新聞や雑誌に広告を打つ時はどういったことを留意し、どのような手順で指示を出すのでしょうか。単純に広告スペースを買うという方式もあれば、それぞれのメディアの特性を生かした企画に合わせて出稿するといった方式もあります。
ここではそれらの基本的なポイントについて触れながら、各メディアの特徴を整理していきたいと思います。
新聞
広告主が伝えるべき項目
新聞の広告スペースを買付けるには、まず以下のような項目を広告会社に伝えます。
- 掲載の内容
- ターゲット
- 出稿希望エリア
- 希望する新聞名
- 掲載希望日
- 掲載予定段数
- 予算
- 希望する面の種類、朝・夕刊、色の有り無しなど
地域ごとに違う「強い新聞」
新聞と聞いてまず頭に浮かぶのは何新聞でしょうか?「全国紙」といわれるのは朝日、読売、毎日、産経、日経新聞ですが、首都圏では確かに圧倒的な部数を誇っているものの、地方によっては、各地域限定で発行される「地方紙」がより大きな影響力を持っている場合が多いのです。地方紙の中でも北海道、中日、西日本新聞はその地域で広域に購読されている新聞で特に「ブロック紙」と呼ばれています。 また特定の分野を扱う「業界紙」は部数は少ないものの、その商品の業界ターゲットに絞った広告を打ちたい場合、より効率的な媒体になります。 掲載の内容やターゲット、出稿希望エリアを考えながら新聞を選ぶことが重要になります。
Tips 全国で発行されている様々な新聞の中から、最適の新聞を選択する
新聞広告の料金
原則になりますが新聞出稿の料金は、それぞれの新聞社の「契約料金」によって定められます。そこに示される「段数」は広告面の大きさを表す指標で、それによって料金が変動します。例えば全15段広告といえば新聞の1ページ分をすべて使った広告の大きさになりますし、全5段広告といえば紙面の下部1/3を使用した広告です。(その他特殊なスペースもあります。)
また掲載する時期や指定する日付、掲載面の希望、朝刊・夕刊の別、広告に色を付けるか、などにもよって料金は大きく変わってきます。
実際の新聞広告の料金については媒体社とのそれまでの出稿の「実績」が重要視され、同じ内容の広告でも広告主によって料金が違うことは前提として把握しておきましょう。
Tips 条件によって大きく変わる料金体系。まずは要望を伝えて交渉
新聞社の企画に合わせた出稿
上記までは広告主側の主導で単純に広告スペースを買う場合について話しましたが、新聞の信頼性とジャーナリズム性を活用した「編集特集」や「広告特集」などに出稿するという手法があります。
「編集特集」とはその時期に催される大きなイベントなどがあった場合、新聞社がそれについて記事を特集し、広告面としてそれに付随した出稿スペースを用意するというものです。内容が広告主の商品特性や販売計画に合致するものである場合、読者の注目度が上がる面になるのでより大きな効果が期待できます。
「広告特集」とは新聞社がより広告主を意識して、関連するテーマを独自に作成し出稿スペースも用意するものをいいます。ページ自体が広告扱いになるので、記事の内容にもある程度広告主の意向を反映させることができ、商品の魅力をより深く浸透させることができます。いわば新聞社と広告主が共同で紙面を作るといった内容です。
時期に応じて新聞社はこのような企画を設定する場合がありますので、適宜検討しましょう。
Tips 通常の広告スペース以外にもいろんな特集企画が存在
新聞広告の効果
新聞の効果の指標については、代表的なもので以下のような数値を参考にすることが多いです。
- 部数…各新聞の発行部数 世帯普及率…あるエリアの総世帯に対し、その「新聞が宅配されている世帯」の割合
- 購読率…宅配率とも呼び、自宅にその「新聞が宅配されている人」の割合
- 閲読率…あるエリアにおいて実際にその「新聞を読んだ人」の割合
- 回読率…その新聞を何人の人が回し読みするかの割合
