モノがたくさんあふれる時代。多くを所有するほど豊かであるという価値観は薄れつつあります。昨今では、定期的に断捨離して身の回りのものを整理して暮らす習慣が浸透しています。こうした中、「中古品」というもののありかたにも変化が表れてきました。今回は、新たなトレンドとともに成長し続けている中古品市場に焦点を当てます。
ますます成長する中古市場
中古市場は、ネット通販の普及やフリーマーケットの活況と合わせて、いま成長基調にあります。経済産業省の分析によると、リユース業界の市場規模(実店舗及び EC)は、2020年に2兆5,000億円、2025年には3兆2,500億円に達すると予測しており、今後もこの拡大傾向は続いていくと見られています(経済産業省:
令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査))。
このリユース市場は、中古品売買に加えて、個人間のフリマアプリやネットオークション等を含んでいます。一般生活者同士の物品シェアがネット上の売買として気軽にできる環境が整い、商取引のスコアとして顕在化したことは市場成長に大きく影響しています。フリマプラットフォーム最大手メルカリの国内流通総額(2021年6月期)は、前期比25%増の7845億円にまで上るほどです。
こうしたフリマアプリの利用は、コロナ禍ステイホーム状況下で断捨離の機会が増え、さらにドライブがかかった見方がされています。所有主には要らないものでも、他の人にとっては買い逃したものやお店では見つからないものなど価値ある商品であり、それが日々大量に発生し続けています。この個人間のお宝のシェア市場は、一時的な活性にとどまらず、まだまだ拡大の大きなポテンシャルをもっているのです。
Tips 中古市場は、生活者ひとりひとりが豊富なストックを携えたプレイヤー。これからもっと進化を遂げていく。
リユースがもたらす新たな消費スタイル
「つねにハイクラスで最新のものを、少しでも多く手に入れたい」というのが、かつての高度成長期の価値観でした。その後バブルが崩壊してデフレが長期化し、良いものを以前より安く買える嬉しさで「モノ所有過多」に陥る傾向となりました。しかし昨今では、それは必ずしも豊かでないとして、「自分好みのモノを選び抜いて」くらしを丁寧に楽しもうというトレンドが、ニューノーマル時代のスタイルとしていっそう浸透しています。
さらに、モノとの向き合いは、個々人のくらしのレベルを超え、社会全体や未来を見据えて、より高みを目指す流れにあります。中古品はしかたなく使うものではなく、経済的合理性があり、地球環境にも良い働きをするものとして積極的に導入していこうという意識が顕著になってきています。
日本古来の「もったいない精神」に立ち返りつつ、リユースは新たな付加価値とともに市場において不可欠な存在になってきています。そのバリューは、循環の輪に参画する賢い消費スタイルとしても様々なトレンドを生んでいます。
日常茶飯の「もったいない」をかたちに。脱・過度な新鮮志向
「食べる」という毎日のことから、まず見直したい。賞味期限ギリギリで店頭から撤退した商品や、規格外、印字ミス、終売品などでメーカーなどへ返品された商品など、「店頭の新品」という枠から外れた品を簡単に手に入れることができる「フードロスアプリ」が増えてきています。最も新鮮で新商品でないといけないという概念を捨て、日常で少しでもできることからアクションしていく個々の動きがどんどん広がっています。大量廃棄という大規模な社会課題にも、日ごろの生活から消費者みんなで向き合っていけるようになっています。
「消費者実感」を信じる時代。人の手に渡ったということも付加価値になる。
使った人のクチコミが買い物の決定打になる時代。特にリアル店舗で直に商品に触れることのできない通販のケースでは、実際の使用実感はとりわけ強い説得力があります。オンライン上のフリーマーケットは、消費者同士での中古品取引であり、一貫して使い手の立場にたって、利用実感を確かめながら購入ができるという強みがあります。実際に文面で気軽に情報交換できる仕組みとなっており、運営会社による対話内容と商品評価のチェック体制も安心感につながっています。
「ビンテージトレンド」の発掘。 過去のトレンドを今のトレンドに。
リユースのマーケットは、年代をさかのぼって様々に楽しめるのも魅力。過去流行ったものに遭遇して、そのかっこよさに思わず飛びついてしまうという「レトロリバイバル」が方々で起こっています。例えば、昨今のアウトドアブームでは、グッズに凝る人ほど昔のアウトドア用品やキャンプギアを好み、リユースショップで型番指定して購入する動きがあります。また、若者の昭和歌謡ブームでは、YouTubeでの発見にはじまり、いまやアナログレコード人気となっており、ネットで大量の選択肢の中から購入できるという利便性も合わせ、大きな広がりを見せています。
「リセールバリュー」で、バイヤー化する消費者たち
最新のものの方がいつも高いわけではありません。むしろ時間とともに価値を上げるものもあります。身近なアイテムのなかでいま代表的なのが、スニーカーです。発売時は120ドルほどだったものが、現在は40倍以上の5000ドルまで上がっているものもあります。限定モノが多く、その時にしかないデザイン性で唯一無二の価値を生み、若い男性を中心にコレクターが一定層存在するスニーカーリユース市場。ネットオークションなど、それをリセールする環境が整ったことがこの活気の要因となっています。
まとめ
いまやショッピングは、日ごろのシーンにおいても、中古品も選択肢に入れて検討することが普通になってきました。また、かつて特別な骨董品とみなされてきたビンテージものも、身近な日用品として様々に取り入れやすくなっています。生活者の日常で、新品、新古品、ビンテージ、好き好きにシーンに合わせて取り入れるスタイルが定着する中、メーカーの方からも、転売プラットフォームに新商品をリリースするという新たな動きがおこっており、今後、新品・中古の垣根はますますなくなっていきそうです。
リユース市場は、個々人のモノを大切にする意識を具現化しているだけでなく、さらに経済の仕組みとしても、モノの再利用で環境負荷を最低限に抑えて経済をまわす「サスティナブル経営」を促しています。このような大きな社会貢献性を伴いつつ、これから小売りの中心へと進化していくことが期待されます。またそれは、単に無駄なくシェアすべきというストイッックなモチベーションだけではなく、消費の楽しさが千差万別に生まれていることから大きな動力がもたらされており、成長の仕組みとしても、まさに理想的な発展の軌道にあるといってもよいでしょう。
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