ブランディングの方法や手順・メリット・成功のコツを徹底解説

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ブランディングの方法や手順・メリット・成功のコツを徹底解説

企業戦略を考える上で「ブランディング」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。適切なブランディングを行うと、認知度の上昇や、自社・商品の価値向上にもつなげることができます。また顧客にとっての唯一の存在となることでブランドにファンが多く付く可能性も高まり、競合との価格競争から抜けられるなどのメリットがあります。

しかし、ブランディングは分析や手順が多いため、どのように進めれば良いかわからない人もいるでしょう。そこで本記事では、ブランディングの概要から手順、行うメリット、実際の事例などを解説していきます。

ブランディングとは?意味やマーケティングとの違いを解説

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昨今、ビジネスにおいて広く使われるようになった「ブランディング」。何となく言葉を使っているだけで、その意味をしっかり理解できている方は少ないかもしれません。本章ではブランディングの具体的な意味や、マーケティングとの違いについて解説していきます。

ブランディング=他社と差別化するための施策や手法

ビジネスにおけるブランディングとは他社商品(サービス)と差別化し、独自の存在価値を高めるための施策や手法のことを指します。

「△△と言えば〇〇」というように、自社の商品が世の中から広く認知・連想され、競合他社と差をつけるための付加価値を確立することを目指すのです。商品やサービスだけでなく企業やブランドそのものなど、幅広いものがブランディングの対象となり得ます。

ブランディングとは、独自のブランドを作り、顧客や社会に対して、他にはない唯一無二のものだと感じてもらうことが大切です。その結果として商品やサービスの価値向上を目指すものとなります。

ブランドの意味・ブランドを構成する4つの要素

ブランドの意味は、特定のサービスや商品を識別させることです。

つまりブランドとは、私たちが共通してイメージできるデザインや色、キャッチコピーなどと言えます。

そうしたブランドを構成する要素には、以下の4つが挙げられます。

  • ブランド名
  • ブランドロゴ
  • ブランドのテーマカラー
  • メッセージ

これらの要素を組み合わせながらブランドを作り上げ、そしてそのブランドイメージを自社だけでなく世の中に浸透させるために戦略をとることが、ブランディングです。

マーケティングはブランディングの手法の1つ

マーケティングとは、簡単に言えば企業が売上を上げるために行う施策であり、ブランディング手法の1つです。営利企業は利益を上げ続けなければ、会社を存続させることはできません。そのため市場調査や商品開発・分析・改善など、さまざまな施策を打っていきます。

ブランディングをする上で顧客が本当に必要とする商品・サービスを提供することは大前提であると言えます。目先だけの売上だけではなく、顧客目線のブランドを確立しましょう。

ブランディングが重要視される背景とは

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ブランディングが重要視されている背景はさまざまですが、大きな理由としては、スマートフォンやSNSなどの爆発的な普及により、情報にあふれた社会になったこと挙げられます。

総務省が発表している「令和4年版 情報通信白書」によれば、2021年のスマートフォンの世帯保有率は88.6%と高い数値となっています。10年前の2011年時点では保有率29.3%だったことを考えると、急速に社会に浸透したと言えるでしょう。

今やほとんどの顧客が、何か欲しいもの、知りたいことなどがあれば検索して情報収集します。Webサイトの閲覧、SNS、アプリの活用など方法はさまざまですが、いずれにせよ情報量は莫大です。

そのため顧客や消費者は競合を含めた数多くの選択肢が与えられているため、自社の商品やサービスを購入してもらうためには、膨大な情報の中に埋もれない個性や価値を感じてもらうことが重要になりました。

こうした唯一無二の価値を感じてもらい、商品やサービスを手に取ってもらうために、ブランディングの重要性が増してきています。

消費者・企業にとってのブランディングの役割とは?