- 併読率…2紙以上の新聞を合わせ読みする人の割合
- 広告接触率…ある新聞の購読者の中で、広告について「確かに見た」「見たような気がする」と調査で答えた人の割合
広告会社はこれらの数値をかけ合わせながら、最適の出稿計画を導き出すメソッドを持っています。
Tips いくつかの効果指標があることを把握。チェックポイントとして活用する
雑誌広告
広告主が伝えるべき項目
雑誌に広告を出稿するにあたって伝えるべき項目は以下のようなものになります。
- ターゲット
- 広告商品と広告の目的
- 出稿時期
- 希望する雑誌名
- 予算
- 掲載希望スペース
- 純広か編集タイアップか
- 特別な要望事項
ターゲットを細かく設定する「雑誌」
4マスといわれるメディアの中で、雑誌は特にターゲットを非常に細かく設定しているのが特徴です。同じ30代女性でも既婚子育て世代なのか、働く女性なのか、富裕層か、カジュアル志向なのかなど、様々な読者層を想定して発行されるのが雑誌です。ですので出稿にあたっては特にターゲットと広告の目的を明確化し伝えることが重要になります。 それぞれの発売日や部数、料金などを予算と照らし合わせて、どの雑誌に、あるいはどの雑誌を組み合わせて出稿するかをプランニングします。
Tips 自社の商品と雑誌のターゲットの親和性を細かく照らし合わせてプランニング
雑誌の掲載スペース
雑誌広告について把握しておきたいのは掲載されるスペースの種類です。それによって料金がそれぞれ設定され、人気の枠は広告主が年間を通して買付けていることもあってなかなか空きが出ない場合もあります。大きく分けて「特殊面」と「中面」の2種があり、特殊面にはおよそ以下のような呼ばれ方をしているものがあります。
- 表1…雑誌の表紙。まれですが広告スペースとして使われる
- 表2…表1の次のページ
- 表3…表4の1つ前のページ
- 表4…雑誌の最終面。いわゆる裏表紙
- 表2見開き…表2とその次のページを合わせて見開きとして使ったページ
- 目次対向…雑誌の目次があるスペースの対向面
- センター見開き…中綴じがある雑誌の、真ん中のページを見開きとして使ったもの
特に表4などは表紙に続く雑誌の第2の顔にもなるので、非常に注目度の高い広告スペースになります。
中面広告は特殊面以外に設定されている広告面です。ただし雑誌によって上記の設定の仕方や呼称、注目度も変わってくることがあるので注意しましょう。
Tips スペースの種類と特徴を理解して、予算と目的から掲載面の要望を出す
雑誌広告の種類
雑誌広告には「純広」と「編集タイアップ」という種類があります。 純広は広告主側で制作し、上記スペース上で掲載される広告です。いっぽう「編集タイアップ」は雑誌の編集部と共同で作り上げる、記事の体裁を持った広告です。新聞の章で説明した「広告特集」に近いと言えますが、雑誌の場合、より広告主の意向を反映し商品にフォーカスして制作することができます。雑誌の編集部はそのターゲット読者層に対する深い知見を持っていますので、編集タイアップの手法で商品をより魅力的に訴求することを狙う広告主も多くいます。ただし制作には打合せや撮影を含めた相応の時間が必要になりますので、余裕を持った進行を心掛けることが必要です。
Tips 雑誌ならではの編集力を活かした編集タイアップも検討する
まとめ
毎日発行され、ジャーナリズム性と信頼性が担保された新聞メディア。週刊、月刊、季刊といった形で発売され、ターゲットをセグメントし読者の心情に深く寄り添った編集がウリの雑誌メディア。同じ印刷媒体でも広告が目指せるゴールは違います。今回触れたのはごく基本的な一部の例で、今は広告主と媒体社との間で様々な新しい消費者とのコミュニケーション手法が試されています。自社の広告の目的を今一度見つめなおしながら、まずはざっくばらんに媒体社や広告会社に相談してみてはいかがでしょうか。