デジタル広告の中でも、動画広告への注目が高まっています。WebサイトやSNSを見ていて、動画広告が増えていると感じている方も多いでしょう。なぜ、動画広告が増え、どんな利点があり、どういった活用がなされているのでしょうか?さらに、動画広告を活用するとき、どんな点に留意すればいいかを見ていきましょう。
動画広告市場の伸びとその背景
動画広告市場の推移
伸長著しいインターネット広告市場ですが、その中でも近年、動画広告の伸びが際立っています。2022年には6,178億円に拡大し、前年比で約120%の成長率を維持すると予測されています。インターネット広告媒体費においても、動画広告が約2割を占めるまでになっています。
動画広告の成長の背景
なぜ、マーケティングにおいて動画広告が注目され、増えているのでしょうか? それには、①メディア環境 ②通信テクノロジー ②生活者の動画リテラシー の3つが影響していると考えられます。
①メディア環境の変化
何よりもまず、スマートフォンの普及があります。2021年スマートフォンの所有率は9割弱に上り、さらに増加傾向で、国民全員がスマートフォンを持っている状態に迫りつつあります。所有率は若年層で高く、10・20代で約98%、30~50代で9割前後。高齢者の所有はそれほどでもないと思われがちですが、70代で8割弱の普及率になっています。
②通信テクノロジーの進化
移動通信の高速化・大容量化も、動画広告の伸びを支えています。2020年から5G(第5世代移動通信システム)サービスも始まり、より高画質で遅延のないノンストレスでの動画視聴が可能になったことも、動画広告の成長に拍車をかけています。
③生活者の動画リテラシーの向上
こういったメディアおよび通信環境の変化にともない、YouTubeやTikTokなどの動画サービスが人気となり、何気ない空き時間にスマホやPCで動画を視聴することが、当たり前の生活スタイルに。さらに、コロナ禍も生活を大きく変えました。NHK放送文化研究所のアンケート調査によると『コロナ禍で増えた生活時間』に対して「インターネット動画視聴」が全世代で約3割、20~30代では、5割を超えて回答の1位となっています。
Tips 「スマホ」「5G」「コロナ」が動画広告を押し上げた
動画広告のメリット
動画広告の成長が、広告クリエイティブに新しい可能性を与えています。映像表現だからできること、その主なメリットを見ていきましょう。
アテンション(注目)が得られやすい。
人は、動きのある方に思わず目が行ってしまいます。テキストや静止画像の多い画面の中で動画があると、自然と注目が得られ、広告クリエイティブで大切なアテンションのためには、非常に有利となります。
多くの情報を分かりやすく伝えやすい。
動画は、テキストや静止画に比べて動きと音声があるため、視覚と聴覚の両方に多くの情報を訴えかけます。視聴者は、読んだり解釈したりする手間が省けて、理解しやすく印象にも残りやすくなります。特に、解説が必要な新しい商品・サービスを伝える場合、How to動画として非常に有効な手段となります。
ストーリーを伝えられる。
動画広告の表現は、ストーリーを加えてクリエイティブすることができます。商品サービスに込められた企業の想いや、商品・サービスが生まれたエピソードなどを、よりエモーショナルに伝えられます。情報を伝えるだけでなく、心を動かしてファンになってもらうコミュニケーションに有効で、ブランディングのために動画広告が使われることが多くなっています。
ターゲティングができる。
動画広告もデジタル広告の手法のひとつであるため、ターゲティングした配信が可能です。そのため、ターゲットのライフスタイル・嗜好・ニーズといったことをインサイトとして、ピンポイントでそのターゲットの興味・関心や購買へのアクションが得られるように、より具体的な内容で表現をつくることができます。
効果測定がしやすい。
デジタル広告であれば、商品・サービスの販売促進に関する効果測定は、クリック数やコンバージョン数(問い合わせ件数、会員登録数など)でチェックできます。効果測定を通して改善点を見つけ、コミュニケーション効率を上げていくことが可能なのです。ちなみにネットでの動画広告には視聴者が途中で離脱できる「スキッパブル広告」がありますが、ブランディングを目的とする表現についての効果測定は、途中でスキップせずに視聴した完全視聴率や再生時間などで測ることが一般的で、離脱率を下げるために表現の流れを計算して作る等の工夫がなされます。
Tips 表現の豊かさとデジタル由来のメリットが動画広告の「強み」
テレビCMと動画広告の連携
動画広告は、上で述べたような特長やメリットがありますが、広く、素早く認知を上げるには決して効率的とは言えません。「企業名の認知度を早期にアップさせたい」「新しい商品・サービスを、世の中に広く知ってほしい」といった場合には、テレビCMの認知力にはかないません。こういった場合、認知力のテレビCMと表現力のネット動画を連携させることで、ターゲットの認知・興味・共感を広く深くつかむ手法があります。主な連携方法としては、以下のような形がよく使われます。
「続きは、Webで」型
テレビCMで商品名や特長をセンセーションに伝えて認知・興味を上げ、ネット動画で購買ターゲットに内容を伝えて、アクションへとつなげていく手法です。
「詳しくは、Webで」型
テレビCMで販売促進のプレゼントを告知してより多くの人のキャンペーンへの認知・関心を高め、ネット動画で詳しい参加・応募方法などを伝える手法です。
「Webにて、公開中!」型
テレビCMで魅力的なストーリーの短縮版や予告編をオンエアして認知と興味を高め、ネット動画で長尺のストーリー全体やシリーズ表現を伝えて、ファンを獲得する手法です。特に、企業のブランディングの際にとられることが多い手法です。
Tips テレビCMの持つ瞬発力・認知力との連動で、オールマイティに!