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ブランディングを行うことは、企業にとって重要なのはもちろんのこと、消費者にとっても重要な役割を持ちます。本章では、消費者・企業のそれぞれの視点からブランディングの役割について解説していきます。

消費者・ユーザー|品質保証・意味付けなど

しっかりとブランディングが確立しているものは、消費者やユーザーにとってもメリットがあるため選択されやすくなります。なぜなら「品質保証」といった安心感や、「意味付け」といった付加価値の役割を持つためです。

品質保証とはその名の通り、商品やサービスの品質を保証するものです。たとえば「カメラを買うのであれば、ここのメーカーを選べば安心」などがあるでしょう。聞いたことのない海外メーカーよりも、有名な国内メーカーの商品をつい選んでしまう、という経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。

つまり消費者からみた「ブランディングされた企業や商品・サービス」とは、商品を購入したいユーザーに安心感を与える役割にもなります。

また「意味付け」は、自分自身にブランドの価値を重ねて表現・演出するということです。たとえばスーパーブランドで考えてみるとわかりやすいです。スーパーブランドの商品は、もちろん素材や製法にもこだわりがあるでしょうが、それ以上に「○○のブランドを身に着けているというステータス」の部分が大きいのではないでしょうか。もしも無名のブランドが、全く同じ素材・製法で商品を作ったとしても、確立されたブランドの持つ「意味」という部分は真似できないでしょう。

こうした「品質保証」や「意味付け」などが、消費者目線から見たブランディングの価値になります。

企業|宣伝広告・ロイヤリティへの影響など

企業にとっては「宣伝広告」や「ロイヤリティ向上」といった役割が挙げられます。ブランディングによって、企業価値や商品価値が高まれば高まるほど、商品やサービスを手に取ってくれる人が増え、経営の安定化につながるためです。

ブランディングを高めるためには、ブランドを知ってもらうための「宣伝広告」や、実際にブランドを利用した顧客の「ロイヤリティ」が求められます。簡単に言えば、ブランドのファンになってもらうということです。

ブランディングを行う6つのメリット

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実際にブランディングを行うことで得られるメリットは、以下の6つが挙げられます。

  • 他社との差別化ができ、価格競争から抜けられる
  • 顧客ロイヤリティやLTVが向上する
  • 採用コストを抑えて人材を確保できる
  • 新市場への参入や他業界との連携がしやすくなる
  • 仕入れや宣伝にかかるコストを削減できる
  • 従業員のモチベーションが向上する

それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。

1.他社との差別化ができ価格競争から抜けられる

ブランディングを行う目的は、ブランド価値を高めることです。もしブランディングを行わなければ、自社の商品と他社の商品はどこが違うのかを、ユーザーが知ることは難しくなってしまいます。昨今では多くの類似商品が発売されているため、付加価値といった何かしらの差別化ができていなければ、たちまち価格競争に巻き込まれてしまうのが現状です。

しかし、ブランディングを行うことで価値を高め、商品やサービスの認知が広まれば、一定数のファンを獲得することにつながります。ファンは価格よりも「このブランドだから安心できる」という理由で購入するケースも期待できるようになり、こうなれば不利益を被る価格競争から抜け出すことができます。

2.顧客ロイヤリティやLTVが向上する

ブランディングは顧客ロイヤリティやLTVが向上することにもつながります。LTVとは「Life Time Value」の頭文字を取ったもので、日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。顧客が生涯を通じて自社にもたらす利益のことを指すマーケティング用語です。

顧客ロイヤリティやLTVを向上させるには、ユーザーにそのブランドを「ずっと使っていたい」と感じてもらうことが求められます。効果的なマーケティングを継続することで、ブランドの価値が高まり、ユーザーのリピート率向上にもつながるため、自社の長期的な利益にも直結します。

3.採用コストを抑えて人材を確保できる

ブランドの認知度が高ければ、採用コストをかけずに人材を確保することにもつながります。なぜなら、すでに一定の認知度が商品や自社にあるため、興味を持ってもらう確率が高まり、自然と応募者が集まってくるからです。

