直接的な売上や利益増加ではなく、自社の認知獲得やイメージ強化を目的とした「ブランディング広告」。なんとなく知ってはいるけど、具体的な内容や種類まで把握している方は少ないのではないでしょうか。実際の運用方法も合わせて解説していきます。
ブランディング広告(ブランド広告)とは?詳しく解説
まずブランディング(branding)とは、日本語で「ブランドをつくる・構築すること、またはその活動全般」という意味です。具体的には、競合他社との区別をつけられるようなキャッチフレーズやイメージを消費者に伝え、ポジティブな印象を定着させることを、ブランディングと呼びます。
そのためブランディング広告は、商品やサービスの購入など、直接的な売上や利益増加を目的としません。商品やサービス、または企業そのものの認知獲得やイメージ向上を目的とします。例えば「○○会社の家具はスタイリッシュでおしゃれだ」とか「この食材は△△企業のものだから安心できる」など、既に印象やイメージのある企業やブランドがあるでしょう。
このように企業または商品のポジティブなイメージを浸透させることで、商品やサービスが売れるサイクルを作る、という狙いの広告戦略です。
ブランディング広告とレスポンス広告(ダイレクトレスポンス広告)の違い
ブランディング広告と間違えられやすいのが「レスポンス広告」です。レスポンス広告は、ブランディング広告と目的が異なります。
先述したように、ブランディング広告の目的は「商品やサービス、または企業そのものの認知獲得やイメージ向上」です。一方でレスポンス広告の目的は「購入や導入、問い合わせなど、消費者の具体的な行動を促すこと」となるため、売上や利益増加に直結するような広告出稿を行います。
したがって、レスポンス広告では1人1人の顧客へダイレクトに届くメールマーケティングや、検索エンジンを利用したリスティング広告などで出稿することが多いです。
ブランディング広告の種類と媒体ごとの特徴
ブランディング広告といっても、種類がいくつか存在するとともに、特徴も異なります。以下で詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
● オフライン広告
まずは、インターネットを介さずに実施する「オフラインのブランディング広告」についてです。オフラインの中でも代表的な「マスメディア広告」「交通広告」「屋外広告」の3つをピックアップして紹介します。
マスメディア広告(マス広告)
1つ目は「マスメディア広告(マス広告)」です。マスとは「大衆、大多数の人々」という意味を持つ単語であり、マスメディアはテレビやラジオ、新聞、雑誌など大多数の人々に届けられる大型媒体を指します。
そのため、マスメディア広告(マス広告)は「大多数の人向けにアプローチする広告手法」という意味です。マスメディア広告を出稿することで、届ける消費者を絞らない分、年代や性別に関わらず多くの人への認知が期待できます。
ただインターネットが普及した昨今、マスメディアを利用する消費者は減っているのが事実です。インターネットを使いこなせる若年層は、SNSやネットニュースから情報収集していることが多く、マスメディアの主な利用者は高齢者層となっています。そのため、若年層のみをターゲットにしている場合など、商品によってはマスメディア広告が向かないこともあるでしょう。
あわせて、出稿金額が他の手法と比べて高額のため、広告予算との兼ね合いも十分に考慮する必要があります。
交通広告
2つ目は「交通広告」です。その名の通り、電車やバスなどの公共交通機関をはじめ、タクシーなどの車内に掲載する広告手法になります。主に、利用者となる学生や会社員、または地域住民に対しアプローチができるため、地域密着型のビジネスに向いているでしょう。
そのため出稿する場合は、掲載する交通機関の周辺のビジネスであること、または利用者層の興味関心度合の高いビジネスであるとより効果を得やすいでしょう。
屋外広告(屋外ディスプレイ・看板)
3つ目は「屋外広告(屋外ディスプレイ・看板)」です。交差点などの目立つ場所にある屋外ディスプレイや、高層ビルなどに広告を出稿する手法になります。デザインやキャッチフレーズを印象強いものにすることで、行きかう人々の目に留まり、商品やサービス、また企業の認知拡大につながるでしょう。
ただ種類によっては、消費者よりもかなり高い場所に設置することになるため、消費者の目線で「見やすいか・分かりやすいか」などをしっかり確認することが大切です。
● オンライン広告(Web広告)
次に、インターネットを経由して実施する「オンラインのブランディング広告」についてです。昨今のインターネット普及に伴い、多くの手法が登場しています。全部で7つの手法をピックアップして紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ディスプレイ広告