動画広告クリエイティブの留意点
表現力に優れた動画広告ですが、表現クリエイティブを考える際に、どのようなことに気を付けなければいけないか? 主な留意点について見ていきましょう。
スキップされないようにする。
動画広告は、秒数の限られているテレビCMとは異なり、長い尺(秒数)も可能です。ただし、長尺動画は基本的にスキッパブルですから、視聴者は見ている途中で興味・共感がないとすぐに離脱してしまいます。特に、動画広告のコンテンツ数が非常に多くなっている現在では、その傾向が強まり、場合によっては「広告はウザいもの」として捉えられかねません。スキップされないようにする、またはスキップされても一定の役割を果たせるようにするには、冒頭で「問題提起」「お勧め情報「」ユーザー共感」など、ターゲットに自分ごと化できる内容を訴えかけることが有効です。
ターゲットを明確にすること。
動画広告は、より具体的な内容を共感できるストーリーで表現して、商品・サービスをターゲットに自分ごと化して伝えることができます。そのためには、逆にターゲットを明確にすることが大切です。年齢、職業、家族、年収といったデモグラフィック情報だけでなく、ライフスタイル、趣味、嗜好、生活願望などサイコグラフィック情報もインサイト(洞察)して、ターゲット像を設定(ペルソナ化)しましょう。
動画配信プラットフォームの特性
動画広告を配信するプラットフォームには、様々な種類があり、各動画サービスに集まるユーザーには、年齢層、求めるライフスタイル、動画の質など、個性に異なる傾向やトレンドがあります。動画プラットフォームからの視聴者流入を期待するには、そのトレンドを踏まえた広告クリエイティブを提供することが重要です。そうでないと、スキップされたり、「ダサい!」と嫌われたりするので注意が必要です。また、動画配信サービスによって、動画の形式やサイズが異なります。例えばユーチューブでは横長、インスタグラムでは縦長といったように、動画の表示方法にも違いがあります。
Tips 動画氾濫の中、動画広告のクリエイティブにも工夫と注意が必要
主な動画配信サービス
動画広告には、 ユーチューブといった動画コンテンツの中(前後や途中)に配信されるインストリーム広告と、Webサイトのバナーやアプリのフィード等の動画の外に配信されるアウトストリーム広告があります。構成比は、インストリームが約6割、アウトストリームが約4割となっています。より多くの視聴者に見てもらうためには、ユーザー数が多い動画配信サービスのインストリーム広告を使うことをお勧めします。以下に、主な動画配信サービスの特徴を上げておきます。
ユーチューブ
日本における月間アクティブユーザー数が、6,000万人以上に上る最大の動画配信プラットフォームです。幅広い年齢層に利用され、圧倒的なリーチを誇っています。見たい動画の前後や途中に動画広告が入るので、見てもらえることが多い反面、ユーザーがつまらないと判断するとスキップされてしまうので、クリエイティブに工夫が求められます。5秒でスキップできるスキッパブル広告と終わるまでスキップできないノンスキッパブル広告があります。
インスタグラム
近年、若者を中心にユーザー数を伸ばしでおり、日本国内での月間アクティブユーザー数は3,000万人を超えています。もともと写真を投稿するSNSであるため、「インスタ映え」という言葉で知られているように、ユーザーの映像の質に対する意識が高いのが特徴です。逆に、そういったターゲットに適するブランド、商品・サービス、動画広告クリエイティブを提供することが成功のポイントです。
フェイスブック
日本国内ではユーザーに40~50歳代のビジネスパーソンが多いのが特徴で、月間アクティブユーザー数は2,500万人以上です。ユーザーの属性が他に比べて細かく登録されるため、ビジネス関連の商品・サービスや企業ブランディングに適しており、ターゲットもより細かく設定できます。
まとめ
動画広告が注目され伸びている理由、その特長や留意点を見てきました。これからもますます市場環境や技術が進化・成熟することが予想されます。ユーザーやメディア、配信サービスのことをよく理解した上で、広告クリエイティブの幅と深さを広げることが、動画広告を上手く活用する上で重要と言えるでしょう。
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