中には自社ブランドのファンだから応募したという人もいるでしょう。また応募してくれる人が多く集まれば、優秀な人材を確保できる可能性も高まります。またブランドに価値を感じてもらえていれば、会社への愛着や期待も強くなり、長く自社で活躍してくれる可能性も期待できるでしょう。

4.新市場への参入や他業界との連携がしやすくなる

ブランディングによって企業価値や商品価値を高めることで、新市場への参入や他業界との連携がしやすくなります。なぜなら、すでにある市場において一定の成功を収めブランド力を持っていれば、ユーザーからの信頼感もある程度高くなっているため、他の市場においても一定の成果が見込めるからです。また他業界との連携ができれば、新たなファン層の拡大も期待ができます。

ブランド力や知名度がないまま新たな市場に参入するよりも、ブランディングによって認知度が高い状態で参入した方が、新たなビジネスは成功しやすいと言えるでしょう。

5.仕入れや宣伝にかかるコストを削減できる

ブランディングは仕入れにかかるコストや、商品の宣伝などにかかるコストの削減にもつながります。なぜならブランド力が高まり、認知度が上昇することで、宣伝をしなくても商品やサービスを手に取るファンが増えていくからです。そのためブランディングを長く継続すれば、宣伝費用を抑えることにつながります。

またブランディングが成功すれば、一定の販売見込みを立てることも可能です。そのため商品を作るために必要な仕入れを行う際にも、まとまった数の原材料を仕入れるため、価格の交渉がしやすくなり、コスト削減につながります。

こうしたさまざまなコスト削減にブランディングは貢献してくれるのです。

6.従業員のモチベーションが向上する

ブランディングを行うことで、自社の従業員満足度も上がっていきます。なぜなら、自社や商品に対しての誇りが芽生え、自社商品への信頼感や期待が高まるからです。

ブランド力が向上すれば、多くの人から認知され、注目される機会が増えていきます。従業員も仕事に対して、やりがいを感じやすくなるでしょう。加えて従業員のモチベーションが向上することで、離職率の低下につながる点もメリットと言えます。

ブランディングの方法・手順を7ステップで解説

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実際にブランディングを進める方法や手順は、以下の7ステップに分けて行っていきます。

  • ブランドを構成する3つの要素を理解する
  • フレームワークに沿って現状を分析する
  • ブランドの方向性やターゲットユーザーを決める
  • ブランドアイデンティティを決める
  • 抽象的ブランドメディアに落とし込む
  • 可視的ブランドメディアを作成する
  • マス広告やデジタル広告などを利用し、認知を拡大

それぞれのステップで、具体的にどのような行動を起こしていくのか解説していきます。

1.ブランドを構成する3つの要素を理解する

まずはブランドを構成する要素を理解することから、ブランディングは始まります。

  • ブランドアイデンティティ
  • 抽象的ブランドメディア
  • 可視的ブランドメディア

以上の3つの要素について解説していきます。

ブランドアイデンティティ|ブランド価値・イメージ

ブランドアイデンティティとは、自社や商品に対して、どのような価値を感じてもらいたいか、どのようなイメージを持ってもらいたいかを明確にすることです。

ブランディングは、自社や商品を広く認知してもらうことが1つの目的です。しかし、たとえ認知が広がったとしても、理想とするイメージと異なっていては意味がありません。そのため、顧客やユーザーに持ってもらいたいイメージを言語化し、発信することが求められます。

一貫した思いを言語化し、継続的に発信することで、どのようなブランドかの理解につながるのです。

抽象的ブランドメディア|コード・スタイル

抽象的ブランドメディアとは、ブランドアイデンティティをより具現化したものです。

「コード・スタイル」とも呼ばれており、コードとはブランドアイデンティティを「言葉」で表したものになります。たとえば、キャッチコピーやスローガンなどが、コードに該当します。

