアが使いにくい、見づらいと思われてしまう可能性があります。
● アフィリエイト広告
アフィリエイト広告とは、ブロガーやインフルエンサーがメディアに掲載し、コンバージョンが発生した場合に報酬を支払うタイプの広告です。先述してきた広告との違いは「成果が発生した時点で広告費用が発生する」点です。表示期間や広告のクリックに対しては、費用が発生しません。
アフィリエイト広告のメリット・デメリット
アフィリエイト広告のメリットは、広告を掲載してもらうだけなら費用がほとんど発生しない点です。一般的に広告の制作や掲載には多くの費用がかかりますし、他の広告の場合は掲載後、ユーザーが購入してくれなかったとしても費用が発生するケースがほとんどです。
しかし、アフィリエイト広告は購入や問い合わせなどユーザーとの接点を持った時点で費用が発生するため、費用対効果が高い広告といえます。
一方でアフィリエイト広告のデメリットは、掲載メディアが検索上位に来るまでに時間がかかる点です。掲載メディアが見てもらえないことには、アフィリエイト広告も見てもらえません。
ブロガーやインフルエンサーが商品やサービスのアフィリエイト広告を取り扱い、コンテンツをたくさんのユーザーに見てもらうということは、良くも悪くもブロガーやインフルエンサー次第で結果は変わります。そのため取り扱う人によっては、広告の効果を発揮するまでに時間がかかる点がアフィリエイト広告のデメリットです。
● SNS広告
SNS広告とは、FacebookやTwitter、Instagramなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)上で展開される広告のことを指します。これらの広告はユーザーの投稿フィード内やプロフィールページなどに表示され、ユーザーの閲覧パターンや興味、活動に基づいてターゲット設定が可能です。
SNS広告のメリット・デメリット
SNS広告のメリットは以下の通りです。
・SNS自体のユーザーが多いこと
・ユーザーの分析をした上で広告を掲載できること
例としてLINEの国内月間アクティブユーザー数は9,500万人(2023年3月時点)と、日本の人口の7割以上をカバーしています。他にもFacebookやInstagram、Twitterなど世界中で身近に利用されているSNSが多くあります。SNSに広告を掲載すると、それだけ多くの人に見てもらえる可能性が高いです。利用者が多く、アプローチできるユーザーが多いことがSNS広告のメリットといえます。
また各SNSはユーザーの行動を分析しています。分析した上で広告を掲載できるため、ユーザーにとっても興味がある広告が表示されることが多く、購買につながる可能性も高くなることもSNS広告のメリットです。
一方でSNS広告のデメリットは以下の2点です。
・ユーザーの利用者層が偏る
・炎上しやすい
総務省の調査では、SNSは高年齢層になるほど利用者数が少なくなります。よって商品やサービスの利用者として高齢者を想定している場合は、SNS広告と相性が悪い可能性が高いです。
またSNSは「バズる」ことがあり、拡散力が高い傾向にあります。良い商品・サービスの広告であれば大きなプラスになりますが、万が一炎上した際には大きなマイナスとなります。
● 動画(YouTube)広告
動画(YouTube)広告は、その名の通り動画として再生される広告です。動画広告としては2種類あります。
1.広告枠で表示される動画広告(アウトストリーム広告)
2.YouTubeなど、動画の冒頭や再生中に広告を挟んで掲載する(インストリーム広告)
ちなみに普段YouTubeで動画を見ている途中で挟まる広告は、インストリーム広告です。
動画(YouTube)広告のメリット・デメリット
動画(YouTube)広告のメリットは以下の通りです。
・短時間でもわかりやすく、たくさんの情報を伝えられる
・インストリーム広告は動画の間に挟まるためユーザーに見てもらえる確率が高い
文字よりも動画の方が多く、わかりやすく情報を伝えられることは想像に難くありません。動画の方が商品やサービスのメリットを短時間で伝えることができます。またスマートフォンの普及により多くのユーザーが毎日のように動画視聴をする時代となりました。よって動画広告は多くのユーザーに見てもらえる可能性が高いです。
またインストリーム広告は動画の途中に挟まるため、ユーザーに視聴してもらえる可能性が特に高い広告です。作り方次第では認知拡大が期待できるでしょう。
動画広告のデメリットは広告動画制作に費用や時間がかかることです。動画広告の場合は、撮影や編集の時間が必要となります。制作するまでに多くのリソースを費やすことがデメリットです。
● 音声広告
音声広告は音楽配信サービスやラジオなど、音声コンテンツ内で配信されるタイプの広告です。またスマートスピーカーのように対話の内容からユーザーの興味を分析して広告を再生するタイプも登場しています。ワイヤレスイヤホンのユーザーが増えていることや音声を生成するAIの登場が後押しとなり、音声広告の市場規模は今後も大きくなっていくでしょう。
音声広告のメリット・デメリット
音声広告のメリットは以下の通りです。
・文字よりも情報を伝えやすい
・広告に対する嫌悪感が少ない
動画広告と同様に、文字よりも音声の方が短い時間で多くの情報を伝えやすいです。また音声広告は別の作業をしながらでも聞ける点がメリットとなります。音声だけの広告は目に入らないため、嫌悪感が少なくなる傾向にあることもメリットです。
音声広告のデメリットとしては、上記で紹介した他の広告と比べて広告を聞いたユーザーのその後のアクションを把握することが難しい点が挙げられます。そのため、分析結果をもとに広告を改善をすることや、広告の成果を実感することが難しい傾向があります。
● メール広告
メール広告は、その名の通りメールによる広告です。大きく以下の2パターンに分かれます。
・商品やサービス自体を紹介するメールの配信
・メルマガの購読者に対して、一部に広告を掲載
メール広告のメリット・デメリット
メール広告のメリットは既に企業を認知している人に見てもらえる点です。一度接触しているユーザーがターゲットになるため、何も知らないユーザーに比べると企業やサービスに対する興味はあるでしょう。
メール広告のデメリットは、送っても開封されない可能性があることです。タイトルや最初の数行が表示されている段階で「興味がない」と思われてしまえば、未開封のまま見てもらえることはないでしょう。
まとめ
デジタル広告が重要視される理由と、9タイプのデジタル広告について解説しました。
それぞれの広告にメリット・デメリットが存在するため、組み合わせることでメリット強化やデメリットの補強につながります。どれだけ良い商品やサービスでも、知ってもらえなければ買ってもらえることはありません。紹介する商品やサービスの特徴、広告の予算などから最適なデジタル広告を利用することで、売上増加に貢献可能です。ぜひ本記事を参考にデジタル広告の出稿を検討してみてください。