1つ目は「ディスプレイ広告」です。Webサイトの閲覧時に、商品やサービス、または企業のイメージを形にした画像や、キャッチフレーズを組み合わせた「バナー」を表示させる手法になります。購買や申し込みなどを促すレスポンス広告の手法というイメージが強いかと思いますが、日々大勢の人々が使用するサイトに掲載すると、ブランディング効果も得られるでしょう。
また掲載するサイトの特徴や、利用ユーザーに合わせて広告を出稿することで、ある程度アプローチするターゲットを絞ることが可能です。そのため商品やサービスの対象ユーザーの認知を、効率よく獲得することができるでしょう。
リスティング広告
2つ目は「リスティング広告」です。検索サイトで検索を実施する際、入力された単語に合わせた広告を表示させる広告手法になります。例えば「引っ越し 単身」と検索した場合、画面の一番上に引っ越しサイトの見積もり業者や、引っ越し業者の広告が表示されるようなイメージです。
表示形式は、画像などを使用せずにテキストのみとなります。ただユーザーの興味関心度合が高い検索時にピンポイントでアピールができるとともに、画面の一番上に表示されるためクリックされやすいです。結果として、スムーズかつ無駄のない認知獲得につながるでしょう。
SNS広告
3つ目は「SNS広告」です。TwitterやInstagramなどのSNSにて、自社の企業アカウントを作成し、商品やサービスの特徴や魅力、また企業に関する情報について発信する手法になります。SNSによっては共有機能などもあるため、魅力的な投稿でユーザーの心をつかめれば、多くの人に拡散してもらえる可能性もあるでしょう。
あわせてSNSには、投稿を優先的に表示させるなどの有料広告機能が付与されています。広告から自社サイトへ誘導させられれば、商品やサービス、企業のより詳しい情報をユーザーに認知してもらえるでしょう。
動画広告
4つ目は「動画広告」です。商品やサービス、または企業そのものの特徴や魅力を動画で表現し、Webサイトや動画サイトに掲載したり、メールマガジンに掲載したりするという手法になります。動画は映像と音声で表現することが可能なため、伝えられる情報量が多いとともに、記憶や印象に残りやすいのが特徴です。
同じ映像でいうとテレビCMがあげられますが、先述したように、インターネットの普及に伴い、マスメディアの利用者数は減少しています。そのため、多くの人々が視聴するサイトに動画広告を掲載するという手法が、昨今特に注目を浴びているのです。
デジタル音声広告
5つ目は「デジタル音声広告」です。その名の通り、インターネットを介して発信できる音声広告になります。音楽ストリーミングのツールやアプリ、またはスマートフォンでラジオを聴けるアプリなどで実施が可能です。
デジタル音声広告の大きな特徴としては、スキップすることができないという点があげられます。そのため、商品やサービスの魅力など、伝えたい情報をしっかりと届けられるのがメリットです。ただ一方で、視覚的なアプローチはできないため、音声でどのように印象に残すかを試行錯誤する必要もあります。
デジタルサイネージ広告
6つ目は「デジタルサイネージ広告」です。液晶ディスプレイが設置された看板や柱に、動画などの広告を掲載する手法になります。屋外にある大型液晶はもちろん、交通機関や店舗、オフィスなどの液晶にも設置されることが多いです。
デジタルサイネージ広告は、オフラインでも可能ですが、昨今注目されている手法は、インターネットを介したオンラインのデジタルサイネージ広告です。オンラインであれば、人を感知して広告を動かしたり、見た人が操作できたり、またその操作内容を保存し、掲載企業が分析することも可能になります。そのため、接触した人々により強く印象を残すことができ、実施後の分析もスムーズに行えるでしょう。
オウンドメディア
7つ目は「オウンドメディア」です。Webマーケティングでのオウンドメディアとは、自社サイトやブログ、ウェブマガジンが当てはまります。具体的には、自社サイトやブログ、ウェブマガジンに有益なコンテンツを掲載することで、企業自体の認知はもちろん、ポジティブな印象を強めるという手法です。
ただオウンドメディアをブランディングに利用したい場合、人々の興味を引けるよう、メディア自体を育てる必要があります。他手法に比べると難しくはありますが、一定数アクセスを獲得できればオウンドメディア自体が企業の資産となり、長く活用できるのが特徴です。
ブランディング広告が必要とされる背景
なぜ売上や利益に直結しないブランディング広告が必要とされているのでしょうか。それは、人々の消費行動の変化が原因としてあげられるでしょう。
