広告は消費者、あるいはメッセージを伝えたいターゲットに触れて初めてその目的を果たせます。もちろん、触れるだけではなく、広告を視て、聴いて、理解してもらうことが狙いですが、先ずは伝えることが必要です。伝えたいメッセージ、理解をして欲しい内容によって、伝える手段としてのメディア(媒体)を使い分ける必要があります。なお広告業界では、広告を掲載する特定の媒体のことを「ビークル」と呼ぶこともありますので、ぜひ覚えておいてください。
新聞広告
新聞の特性と広告の種類
新聞は「最も信頼されるメディア」と認識されています。社会の公器としての新聞には、より客観的で公正な報道が求められています。また、活字メディアであり、受け手のペースで情報を受け取ることができるため情報を正確に伝えることが可能です。テレビやラジオといった放送メディアの場合は、聞き漏らしたり、聞き逃したりすることがある一方で、速報性があるので、テレビで知って新聞で確かめるという役割を担っているとも言えます。逆に新聞は、都心部でも朝刊、夕刊と一日2回しか配布されないので、インターネットで情報が飛び交っている昨今の状況に鑑みれば、速報性という点ではかなわないと言わざるを得ません。ただ、宅配制度があるため、毎日決まった時間に新しい情報と共に確実に配達してもらえることは優位性とも捉えられます。
特徴的な新聞広告として「臨時もの」と呼ばれる種類の広告があり、なかでもお悔やみを知らせる黒い太枠で囲われた「黒枠」は、日付が重要なため優先的に掲載されています。
新聞広告には広告主が作った原稿をそのまま掲載する純広告と、新聞の信頼性や説得力といった特性を活かして解説が必要なものやイベントの採録を広告スペースの活用によって実施する際の記事体広告という手法があります。
折り込み広告(チラシ)
新聞広告とは別に、新聞の特性である宅配を活かした折り込み広告があります。折り込み広告は、宅配エリア周辺のセグメントされたターゲットに対して、さまざまなサイズや紙質を選んだチラシと呼ばれる印刷物を配達前に各宅配所で新聞に折り込むことで、新聞朝刊とともに配達されます。周辺のスーパーや、不動産、店舗等のスポンサーのチラシが多くを占めています。
雑誌広告
雑誌は新聞同様活字メディアであり、受け手のペースで情報を受け取ることができます。
さらに、雑誌は正確な情報を伝えられるだけではなく、雑誌ごとにテーマが絞られているため、よりセグメントされたターゲットに対して訴求することが可能なメディアです。新聞と違って宅配制度がないものの、定期購読による宅配は可能で。週刊、月刊が基本的なので速報性という点では弱く、報道を伴う週刊誌などは発売された際には周知の事実だったり、状況が変わったりすることもあります。
雑誌広告の種類は、新聞同様純広告が中心ではあるものの、ファッション誌などは雑誌の特性を活かしたタイアップ広告を実施するケースが多くみられます。また、タイアップの一環として、商品サンプルやおまけをつけた号は人気で、すぐに売り切れてしまうケースもあります。
Tips 活字メディアは伝達の確実性、信頼性がメリット
テレビCM
テレビの特性と広告(CM)の種類
新聞の説明でもお伝えしていますが、テレビの大きな特徴の一つが速報性です。緊急事態などは報道番組でなくても、臨時ニュースとして放送することがあります。また、地震速報や台風情報、選挙速報などは、テロップと呼ばれる字幕(字幕スーパーとも呼ばれています)で放送されている画像に重ねて表示されます。特に、台風や津波情報など、避難を呼びかける必要がある場合などは、L字スーパー(画像参照)などで表示し続けています。CMの内容は予め準備されているわけですが、速報性という特徴がゆえに視聴者もCMの情報を新鮮なものとして受け止めやすいと言えます。もちろん、その速報性は、天候や事故災害などでCMの放映予定が変更になる、ということもあります。
民間放送局で流される主なテレビ広告(テレビCM=テレビコマーシャル以下CM)には、番組と番組の間(ステーションブレイクと呼ばれます)に流れる15秒のスポット広告と、番組中に流れる番組提供会社の30秒のタイム広告(15秒+15秒の場合もあります)に大別されます。そのほか、生放送の情報番組内で出演者とともに流される生コマーシャル(生コマ)と呼ばれるものもあります(番組の出演者が別途収録したCMをCM枠で流すケースもあります)。
新聞が活字媒体として事実を確実に届けられるのが特徴だとしたら、テレビは動画で人の感情に訴える表現が得意。共感のわくストーリー展開や質の高い絵作りで、ブランドイメージを強く印象付けられます。表現の幅も広く、ドラマ仕立て、コント、ビデオアート、ドキュメンタリーなど様々。時々見る手法として、番組やニュースのフレームを使ってCMを作成するケースなどもありますね。ただこの場合は、「CMです」とテロップを入れて番組やニュースと誤認されないようにしています。
また、情報番組ではCMとは違ったパブリシティ(PR)として、商品を紹介するケースもあります。視聴者プレゼントを伴うケースが多く見られます。
