「えっ、この人もう60?」「今の70代ってずいぶん若いよね」…ますますシニアの若返りを感じる昨今。さらにアクティブに、おしゃれに、悠々自適にくらす、そんな素敵なおとな像を描きがちですよね。
でも、これから人生100年時代。シニアといっても、50代からその親世代、さらに祖父母世代までと幅が広いのです。また、素敵な側面だけで人生を突破できるとは限りません。これからシニアはもっと多様化し、変貌し、ますますマーケットにおける重要性を増していきます。
超高齢化社会とシニアマーケティング
日本が迎える人生100年時代
まず、現在のシニアをとりまく環境をみてみましょう。日本はいわゆる超高齢化社会に突入しています。高齢者が占める割合は伸び続け、2026年から中位年齢が50歳を超えていきます。日本社会では、年齢の分布でみると50代はミドルど真ん中なのです。あの国民的長寿アニメのお父さんは設定年齢54歳。昭和の当時、半ば隠居のおじいちゃんように描かれています。一方、令和の現在では、今年50歳になる大物俳優が恋愛ドラマの主役を演じつづけています。つまり、今の50代はシニアどころか、センターとして若々しく社会の一角を担う存在です。そして、これからの社会は、ある程度年齢を重ねているほうがむしろスタンダードだともいえます。かつてよりも相対的な若さを手に入れ、長く社会の中心を生きていく時代にいるのです。
「サバイバル時代」へ突入!
若々しく長く人生を楽しめる時代へ。希望のある方向にむかっているようですが、現実はたやすいものではありません。景気低迷長期化、政府・自治体の財政状況の逼迫による、介護保険の負担増や年金先送りなど、お金の問題は山積で見通しが立ちませんし、長寿の暮らしを保障する環境は万全とはいえません。生涯現役が理想だとしても、働き口の確保は年齢とともに難しくなりますし、加えて健康メンテナンスも必須です。また、高齢者の単身世帯化が進んでいます。孤立は生きがいの低下をもたらし、重大な健康リスクになりうるという見解もあります。これからは、人とつながって健やかに安全に楽しく暮らす、生き方の創意工夫が個々において求められるのです。日々知恵と体力をもって自ら道を切り開き、自らを末永く養い続ける。一人ひとりが長期戦の人生に挑む「サバイバルな時代」に入っているともいえましょう。
注目すべきおとなたち
どのように100 年を生き抜くのか、まだその正解やロールモデルは明確ではありません。これからの「おとな」の生き方は、その意味で注目に値します。新卒入社、年功序列、終身雇用をベースとした、「右へ倣え」的な日本型雇用ルートを経て、そこからいかに独立を遂げるか。これからのおとな達の生き方は、次世代にとっても先行指標として課題解決のヒントにもなり得ます。とりわけ注目なのは、現在いわゆる定年前後のステージにいる「アラカン層(=アラウンド還暦層)」です。新しい生き方のお手本を編み出し、これからの潮流を牽引する新たな社会のリーダーとしてカギを握っています。
Tips シニアは「若々しいリタイア」から、「若いおとな時代のリーダー」へ。アラカン層のこれからに注目。
シニアトレンドから読み解くシニアマーケティングのインサイト
シニアマーケティングで注目のアラカン層は、どんな人たちか。
平均寿命が70代のころは、60まで勤め上げれば安泰でした。しかし、これからは50代からが正念場。人生半ばにおいて、乗ってきたレールの終わりに途方に暮れる「50ショック」に直面してしまいます。しかし覚悟をきめてポジティブに切り替えていくしかありません。アラカン層のあいだでは、すでに、たくましく賢く、手ごたえのある楽しい人生の模索が始まっています。
5つのインサイトから読み解く 新たな生き方トレンド
100年時代の岐路に立つアラカン層。彼らならではの生き方の模索から、新たな市場トレンドの兆しも見えています。これからのマーケティングのヒントとして、新たなライフスタイルを導く5つのインサイトをご紹介します。
インサイト① 豊富な知恵と時間で「他世代サポート」したい
