昨今、音楽配信サービスや個人でも気軽に配信などが出来るポッドキャストサービスの充実などに加え、音声SNSの登場、さらにはワイヤレスイヤホン、スマートスピーカーやコネクテッド家電などハードの充実も追い風となり、「音声コンテンツ」の市場は世界的にも、そして日本国内においても盛り上がりを見せています。
日本における音声コンテンツの代表である「ラジオメディア」もその価値が見直され始めています。元々持っていた他メディアには無い特有の強みに加え、インターネットラジオアプリ「radiko」の登場により、若年層を中心に新たなリスナー層を獲得し始めているなど新しい動きが活発になっています。
今回は、今の時代における古いようで新しい「ラジオメディア」の特徴をまとめていきたいと思います。
音声市場の概況とラジオ
音声市場には、今、様々なコンテンツ形態やプレイヤーが存在しています。
Audibleに代表されるようなオーディオブックサービス、SpotifyやAmazon Musicなどの音楽配信サービスなど「音声コンテンツを聞いて楽しむサービス」に加えて、誰でも気軽に「音声コンテンツを配信できる」ポッドキャストアプリなどの音声配信サービス、Clubhouseのような音声SNSなどのプラットフォームが充実し、スマートフォンやインターネットを通じて、あらゆる人が様々な音声コンテンツに触れている時代になっています。
その中でラジオは「プロが作った音声コンテンツ」を届けるメディアの代表格として存在しており、ラジオ放送局でもデジタルに対応した様々な取り組みが行われています。
特に、2010年から開始されたインターネットラジオアプリ「radiko」は、全国の民放ラジオ放送局の番組が加盟し、番組をそのままスマートフォンで聞けるサービスとしてラジオの新しい可能性を拓く重要なインフラとなっています。コロナ禍において、自宅における音声コンテンツ利用は増加の流れにあって、若年層を中心に着実に利用者を増やし、ユニークユーザー数は1,000万人に届く勢いとなっています。
右肩上がりの音声市場において、古くて新しいメディアとして「ラジオ」に新たに注目が集まっています。
Tips 様々なサービス登場の音声市場で、radikoの登場でラジオにも注目が
ラジオメディアの特徴
ラジオメディアの特徴をあらためて整理してみます。
習慣聴取媒体である
出勤時間、とりわけドライバーゾーン(朝夕の自動車通勤帯)に代表される定期的な時間帯や、番組あるいは放送局ごとにリスナーがある程度固定されているのが大きな特徴です。そのため、番組聴取中のザッピング(チャンネルをしきりに変えること)が少なく、同一リスナーに繰り返し接触が可能になる事から、同時間に流れる広告や情報には何度も接するので、知らずと商品やサービスを覚えてもらいやすくなります(フリークエンシー効果)。
パーソナリティによる「双方向性」
番組には多くの場合「パーソナリティ」が存在しており、リスナーとのパーソントゥパーソンのやり取りをメインとしながら、番組構成がなされています。このパーソナリティという他メディアには無い独特の存在がリスナーの安心感や親近感を醸成し、疑似的なコミュニティを生み出します。コロナ禍において、若年層をはじめとした新規リスナーを取り込めた要因の一つに、リスナーとの対話を基調とするこの特徴が起因したとも分析されています。
「ながら聴取」メディア
音声メディアは唯一、目を使わないメディアであり、他作業をしながら接触できます。また、目を酷使する現代では目を休ませる事が出来るのも特徴であり、視覚を使用しないことでイマジネーションを掻き立てる効果もあります。(イメージトランスファー効果)また、このながら聴取の性質上、番組内などで流れる広告のスキップはほとんどされないという特徴も持っています。
インターネットとの親和性
radikoの登場で、よりSNSとの連動やインターネット上のサービスとの融合が可能になりました。ラジオの特徴でもあるパーソナリティ(時にはアーティストや俳優など)には、例えばTwitterでは多くのフォロワーが存在し、番組進行と同時にリスナーやファンによるネット上での情報拡散が期待できます。