一方でスタイルとは、ブランドアイデンティティを「視覚化」したものです。たとえばブランドのデザインなどが、スタイルに該当します。

ブランドアイデンティティで定めたものを、より具現化し、ユーザーにわかりやすい形で表したものがブランドメディアになるのです。

可視的ブランドメディア|クリエイティブデザイン

最後に可視的ブランドメディアです。抽象的メディアで作成したものを、具体的に形にしたものが可視的ブランドメディアです。

たとえばテレビのCMや街中にある看板、パッケージなどが可視的ブランドメディアに該当します。可視的ブランドメディアの目的は、実際にブランドとユーザーをつなぐことです。ブランドを具体化し、ユーザーとのコミュニケーションを図ることで、ブランド力の向上を目指していきます。

2.フレームワークに沿って現状を分析する

ブランディングを効果的に進めていくためには、現状のニーズや自社の強みを正確に分析する必要があります。なぜなら、きちんとした現状分析ができなけば、効果のないブランディングとなってしまい、成果につながっていかないからです。そのため以下のフレームワークを活用して、現状を分析することが大切です。

  • PEST分析
  • 3C分析
  • ポジショニングマップ
  • SWOT分析
  • カスタマージャーニーマップ

それぞれ詳しく解説します。

フレームワーク①PEST分析

PEST分析とは、自社を取り巻く外部的要因を「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の4つの視点から分析していく、フィリップ・コトラー氏が提唱した分析手法です。

それぞれの頭文字をとって「PEST分析」と呼ばれています。

PEST分析では、それぞれの外部的要因から世の中がどのようになっているかを把握し、将来はその要因がどのような影響を与えるかを予測し、対応できるようにすることを目的として行います。

フレームワーク②3C分析

3C分析とは、自社が市場において成功を収めていくために「Customer(市場・顧客)」「Company(自社)」「Competitor(競合)」という3つの視点をそれぞれ分析し、分析結果を事業計画などに活かしていくものです。

3C分析では「Customer」「Competitor」といった外部要因と「Company」という内部要因をそれぞれ分析することで、自社の市場における現在地や強みなどを客観的に測ることが可能になります。

フレームワーク③ポジショニングマップ

ポジショニングマップとは、自社の製品やサービスを他社と比較した場合に、市場においてどのポジションにいるかを分析するものです。縦軸と横軸の座標を用意し、それぞれ4つの領域で自社製品はどこのポジションか、競合他社はどのポジションかを分析していきます。

ポジショニングマップを活用することで、他社製品の市場ポジションが明確になるため、自社製品の差別化を図るのに用いることが可能です。他社よりも市場において優位なポジションを取ることで、競争においても優位性を保つことにつながります。

フレームワーク④SWOT分析

SWOT分析とは、自社を取り巻く外部環境と内部環境を「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の4つの要因から分析を行い、経営戦略などに落とし込むことを目的にした手法です。

SWOR分析を行うことで、それぞれの要因についてを視覚的に把握できます。そのため既存事業の課題点や、新規事業を行う際のリスクなども客観的に分析できるため、多くの企業で取り入れられている方法です。

フレームワーク⑤カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップとは、ユーザーが商品やサービスを購入するまでにかかるプロセスを分析する手法のことです。単純にユーザーがどんな行動をしたかはもちろんのこと、どのような思考をしていたか、どんな感情だったのかも合わせて分析を行います。

カスタマージャーニーマップを活用することで、顧客のことをより深く認識できるため、最適なアプローチや施策を打つことが可能です。そのため、顧客が商品やサービスを購入するまでのプロセスを最適化することにも貢献できます。

3.ブランドの方向性やターゲットユーザーを決める

PEST分析や3C分析を通して、ブランディングを行いたい商品やサービスの強みや競合他社の分析、市場の分析を行っていくと、自社が市場においてどのポジションで勝負すると効果的かが見えてきます。