テレビ通販
一方で、情報番組内のCMやパブリシティと違って、商品情報そのものを通販番組として編成しているケースもあります。衛星放送や、地上波放送の早朝や深夜に編成されることが多く見られます。
ラジオ広告
ラジオはテレビと同様に速報性のあるメディアです。また、音声だけなのと、一人で聴くことの多いパーソナル・メディアであることも特徴です。音声だけなので運転しながら、仕事をしながら、家事をしながら、勉強しながらなどながら聴取されるケースが多いメディアであるとも言えます。また、聴取者(リスナー)は特定の局を聴く傾向が高いため、テレビのようにザッピング(リモコンでチャンネルを頻繁に変える行為)があまりなく、番組のパーソナリティがCMに登場することも珍しくありません。
ラジオCMは20秒枠を基本単位としていますが、ストーリー性を持たせるために長尺なものを制作して放送するなど、テレビと比較して秒数に柔軟な対応が可能です。
ラジオを含めて、これまで説明してきた新聞、雑誌、テレビとともに、全国的な規模での展開が可能なメディアなため、かつて「マス4媒体」と呼ばれていましたが、インターネットが主流となった昨今、あまり呼ばれることはないようです。
Tips 放送メディアはエモーショナルな表現と速報性が強み
屋外広告(OOH)
街中で目にするビルの看板広告やネオンの他、交通広告全般を屋外広告(OOH)と呼んでいます。OOHとはOut Of Homeの略。空港や、電車内や駅に貼られているポスター(「駅貼り」と呼ぶ)、飛行機、電車、バス等のラッピング広告、タクシーアド等も含まれますし、トラックの荷台を看板として走らせることもあります。街頭配布やサンプリング、マンションや住居のポストにランダムにチラシ等を配布することも屋外広告の範疇に入ります。先に新聞の説明でご紹介した折り込み広告と共に屋外広告の特徴はエリアやターゲットを限定してアプロ―チできることです。
ダイレクト・メール(DM)
4マスメディアと屋外広告が、不特定多数の個人を特定しないアプローチをとっていますが、DMは個人情報を扱うという意味では大きく違うメディアです。会員向けに配達される郵便物によるダイレクトなアプローチ手法でしたが、インターネットの発達により、ダイレクト・メールは会員向けのeメールという形でもアプローチできるようになりました。次項のインターネットでも触れますが、個人情報保護法施行後は、消費者個人の承諾を得ないまま特定個人に対するアプローチができなくなってきたことと並行して、デジタル環境の普及で企業側によるオウンドメディア(ホームページ等の自社媒体)を通じた会員の囲い込みによって購買履歴によるアプローチも可能となり、より効率のよい購買層とのコンタクトが進んでいます。
インターネット広告
インターネットの開発、普及後、GoogleやYahooに代表される検索エンジンの台頭により広告をとりまくメディアの環境はデジタル中心に大きく変わったと言えます。
消費者とメディアの関係は、消費者がマス4媒体から情報を受ける側から、インターネットを中心に情報を取りに行く側に変わりました。そして、インターネットを通じて検索したワードには、関連する広告が表示される仕組みになっていますので、広告主はフォーマットに則って、より効率のよい成果(コンバージョン)獲得を目指したアプローチが可能になりました。オウンドメディア及び売りたい商品ページへの誘引も、その商品に興味・関心のあると思われるターゲットに対して、どんなキーワードを決めてアプローチするか、ということが大切です。Amazonなどは、買った人のお勧め(リファー)などをシェアすることで、コンバージョンに有効活用しています。
Tips 発信側の効率的な情報伝達とユーザー側の能動的な情報収集が可能なネット
まとめ
スマホなどのデジタルデバイスの普及により、デジタル環境はここ10年だけを見ても急速な進化を遂げています。少し前までは4マスメディアの広告を補う形でインターネット広告が使われていましたが、いまやインターネット広告をベースに、4マスメディアの広告を使ってどう補足するというメディアプランもあまた見られます。だからと言って、4マスメディアが不要になったか、と考えるのは早計です。現代は特にインターネット上を中心に、情報があらゆるところに溢れすぎていて、真偽のほどすらもはや個人で把握しきれないほど。広告を含めた情報の価値を生活者が判断するためにも、各メディアがそれぞれの特性を活かして情報提供していき、複数のソースから得た情報を吟味できるよう求められているのではないでしょうか。
生活者の側からすれば、情報は吟味する時代。届けられた情報を取捨選択していく時代です。何が役立つのか。何が正しいのか。それを見極めやすくするためにも、今後も4マスメディアを含めた複数のメディアの共存は続くでしょう。
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