radikoのサービス機能による拡散効果
radikoのサービスである「シェアラジオ」は番組自体をSNSにシェアできる機能。これに加え、聞き逃した番組を聞ける「タイムフリー」や全国の番組を聞ける「エリアフリー」によって、番組がまさに音声コンテンツとしてSNS上にて拡散し、リアルタイムはもちろん、放送終了後も今まで聴取習慣のなかった新たなリスナーを獲得する事が出来るようになりました。例えば、人気タレントがパーソナリティを務める深夜番組を、タイムフリー機能を利用して朝の通勤時間帯に聴く、というような聴取スタイルが増えたのです。
(一部機能はradikoの有料会員向けサービスとなります。)
Tips ラジオの特徴・5つのキーワードは「習慣聴取」「元祖・双方向」「ながら聴取」「ネットとの親和性」そして「radiko」
ラジオ広告の種類
ラジオ広告には様々な形態がありますので簡単にまとめてみます。同じ放送メディアであるテレビと同様の広告の他、ラジオならではのものもあります。
スポット広告
ステーションブレーク(番組と番組との間、もしくは番組内のコーナーとコーナーとの間の放送枠)を中心に、露出していく広告です。
ラジオの場合、基本は20秒広告となりますが、5秒や10秒、30秒さらには120秒までの長尺など様々な秒数での展開が可能です(事前に調整が必要です)。
音声メディアの特徴を生かしてTVCMの楽曲と連動させたり、サウンドロゴをメインとした短尺CM、メッセージをしっかり伝える長尺CMなど様々なクリエーティブを活用できます。また、音声CMは動画CMと比べ比較的安価に制作可能な場合がほとんどですので、色々なタイプのCM素材を制作できることもラジオCMの特徴の一つでしょう。
タイム広告
いわゆる番組やコーナーの提供によって、番組中のCM枠を使用する広告です。番組提供により、狙ったリスナーに効率よく訴求できます。また、ラジオはテレビと比べて提供料が安価ですので、1社提供がしやすく、番組名に企業名や商品名、サービス名を入れることで提供効果を高めたり、番組内での商品・サービス訴求したりする交渉もし易くなります(パブリシティ)。
番組提供以外にも、パーソナリティが番組の流れの中で長尺で商品広告をする「生CM」、定時を知らせるアナウンスに企業名や商品・サービス名を加える「時報」などの人気枠もタイム広告の一種となります。
radikoオーディオアド
radikoにて配信する番組内にて、ユーザー属性や嗜好性に合わせた広告を個別に差し替えてターゲティング配信するサービスです。
インターネットにおけるデジタル広告と同様、ターゲット一人一人に合わせた個別配信が可能になります。ラジオの広告の可能性を拡げる取り組みとして、今、大きく注目されています。
Tips 【広告枠】スポット、タイムの他、radiko配信を使った個別配信も
まとめ
かつてオールドメディアと言われたラジオも、昨今の音声コンテンツ市場の隆盛、そして、デジタル化により大きく変わろうとしています。一方、本来ラジオメディアが持っていた「親近感」や「柔軟性」さらには「地域密着」などの特性が新たに見直され、新しいメディアとして捉える向きも出てきています。広告の打ち手の一つとしてこの古くて新しい「ラジオメディア」の活用も視野に入れて、効果的な広告活動を検討してみてはいかがでしょうか。
広告活動の計画立案・効果検証実務を基本からサポート 「ウリアゲ拡大並走サービス」
広告について、こんなお悩みありません?
- 「新聞、雑誌、ラジオ、タクシーアド…たくさんある広告、何を選べばいい?」
- 「社内にマーケティングの専任担当者がいない」
- 「小額予算なので、手堅く使いたい…メディア出稿より先に出来ることはない?」
- 「社内レポートのフォーマットやルールを一緒に作ってほしい」
ウリアゲ拡大並走サービスでは、貴社の広告に関する実作業をプロに相談できます。
「ラジオの教科書」を無料ダウンロードする
ウリアゲガンバでは、ラジオ広告に関わる基本的な情報を掲載した「ラジオの教科書」を無料ダウンロードできます。「ラジオってどんな人に聴かれているの?」「ラジオ広告って聴くの?」「radikoってどうなの?」そんな疑問を解決します。