分析を行った後は、そのポジションの場合、どのようなブランドの方向性であれば勝機があるのか、どのようなユーザーをターゲットにすれば良いのかを決めていきましょう。きちんと根拠を持って、言語化できるレベルまで落とし込むと最適です。

4.ブランドアイデンティティを決める

ブランドの方向性やターゲットにするユーザーを決定した後は、前章で解説したブランドアイデンティティを決めていきます。改めてブランドアイデンティティとは、自社や商品に対して、どのような価値を感じてもらいたいか、どのようなイメージを持ってもらいたいかを明確にすることです。明確にするためには、言語化して誰にでも伝わりやすい言葉にすることが重要になります。

5.抽象的ブランドメディアに落とし込む

ブランドアイデンティティが固まった後は、抽象的ブランドメディアに落とし込んでいきます。
どのようにすれば顧客に伝わるかという顧客視点から考え、ロゴやデザイン、スローガンなどを考えていきましょう。

自社だけで考えることが難しいと感じる場合は、製作会社などと共同で考えいてくのも1つの方法です。

6.可視的ブランドメディアを作成する

抽象的ブランドメディアまで落とし込んだ後は、いよいよ顧客やユーザーに向けての認知を目指していきます。そのためには、可視化ブランドメディアの作成をしていきましょう。

可視化ブランドメディアに万能なものはありません。なぜなら、定めたターゲットや、ブランドメディアを行う予算の範囲によって、適切な選択肢は変わってくるからです。たとえば50代の男性サラリーマンがターゲットにもかかわらず、Tiktokを選択すると効果は薄いと言えます。なぜならTiktokの利用者層は10代女性が多く、50代男性ユーザーはTiktok利用者全体の5.7%しかいないためです。

自社のターゲットとしているユーザーに対して、どのメディアを選ぶことが効果的かを考え、適切なものを選択することが求められます。

7.マス広告やデジタル広告などを利用し認知を拡大

マス広告とは「新聞」「雑誌」「テレビ」「ラジオ」の4媒体に掲載される広告を指します。マスとは「大衆」という意味が含まれているため、マス広告を活用することで、不特定多数のユーザーにアプローチできる、知名度の向上につながるなどのメリットがあります。

昨今ではインターネット上に展開される「デジタル広告」の活用も広がっているのも特徴です。デジタル広告のメリットは、データを活用してユーザーに対し最適な広告を配信できることです。加えてデジタル広告からアクセスした人数や年齢などを収集することも可能となっています。

こうしたデジタル広告の活用は広がっていますが、認知度と企業としての信頼度を高めるためにはマス広告がまだまだ影響力としては大きいでしょう。とくにテレビの普及率は2022年3月の内閣府調査で95.7%と結果が出ている状況で、依然として高いと言えます。また新聞やテレビは世間からの信用度に関しても高いため、マス広告には大きな効果があり、各企業が制作を行っています。

それなりの予算は必要ですが、ブランディングを行い認知の拡大と世間からの信用を勝ち取りたいのであれば、マス広告の活用を積極的に考えていくと良いでしょう。

目的によって方法を変えることが重要

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ブランディングは闇雲に行っても意味がありません。自社がブランディングを行う目的によって、方法を変えていくことが重要です。「誰に」「何を」「誰が」という視点から、ブランディングの方法を考えていきましょう。

「誰に」|インナーブランディング・アウターブランディング

「誰に」という視点では、インナーブランディングとアウターブランディングで考えていきます。インナーブランディングとは、内側に向けたブランディングなので、自社の従業員向けに行うブランディングになります。ブランドについての価値を理解させる、共感させるなどがインナーブランディングの目的です。

一方でアウターブランディングとは、顧客やユーザーに対して行うブランディングになります。前章で解説した、可視化ブランドメディアの作成などは最たるものです。アウターブランディングでは、ターゲットに沿った行動が求められます。たとえばブランドの認知を広げるために、シニア層がターゲットであればマス広告、10代などの若者であればSNS広告を運用するなどです。