若いころにはない、これからの自分にあるもの。それは、豊富な知恵と時間がなせる、心の余裕や懐の深さ。そこから、忙しい世代へのスキマサポートとして新たな価値が生まれています。いま、おかあさんや家族のようにほっこりしたひとときをくれるシニアの存在が、家事サポートやファストフード店などの場で、特に忙しい若者たちから喜ばれています。殺伐とした空気を和らげ、都市を人間味のあるものにしてくれる、ストレス社会における、新たな「おとな」世代の役割が見えてきます。
インサイト② 自分の信用力・成果を「可視化」したい
今まで組織の中で肩書をもって生きてきたあと、定年後はポジションがあいまいになってしまう。それは、会社人生に邁進してきたひとにとっては、大きな不安でもあり、自信喪失にもつながっていきます。そんな中、「社会貢献活動の表彰システム」や、「AIやビッグデータ活用による融資査定スコア化サービス」などが注目されています。自分の価値が見える化でき、社会の一員としての手ごたえと信用を得られるものが評価され、おとな達の活動を活性化する動きもあります。
インサイト③ 「自由な拠点」を確保して、しがらみなく生きていきたい
組織人としての役割を終え、家族との関係性もゆるやかになるなか、時間の自由のみならず、場所の自由も欲しくなります。郊外や近場の田舎のマイ別荘で過ごし、週末だけ自宅に戻ったり、庭に自分のスペースを確保して「小屋別居」をしたりと、家族と一定の距離感を保って暮らす先進的なライフスタイルが始まっています。それは「個人としての」拠点の確保であり、自分らしい活動に没頭しながら社会との新たなかかわりを得られる、非常に有益なもの、とも言えるかもしれません。
インサイト④ 「厳選した良品」で上質な暮らしがしたい
モノにあふれた時代。長く生きた分だけたくさんの所有物に囲まれ、放っておくと家全体が埋もれてしまう事態にも。特におとなになったら、「これだけ持っている」という満足感よりも、一日一日限りあるものとして、「自分らしく充実した彩りのある暮らし」のほうが大事になってきます。「終活断捨離」としてネットのフリーマーケットの出品の先には、選りすぐった大切な良品とともに、丁寧に上質に日常をくらす理想があるのです。
インサイト⑤ 自然のなかで、遊びながら「自力」を育みたい
これからは、自分の力でできる限り自分を養い続けなくてはいけない。健康でいることは、生き続けるための義務でもあります。そうした中、歳とともに芽生える自然への愛着とともに、自然で自分のカラダを鍛えて生き抜いていこうという動きがあります。50 歳からのダイビング初心者ライセンス取得コース、電動スポーツサイクル、キャンピングカーなど、人生を生き抜きたいおとなゴコロをくすぐる、アウトドア商品が出始めています。
Tips これからのシニアは、消費だけで終わらない!生きる知恵に富んだビジネスパートナーとしても重要に。
これからのシニアマーケティング
マーケットの中で大きなボリュームを占め、新たな大きな動きを見せるシニアカテゴリー。軌道に乗っているサービスをヒントに、様々な領域でどんどん価値を創出できそうです。
しかし、ただ既存のものに似たものを作ろうとするのでは成功まで導けません。まずターゲットインサイトにミートしたものかを丁寧に検証して、さらなる差別化価値を見出すことが重要です。
今回は、新たな市場価値を創出する牽引層として、現在60歳前後の「アラカン層」に注目しましたが、そのあとに続く50歳前後の世代、団塊ジュニア世代はまた別の特性をもっています。人口ボリューム自体が大きい70代以上の団塊世代のニーズも別物であったりします。どんな領域のものやサービスを持っていて、どのターゲットにどんなインサイトをもとに新たな価値を生み出すのか。シニア市場へのチャレンジは、プロのナレッジを大いに活用し、綿密に検証しながら進めていきましょう。
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