従来は、商品やサービスの機能・価格などモノ自体の価値が、選ぶ上での重要なポイントとされており、この消費行動を「モノ消費」と呼びます。
一方で昨今は、近代化によりいろいろな商品やサービスが溢れており、消費者が欲しいと感じたものは大体手に入るようになりました。そのため、機能性や価格が秀でているだけでは、売れなくなってしまったのです。
この時代の流れに伴い、購入することで得られる感動や体験など、商品やサービスの付加価値が重要視されるようになりました。商品やサービス、または企業全体のストーリー性やイメージを、購入を通していかに感じられるかという部分が選ぶポイントとなっており、この消費行動を「コト消費」と呼びます。
先述したように、ブランディング広告は「商品やサービス、または企業そのものの認知獲得やイメージ向上」が目的です。そのため、昨今の消費行動の特徴である「コト消費」に合致した広告手法であるといえるでしょう。
ブランディング広告の活用がもたらす6つのメリット
次に、ブランディング広告の活用によって得られるメリットを6つ紹介します。一つ一つ詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
①ブランドに対する認知が拡大する
1つ目は「ブランドに対する認知が拡大する」という点です。ブランディング広告を実施すれば、商品やサービス、または企業そのものを知らないという人々に、知ってもらうきっかけとなるでしょう。
商品やサービス、または企業名などが広く知れ渡ることで、業界での存在感はもちろん、消費者に強い印象を残すことができるため、他社との差別化への一歩となるでしょう。
②ブランドイメージの向上につながる
2つ目は「ブランドイメージの向上につながる」という点です。ブランディング広告とは、商品やサービス、または企業が示すイメージを全面に出した広告を指します。そのため広告出稿をすることで、認知はもちろんですが、ブランドのイメージも拡大・向上することができるでしょう。
冒頭でも記載したように、ブランドイメージが向上すれば「○○商品だから欲しい」とか「□□会社の商品なら安心だ」など、付加価値になります。結果として、購買意欲を促進できるでしょう。
③商品・サービスの単価向上が期待できる
3つ目は「商品・サービスの単価向上が期待できる」という点です。先述したように、ブランディング広告を実施すれば、商品やサービス、企業に対するイメージを向上させることができます。ただそれだけでなく、ポジティブなイメージが向上すれば、消費者が持つ信頼感も自然と強まります。
結果として、まとめて購入してくれたり、高額なものでも「購入してみようかな?」と検討してくれる消費者が増えたりと、単価向上も期待できるでしょう。
④リピーター(ファン)を獲得できる
4つ目は「リピーター(ファン)を獲得できる」という点です。ブランディング広告によりイメージ・信頼感を向上させることで、実際に商品やサービスを手にした顧客が「大事に使おう」「長く使おう」などの愛着が湧きやすくなります。
それにより、一度購入した顧客が定着したり、リピーターとして獲得できたりする可能性が高まるでしょう。顧客の定着やリピーターの獲得ができれば、収益が安定しやすくなるため、さらなる広告施策の実施などに役立てられます。
⑤競合する商品・サービスとの競争に巻き込まれにくくなる
5つ目は「競合する商品・サービスとの競争に巻き込まれにくくなる」という点です。先述したように、昨今は近代化が進み、さまざまな種類の商品やサービスが溢れています。そのため、競合他社が数多く存在するのはもちろん、差別化が激化しているといっても過言ではありません。
ただブランディング広告を実施すれば、商品やサービス、または企業のイメージやストーリー性などを伝えることで、付加価値を作り出せます。ターゲットとなるユーザーにしっかりアプローチできれば、その付加価値を選ぶ基準としてくれる可能性もあるでしょう。
そのため、結果として価格や機能面などによる競合他社との競争に巻き込まれずに、他社との差別化を図ることができるといえます。
⑥将来的なマーケティングコストの削減につながる
6つ目は「将来的なマーケティングコストの削減につながる」という点です。もちろん、ブランディング広告を実施するとなると、手法にもよりますがコストがかかります。
ただ先述したように、ブランディング広告を実施しブランドイメージや信頼度を強化できれば、商品・サービスの単価アップやリピーター獲得が期待できるでしょう。そうすれば「大々的に広告宣伝を実施しなくても、既存顧客が商品やサービスを繰り返し購入してくれる」というサイクルを生み出すことが可能です。
そのため、ブランディング広告の実施にコストがかかったとしても、結果として将来的にマーケティングコスト削減につながるといえるでしょう。