こうした「誰に」向けてブランディングを行うかを意識していくことは重要です。

「何を」|サービスブランディング・企業ブランディング

「何を」という視点も大切です。なぜなら、商品やサービスをブランディングしたい場合と、企業そのものをブランディングしたい場合は、目的が異なるからです。

商品やサービスのブランディングを行う場合には、顧客やユーザーに対して、その存在が認識されることを目指していきます。商品をブランディングしたいのであれば、実際に店頭で目を引くようなパッケージなどが求められるでしょう。サービスをブランディングしたいのであれば、顧客にサービスを体験してもらう機会を設けてもらうなどが大切です。

企業ブランディングを行いたいのであれば、自社がどのような事業を展開しているかなどの認知を広げる施策が求められます。

「誰が」|BtoCブランディング・BtoBブランディング

BtoCブランディングは、自社が消費者に対して行うブランディングで、商品やサービスの価値を高めるために行う手法です。自社がブランディングを行う際は、ターゲットが一般消費者向けであればBtoCブランディングを考えていきます。

またBtoBブランディングは、企業間取引で行うブランディング手法です。自社が法人企業向けに行うビジネスであればBtoBブランディングを行っていきます。昨今ではインターネットの普及によって、離れた場所にいる相手と簡単にコミュニケーションを取ることが可能になりました。

そのため自社の対象となるターゲットもエリアに囚われず、広くすることが可能になり、ブランディングの重要性が高まってきています。

ブランディングを成功させる方法・コツを紹介

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本章ではブランディングを成功させる方法やコツを紹介します。具体的には以下の5つです。

  • 自社オリジナルの戦略・施策を行う
  • 一度で終わらずに実行と改善を繰り返す
  • 仮説と効果検証を忘れない
  • テレビ広告×YouTube広告など併用出稿する
  • 信頼度の高いメディアを利用する

自社オリジナルの戦略・施策を行う

まずは自社オリジナルの戦略・施策を行うことです。ブランディングにはモデルケースが多々ありますが「誰をターゲットとしているのか」「市場ではどのポジションの位置をとるのか」「どんなブランドイメージをつけたいのか」は、分析を通して自社独自のものとなっていきます。

そのため自社の強みを活かせるオリジナルのブランディングを行うことで、成功につながっていきます。徹底的にブランド力を向上させるように、戦略や施策を落とし込むことが大切です。

一度で終わらずに実行と改善を繰り返す

ブランディングは中長期的な戦略で進めていくものです。一度の戦略や施策を行い、効果が出なかったからといって、そこで終わってしまってはブランドが根付くことはありません。

ブランド力をつけるには、顧客やユーザーに認知してもらい、ブランドのファンになるまで続ける必要があります。そのためには一度きりの施策の実行で終わらずに、施策の分析と改善を繰り返して少しずつ効果を上げていくことが求められます。

中長期的な視点から、長く愛されるブランドをつくっていく意識が大切です。

仮説と効果検証を忘れない

戦略を実行する際には、ユーザーがどのような思考を持っているのかなどを分析したデータを通して「仮説」を立て、仮説が当たっていたかどうかを効果検証することが大切です。

仮説を立て、効果検証をすることで、より深い課題の把握や適切な戦略の改善、ブランディングの成功につながっていきます。闇雲に進めるだけでは、効果的なブランディングは行えないため、きちんと検証を繰り返して、次の戦略に活かしていくことが求められます。

テレビ広告×YouTube広告など併用出稿する

テレビのCMとYouTubeの広告を併用するのも方法の1つと言えます。とくに先述した通りテレビCMの影響力はまだまだ大きく、一般社団法人日本民間放送連盟・研究所の所「テレビの広告効果に関する研究」第2回調査結果によれば、テレビCMによって購入意向が向上するというデータが発表されています。

