たとえば朝日・毎日・読売・産経・日経といった全国紙。大都市圏に暮らしている方にはなじみ深く影響力の大きい新聞ではありますが、実は各地方においては、より発行部数が多くその地域において発信力の大きな地方紙があったりします。地域のエリアキャンペーンを企画する場合、こういった地元に根差したローカルメディアと組むことでプロモーションを大きく発展させることが可能になります。もう少し詳しく見ていきましょう。
ローカルメディアの特性
規模と予算
ローカルメディアとひと言でいっても地方紙やテレビのローカル局、タウン誌や屋外広告など様々あります。デジタル広告にしてもエリアを限定してターゲットに届かせることは可能なのでローカルメディアの機能は備えていると言えます。概して言えるのはそのエリアの世帯数や人口、および発行部数におよそ比例した価格体系を取っているので、比較的安価にキャンペーンを実施することができるということです。またその地域に本社があるメディアは、それぞれの地域の産業に太いパイプを持っているので、地元ならではの思いもよらぬ切り口でメディア発の広告企画を実現することも可能です。
新聞各社の県別発行部数
たとえば新聞を見てみると、全国紙の中でも最大部数を誇る読売新聞が地元の地方紙より発行部数が上回っているのは、首都圏と大阪を中心とした10都府県のみ。その他の地域では各地方紙の部数が上回っています。県によっては10倍以上の開きがあったりします。さらに、西日本新聞、中日新聞、北海道新聞については「ブロック紙」と呼ばれ、地方紙の中でも特に部数が多く、地元への影響力が強い新聞と言えます。ですから単純に広告枠で出稿を考えた場合でもこれらの地方紙を活用しない手はないのです。
タウン誌の存在感
新聞やテレビに比べて規模は小さくなりますが、タウン誌はその名の通りより細分化されたエリアに密着し地元のグルメや観光情報などを取り上げている媒体です。その地域への出店告知など、予算を抑えたピンポイントでの広告出稿も可能ですし、編集長の個人的な人脈などから地元でのキャンペーン展開に大きな広がりを持たせることも場合によっては可能になります。また、全国規模の出版社が特定のエリア限定で出版しているタウン情報誌もあります。雑誌形態のものの他、新聞形態(タブロイド型が多い)のもの、有料のもの、無料配布のものなど、種類も多彩です。これらタウン誌も、ものによっては全国誌に引けをとらない発行部数を誇るものがあります。 多くのタウン誌は広告枠を設定していますが、タウン誌そのもののイメージや購読者プロフィールは地域によってまちまちで、広告出稿する際はそれぞれのメディアの特徴について情報を集める必要があると言えましょう。
Tips 各県にはそれぞれ影響力の大きな媒体が存在するので、そのパワーを活用する。
エリアキャンペーン
地元のパワーを生かして
地方メディアの強みはなんといっても地元の産業やステークホルダーとの横のつながりです。その地域においてのメディアの信頼度は非常に高いものがあるので、広告出稿に付帯して何かしらのイベントや施策を実施するときにも、媒体社を間に置くことでとてもスムースに話が進むことがあります。
ローカル局とのタイアップ事例
たとえば地方テレビ局が提供しているプロモーションには次のようなものがあります。ある商品を地域に売り出したい場合、まず地元放送局で番組内のインフォマーシャルで紹介。その映像や番組で取り上げられた事実を印刷物にし、地元で有力な流通小売店に依頼して商品とともに掲示陳列してもらうといった手法です。なかなか大都市圏では実現しづらい、業種をまたいだ販促施策が日常的に可能だったりします。もちろんそれにはいくつかの条件や交渉を経ることが必要ですが、地方紙も含め、このようなローカルならではの横の連携施策が実現できることが多いのです。
Tips ローカルならではの業種をまたいだタイアップも可能。
地域限定のテストマーケティング
全国展開の前に
このような特性を持ったローカルメディアですが、企業がエリアキャンペーンを行う目的は大きく2つのケースがあります。一つは、そのエリア限定のキャンペーンの場合。代表的なケースは地元の企業がその地域で優位性を保つために恒常的なプロモーションを実施している場合です。その時に前述のようなメディアを活用することはとても有効です。もう一つは商品を全国展開する前にエリアにおいてテストマーケティングを行うというケースが考えられます。いきなり全国規模のキャンペーンを行うにはまだ市場データが足りない、予算も投入できないといった場合です。上手に地域を選べば費用を抑えた形で、全国に相似したマーケティング成果が得られるというわけです。
テストマーケティング王国・静岡県
ちなみにこのようなテストマーケティングでしばしば選ばれる地域に静岡県があります。静岡は全国平均に近い年齢別人口構成比をもち、住民の意識や経済的数値なども全国平均。さらに東部、中部、西部の3つの産業構造の違う経済圏があり、エリアを比較したり統合しながら結果を眺められるメリットもあります。つまりテストマーケティングを行うには条件のそろったエリアと言われています。もちろん静岡以外にも好条件のエリアはあるので、商品の課題に沿って選択していきましょう。
Tips テストマーケティングの手段としてローカルでのキャンペーンを考えるのもあり
まとめ
地元の企業であれ、全国規模の企業であれエリアでのキャンペーンを考えるときには、地元をよく知るローカル媒体社と連携しながら企画を立てることがより立体的かつ有効な施策につながります。しかも比較的金額も抑えた形で実施が可能です。ただし、それにはいくつかの条件や交渉事も必要になってくるので、各媒体社と歴史的に深いつながりのある総合広告会社に相談してみることも一つの手段です。