ブランディング広告を活用するデメリットや注意点
次に、ブランディング広告を活用するデメリットや注意点も3つ紹介します。導入や実施を考えている場合、ぜひメリットとあわせて確認するようにしてください。
①効果が出るまでには時間がかかる
1つ目は「効果が出るまでには時間がかかる」という点です。ブランディング広告は、長期的なマーケティング施策といえます。なぜなら、商品やサービス、また企業の認知獲得やイメージ向上を図るには、1度や2度の施策実施では難しく、何度も実施する必要があるためです。場合によっては、年単位で実施することもあるでしょう。
あわせてブランディング広告は、レスポンス広告のように、購入や申し込みなどが成果として返ってくるわけではありません。そのため効果測定を行うには、認知度調査などで行ったり、検索エンジンから検索回数のデータを集めたりする必要があるため、少々時間がかかります。
このように、ブランディング広告という施策自体はもちろん、効果測定の時間が他の広告戦略よりも時間がかかってしまうという点がデメリットでしょう。
②競合の状況によっては効果につながらない場合がある
2つ目は「競合の状況によっては効果につながらない場合がある」という点です。ブランディング広告は、商品やサービス、企業自体の認知やブランドイメージの向上を実施する広告戦略になります。そのため競合他社や大手企業などが、すでにポジショニングを確立している場合は、自社が参入しても思ったような効果を得られない場合があるでしょう。
例えば「家電といえば○○企業」とか「基礎化粧品なら△△企業」という形で、各業界でのポジショニングを確立している企業というイメージです。こういった場合、すでに顧客との関係値をしっかりと築いていたり、顧客のロイヤリティが高かったりする場合が多く、ブランディング広告を実施しても効果に繋がりにくいといえるでしょう。
③広告出稿にかかる費用が大きくなりやすい
3つ目は「広告出稿にかかる費用が大きくなりやすい」という点です。先述したようにブランディング広告は、商品やサービス、また企業を知らない消費者に対し、認知獲得やイメージ向上を目的とするため、何度も実施する必要があります。
あわせて「商品やサービスの購入や導入を考えてくれる、見込み顧客か否か」も不明な消費者に対し広告を出稿するので、レスポンス広告などに比べ費用が大きくなりやすいでしょう。
認知やイメージがある程度定着すれば、広告出稿費用を削減しても、新規顧客が獲得しやすくなったり、根強いリピーターが付いたりする可能性があります。ただ、ブランディング広告を実施する際、費用が大きくなりやすいため、実施を考えている場合は予算をしっかり確保する必要があるでしょう。
ブランディング広告の活用が特に適したタイミングとは?
では、ブランディング広告の活用が特に適したタイミングとはいつでしょうか。それは「自社ブランドを多くの人々にいち早く浸透させたい」という場合です。例として、以下のような状況があげられるでしょう。
● 新規の会社で早急に業界でのポジションを確立したい
● グローバル展開を目指している
● 既存のブランド・企業イメージを刷新したい
ブランディング広告を実施することで、認知を獲得できるとともに、ブランドのイメージやストーリー性をアピールすることが可能です。そのため、業界内のポジションや、イメージを刷新したいという場合に適しているといえるでしょう。
また国内である程度知名度やポジティブなイメージがないと、国際的に事業を広げていくのは難しいでしょう。そのため、グローバル展開を考えている場合にも、ブランディング広告の活用がおすすめです。
ブランディング広告を効果的に運用するための4つのポイント
次に、ブランディング広告を効果的に運用するためのポイントを4つ紹介します。
会社や商材の特徴や強みを分析する
1つ目は「会社や商材の特徴や強みを分析する」ことです。ブランディング広告は、商品やサービス、または企業のイメージや魅力をアピールし、多くの人々に定着させることが目的になります。
そのため、まずはアピールポイントとなる会社や商材の特徴や強みを洗い出し、自社でしっかり分析することが大切です。洗い出し・分析を行うことで、競合他社と差別化できるポイントなどがよりはっきりと見えてくるでしょう。
ペルソナを明確に設定する
2つ目は「ペルソナを明確に設定する」ことです。認知拡大が目的のブランディング広告でも、ペルソナ設定を疎かにしてはいけません。なぜなら、ペルソナを設定していないと、ターゲットが曖昧になるとともに、広告の内容や方向性もブレてしまい、どんな人にも刺さらないものとなりかねません。
そのため、広告の具体的な内容や構成を考える前に、自社の顧客のモデルとなるペルソナを設定しましょう。年齢や性別などはもちろんですが、仕事や趣味嗜好など、細かなライフスタイルまで設定しておくとより効果的です。
