広告を活用した効果的なコミュニケーション・プランを策定するには、その一つの要素として、どのようなメディア使って、どのようなターゲットにコミュニケーションするのか、ということについてのプラン、すなわちメディアプランが必要です。
ここでは、広告のメディアプランとはどのようなものか、効果的なメディアプランを作るにはどうすればよいか、等について紹介していきます。
広告のメディアプランニングとは?
メディアプラン(媒体計画)とは、文字通り、どのように媒体を使って広告メッセージを伝達するのかを定めた計画のことをいいます。そして、この広告を出稿するためにメディアプランを立てることを一般に「メディアプランニング」と呼びます。メディアプランニングの作業で具体的に決めていく内容(=メディアプランの構成要素)は、以下の通りです。
・媒体目標(どういう目標を)
・ターゲット(どういうターゲットに対して)
・使用媒体(どんな媒体を使って)
・媒体ごとの適正出稿量(どれだけの出稿量で広告を出稿するのか)
また、複数の媒体を組み合わせることでメディアの効果を高めるために、メディアミックスという方法があります。これらについて、順番に紹介します。
媒体目標とは?
媒体目標とは、ターゲットが広告にどう接触すれば広告目標であるパーセプション変化(このビールはうまそうだ)や、行動変化(今までXビールしか買っていなかったけれど、Yビールも買ってみよう)を起こさせるかという視点から定められる目標のことです。
キャンペーンで何をしたいのかを考え、メディアプランニングのためにそれを定量化することが肝要です。「関東地区の主婦にキャンペーン期間内(○月○日~○月△日)に3回以上リーチ70 %以上を獲得する」などが適切な目標になります。
ターゲットの決め方
コミュニケーションのターゲットは、マーケティングのターゲットから決定していくことになります。メディアプランでは、そこからターゲットを絞り込むのか、あるいはマーケティング戦略上のターゲット全体を狙うのかを検討します。
例えば、詳細な使用メディアを決定していくためには、ターゲットをある程度絞り込む必要が生じる場合があります。25歳~50歳男性がマーケティング戦略上のターゲットであった場合、このグループの中でも見るテレビや読む雑誌は異なってきます。そこで、コアターゲットとサブターゲットというように、優先させるべき階層を設定してメディアプランを策定することになります。
Tips マーケティング戦略によってターゲット(的)も広い狭いが変わる
使用メディアの決め方~メディア特性より
使用メディアを決める際には、メディア特性を考慮することが重要です。ここでは主なメディアについて、一般的に言える特性について紹介します。
テレビCM
ターゲットおよびその周辺に対して、すばやく高いリーチを獲得することが可能で、映像・音声によるイメージの醸成をすることができます。
新聞広告
宅配率が非常に高く、広範なリーチを安定的に獲得でき、個別の新聞の持つブランド力により、高い社会性・信頼性を得ることができます。
雑誌広告
多彩なジャンルが存在し、雑誌毎にターゲットがセグメントされていて、読者が能動的に自ら購入するため、情報ニーズが積極的です。
ラジオ広告
仕事や運転など他のことをしている場合にも接触(ながら聴取)できるメディアで、かつリスナーが特定の時間に特定の局を聴く傾向がある習慣聴取媒体です。
交通広告
大都市圏での交通利用率が高く、定期的利用者が多いため、反復効果を狙えます。
デジタル広告
メッセージを伝達するだけにとどまらず、そこから消費者の情報を収集したり、会員申込や購買行動にまで誘導したりすることができます。
Tips メディアプランニング最適化に欠かせない媒体特性を理解する
メディアミックスとは
各メディアの特性をよく知った上で、その役割を考え、媒体目標を達成するために最も適するメディアの組み合わせを決定することをメディアミックスといいます。メディアミックスには、大きく分けて2つの意義があります。
1つは、「補完強化」というもので、それぞれのメディアが相互に補い合う関係にある、という考え方です。例えば、テレビでは届かないターゲットにラジオでメッセージを到達させる、というような場合です。「リーチを広げるためのメディアミックス」といえるでしょう。
もう1つの意義は、「相互強化」といわれるものです。同一のターゲットに異なるメディアの広告を重ねて接触させ、広告相互の相乗効果を獲得しようという考え方です。それぞれ異なるメディアの広告に明確な役割を持たせている場合に有効です。例えば、テレビCMでは商品名を中心に訴求し、新聞広告では、商品特性をしっかりと伝達するというメディアミックスです。
Tips メディアミックスの2つの狙い~「補完強化」と「相互強化」
まとめ
メディアプランは、まずはどんな商品を如何にして売っていくかというマーケティング戦略が基礎となって作られるものです。マーケティング目標を明確に定め、それに沿って適切にターゲットを設定し、目標を達成するために適切なメディア選択を行い、メディアミックスを含めたメディアプランを策定してくことが重要です。