また、テレビCM接触による平均広告認知度は43%、YouTube広告は26%であり1.5倍以上の差があるため、テレビCMだけでも一定の効果が期待できるのもメリットです。

一方でテレビCMとYouTube広告と併用することで、認知度は1.1倍上昇、購買意欲が1.7倍上昇するという調査結果も発表しています。そのため、テレビのCMとYouTubeの広告を併用は、大きく成功に近づける手段と言えるでしょう。

信頼度の高いメディアを利用する

ブランド力を高めるためには、信頼度の高いメディアで露出を増やすことが重要です。信頼度の高いメディアで露出を行えば、ユーザーは安心感を覚え、購入意欲につながっていくからです。

日本新聞協会広告委員会が2021年に発表した調査によれば、信頼度の高い広告メディアは1位新聞広告、2位テレビCMであるとしています。昨今増えてきているインターネット広告については、信頼度は低いとしています。

一方で認知度をより広げるためには、YouTube広告などの積極的な活用も有効であることも事実なので、信頼度の高いテレビCMなどと組み合わせて出稿すると、より良い結果が出ると言えます。

ブランディングの成功を測る指標・KPIと測定方法

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ブランディングを成功させるためには、改善を続けて継続的に行っていくことが大切です。しかし実際に行っているブランディングの施策について、どの部分を測定すれば良いのかを理解していなければ、適切な評価にはつながりません。

本章では、ブランディングの成功を測る指標やKPIの測定方法について解説していきます。

認知度・知名度

まずはブランドがどれだけ認知されているか、知名度があるかの測定です。ブランドの認知度や知名度の測定については、以下の2点が挙げられます。

  • Webサイトへのアクセス数
  • SNSのエンゲージメント数

Webサイトへのアクセス数は、ブランドイメージが記載されているページへのアクセス数のことです。たとえばある商品のブランド力を付けたいと思い、専用のWebページを用意していた場合、そのページにどれくらいのアクセスがあるのかを見ていきます。

週ごとや月ごとに観測することで、認知度がどれくらい広がったかを知ることが可能です。

またSNSの運用をしている場合は、エンゲージメント数も大事な指標です。「いいね」や「返信」などのアクション数を観測していきます。エンゲージメント数が多くなればなるほど、認知度が広がっていると考えられるでしょう。

売上

売上も大事な指標です。とくに大切なのが、リピートした顧客やユーザーの売上がいくらかということです。なぜならブランディングの目的は、そのブランドのファンになってもらうことのため、リピーターが多ければ、ファンが増えてきている証拠と言えます。

とくに購入単価が高いリピーターは、ブランドに対しての愛着が高いと言えるので、より細分化して見ていくと良いでしょう。単純な売上ではなく、リピート率と購入単価を見ていくことが大切です。

ロイヤリティ

ロイヤリティとは、ブランドに対する愛着を調べたものです。ロイヤリティの調査方法として、DWB(Definitely Would Buy)が挙げられます。
DWBは顧客やユーザーに対して「絶対に買いたい」「買いたい」「どちらでもない」「あまり買いたくない」「まったく買いたくない」の5段階評価のアンケートを行い、割合を調査するものです。

「絶対に買いたい」「買いたい」の割合が大きければ、ロイヤリティは高まってきていると言えます。多くの企業が取り入れている手法のため、ロイヤリティの調査を行う際には活用すると良いでしょう。

まとめ

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ユーザーや顧客が取得する情報量が多くなった現代において、市場における競争優位を確保するためにも、ブランディングは欠かせない戦略であると言えるでしょう。ブランディングによって自社や製品の価値を高めていくことは、企業にとって持続的な成長にもつながっていきます。

しかし、ブランディングはすぐに成果が出るものではありません。中長期的な視点から、仮説や効果検証を繰り返していくことが大切です。ぜひ、本記事を参考に自社のブランディング戦略を前に進めてみてください。

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