長期的に運用に取り組む
3つ目は「長期的に運用に取り組む」ことです。先述したように、ブランディング広告は短期間で効果を得られにくいため、一定期間必要となります。場合によっては、年単位で実施・検証・改善をする必要もあるでしょう。
そのため、ブランディング広告を実施する際は、長期的な目線でスケジュールを組むようにしましょう。効果が得られないからといって短期間で手を加えてしまうと、データ不足により逆効果にもなり得るため、注意が必要です。
効果測定を行いPDCAを回す
4つ目は「効果測定を行いPDCAを回す」ことです。先述したようにブランディング広告は「認知の獲得、イメージ向上」が目的であり、結果となります。他の広告手法のように、購入や問い合わせ件数など、分かりやすい効果が返ってくるわけではないので、効果測定が少々難しいでしょう。
ただどんな施策でも、効果を最大化させるには、実施後に得た効果を収集・分析し、改善点などをあぶり出した上で、施策自体をブラッシュアップさせるという流れが必要です。したがってブランディング広告でも、指標である「認知の獲得、イメージの向上」を定量化し、自社の目標値とともに評価し、PDCAを回すようにしましょう。
ブランディング広告の効果を測る指標と測定方法
では実際に、ブランディング広告の効果計測に必要な2つの指標と、測定方法を解説します。
ブランドリフト
まずは「ブランドリフト」です。ブランディング広告になんらかの形で触れたユーザーと、触れていないユーザーの割合を比較し、触れたユーザーにどのような効果が表れたのかを計測するという手法になります。
先述したように、ブランディング広告は購入や問い合わせ件数など、分かりやすい効果が返ってくるわけではないので、効果測定が少々難しいです。ただブランドリフトであれば、商品やサービス、企業の認知度はもちろん、イメージや購買意欲、またそれぞれどのくらい上昇したかの可視化ができます。
ブランドリフト調査の手法
ブランドリフトの調査方法は、ユーザーへのアンケート実施が主です。ただアンケートといっても紙やメールなどではなく、Web上で実施されることが多く、アンケート手法としては2パターンあります。
まず1つ目は「インバナーサーベイ」です。YouTubeで動画視聴する際、アンケート画面が表示されることはないでしょうか。広告内で選択式のアンケートが表示される形式で、ユーザーはクリックするだけで回答が可能です。そのため、ユーザーの離脱が少なく、回答率が比較的高いことがメリットといえます。
2つ目は「リードバナーアンケート」です。インバナーサーベイと異なり、アンケート用のページを個別で用意しバナーなどで配信を行い、回答を促します。そのため、回答率はインバナーサーベイに劣りますが、精密かつより詳しい内容を収集できるという点がメリットです。
ブランドリフト調査の具体的な方法
実際にブランドリフト調査をする際の具体的な方法としては、以下があげられます。
● 広告配信プラットフォームの機能を利用する
● 調査会社を利用する
昨今、さまざまな広告配信プラットフォームが存在し、ブランドリフト調査機能が付与されているプラットフォームも多くあります。代表的なものだと、Google・LINE・Facebookなどがあげられるでしょう。これらのプラットフォームでブランディング広告を実施すれば、ブランドリフト調査もあわせて実施することが可能です。
また、ブランドリフト調査を専門的に実施している企業に依頼するという方法もあります。専門家に依頼することで、自社では担えない細かな部分までデータを収集することができるでしょう。ただその分コストもかかってしまうというデメリットがあります。
サーチリフト
ブランドリフトの他に「サーチリフト」という手法もあります。ブランドリフトは、アンケートにより認知度などを計測する手法でした。サーチリフトの場合は「ブランディング広告実施後に、検索エンジンでどれほど検索されたか」を測定する手法です。
具体的には、商品やサービス、または企業名などの検索数がどのように変化したのかはもちろん、どういったユーザーに検索されているのかを可視化するというイメージになります。インターネットが普及した昨今、検索数は指標として重要なポイントといえるため、活用している企業が多いです。
まとめ
本記事では、ブランディング広告の基本的な概要や具体的な種類、メリット・デメリットについて詳しく解説しました。
商品やサービスが溢れてしまっている昨今では、今まで通りのマーケティング手法だけでは売上が伸び悩む可能性があります。ぜひ本記事を参考に、ブランディング広告の基本的な知識を確認し、導入や実施を検討してみてください。