企業がメディアから注目されて取り上げられることで、企業名やブランドの認知度を高めることができます。認知度が高まると、新規営業開拓や人材採用などに有利になります。テレビの経済番組、経済誌、ビジネス系のネットニュースなどが、企業のどのようなポイントを見て取り上げているのかを解説します。
PRはニッチでもNo.1であることがベスト
当然のことですが、まず会社の事業に強みがあることがベストです。この事業の強みをどのように表現できるかによって、取材される可能性が大きく変化します。市場規模が大きな業種でシェアNo.1の売上があったり、世界的に注目される領域でIPO間近と目されていたりすれば、特に広報活動をしなくても取材依頼が舞い込むでしょう。しかし、そのような環境下にある企業は限られています。
その中で目指すべきは、どんなにニッチでも良いので、業界No.1と言えるものを持つことです。売上、利用者数、顧客満足度、認知率など切り口はいろいろとあります。第三者機関の調査結果による数値で表現することが重要ですが、どうしても難しければ自社調査でも構いません。なぜ業界No.1なのかエビデンスを持って説明できると、何かしらの機会で取材されるチャンスを生み出すことができます。
複数社紹介される中の1社になることを狙う
自社だけで取り上げられることだけを狙わずに、自社が扱う商品やサービスが分類されるジャンル全体の将来性や注目度をアピールする方法もあります。そうすると、自社単体で取り上げられることは難しい場合でも、1つのテーマに対して複数社を取り上げるうちの1つとして自社が紹介される可能性が出てきます。
コロナ禍において、デリバリーサービスやオンラインミーティングなど非接触のサービスが注目を集め、メディアでさまざまな報道がされました。都心と地方との二拠点生活や、脱ハンコ化など、社会課題から生み出されるサービスは、取材先をメディアは常に探しています。どれも一社だけを取材するよりも、複数社のサービスを取り上げる方が、世の中のムーブメントをわかりやすく表現することができます。
常に世の中の動向にアンテナを張って、可能な範囲で自社のサービスを注目の高いテーマに寄せていくことを考えられると、メディアに取り上げられる機会を増やすことができます。
メディアが求めるデータを提供する
メディアが報道の裏付けとして必要とするケースがあります。例えば、仕入れなどによって変動する販売価格は、社会の変化を表すためにメディアが利用をします。輸入やエネルギー関連の話題で取り上げられやすい1リットルあたりのガソリンの価格は、いつも特定のガソリンスタンドが取材されます。これは、ガソリンスタンドの電光掲示板に表示される価格がビジュアル的に説明しやすいことに加えて、なるべく同じガソリンスタンドを定点で取材し続けた方が、価格の変動を伝えるのに説得力があるからです。
ガソリンの販売価格は、ガソリンスタンドにいけば公開されているので誰でもわかりますが、一般には公開されないけれども、経済の変化を表すことに使える数字はいろいろとあります。ステークホルダーの不利益にならない範囲で、メディア向けにデータの公開ができるのであれば、積極的に行うべきです。プレス向けのニュースレターにするなど、定期的に情報提供ができる仕組みを考えると良いでしょう。
経営者としてのビジョン
企業の経営者のメッセージは、仮に主観であったりエビデンスが乏しい内容であったりしても、個人のコメントとして情報発信をすることができます。まだ市場が極端に小さかったり、ビジョンが先行したりするようなスタートアップ企業などは、経営者のメッセージによって会社のバリューが決まっていると言っても過言ではありません。メディアは明確なビジョンを持った経営者個人に注目するため、コメントの内容に独自性があれば取材機会の獲得につながる可能性があります。経営者のプロフィールや、これまでに手がけた事業の実績などをわかりやすくまとめて資料化しておけると、メディアから取材される機会の獲得につながるでしょう。急な取材にも対応できるように、受け答えがきちんとできるよう平時から練習をしておくことが大切です。
ユニークな福利厚生制度
時流に乗った、ユニークな福利厚生制度を導入している企業は注目度が高く、それだけで取材される機会が増えます。テレワーク推進の工夫、男女平等での子育て支援、健康の改善のための補助などがその一例です。インパクトのあるユニークなオフィスインテリアも注目されやすいですが、例えばテレワーク用の個別ブースに特徴があるなど、時流にあった工夫がされていることも重要です。SDGsで注目される環境問題への配慮や、ジェンダーの平等を実現するための工夫、国籍や文化の違う社員でも快適に働ける職場環境作りなども、メディアが注目し、取材をしたくなるポイントになると思われます。
KOLが果たす役割
KOL(Key Opinion Leader)とは、高い専門性を持って業界をリードし、周囲に大きな影響力を持つ人を指します。社員ではないとしても、顧問などの立場で自社に関わってもらい、PRする際にはコメントなどで協力してもらうと、自社内では生み出せない価値を作り出すことができます。
SNSでの発信と、フォロワーの存在が重要に
いろいろと工夫をしてPRネタを考えても、メディアに知られる機会がなければ取り上げられる機会の獲得には繋がりません。また、一方的に企業が発信をし続けても、第三者からの評価がないと信頼性に欠けます。記者はその情報の信頼性を確認するために、必ずと言っていいほど関連情報を検索したり、ツイッターや掲示板などでクチコミのチェックをしたりします。その時に検索結果に何もヒットしないと、本当に実態があるのかと疑問を持ってしまいます。
自社のSNSアカウントから積極的にこれらの情報を発信するとともに、社員、取引先、関係者にフォローワーもなってもらい、感想や意見をコメントしてもらうことで会社の実態が見えてきて、発信する情報にリアリティが増します。より多くの人に、PRに関与してもらえるようになることを目指していきましょう。
まとめ
自社がメディアに取り上げられることで、新規営業開拓や人材採用などが有利になるなど、メリットはたくさんあります。実現するために、PRネタはいろいろとあります。ぜひ工夫して、考えてみましょう。自社で考えてもアイデアが浮かばない場合は、広告会社やPR会社で、企業のPR実績を多く持つプランナーに相談してみてもいいかもしれません。