広告にまつわる「権利」 ~商標・著作権・ネーミングライツなど~

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広告にまつわる「権利」 ~商標・著作権・ネーミングライツなど~

「権利ビジネス」は広告業界にとっても関わりの深い分野です。法律や判例によって守られた個人・法人の権利を利用してビジネス化したものが、権利ビジネスです。多くは「商標権」「著作権」「肖像権」という権利に集約されます。これらの権利を司るのが商標法、著作権法などの法律ですが、特に著作権法はその内容や解釈に各国によってばらつきがあったり、国によっては度々改訂されるなど運用が複雑です。
ここでは、広告を制作する際にまず押さえておかなければならない商標法と著作権法についてその基本を解説しながら、広告にまつわる主な権利ビジネスについてご紹介したいと思います。

著作権法と商標法

商標法とは

企業の無形資産として重要な意味のある商標を保護することによって、その商標を使用する事業者の業務上の信用を維持し、産業の発展に寄与し、消費者の利益を保護することを目的とするのが商標法です。商標法では、商標を「文字、図形、記号もしくは立体的形状もしくはこれらの結合又はこれらと色彩の計都合」と定義しています。広告その他のマーケティング活動において、他社の商標と同一のものや類似したものの使用は禁止されています。

著作権法とは

著作物と創作者(著作者)の人格的利益と財産的利益を保護するのが著作権法です。広告物で他社の著作権を侵害することのないようにしなければなりません。著作物を一般に公開するために重要な役割を果たしている実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者の権利は著作隣接権といって、同じように保護しなくてはなりません。デジタル化やインターネットの普及で一般人でも知らないうちに著作権侵害をしてしまうおそれがありますが、広告ビジネスにおいては特に注意をする必要があります。

Tips 権利の根拠となる2つの大切な法律=「商標法」と「著作権法」

コンテンツビジネス

スポーツ

コンテンツビジネスと言えば、筆頭にあげられるのはスポーツです。権利を持っているのは各々のスポーツ団体や協会等です。メジャーなスポーツ大会であればあるほど、大きな収益が期待できます。収益源となるのは、スポーツ大会を放送する権利である「放映権」。関連グッズの販売に伴う「マーチャンダイズ権」。そして、大会会場への「入場券」です。そして、多くのメジャーなスポーツ大会には、必ずと言っていいほどメディアが多額の協賛金を払って協賛社になります。なぜなら、「サッカーと言えばテレビ〇〇」というように、競合メディアとの差別化を図ることで、メディアのブランド力を上げることにも寄与するからです。また、スポーツイベントには冠スポンサーと言って、例えば「□□生命セ・パ交流戦」というように頭にスポンサー名を冠する呼称権も人気の協賛メニューとなっています。メジャーなスポーツであれば、スポーツの露出と共にスポンサー名も露出されるというメリットがあるからです。

漫画・アニメとキャラクター

次にコンテンツということで思い浮かぶのは日本の漫画・アニメでしょう。日本が世界に誇るコンテンツのひとつ。国内外を問わず人気のある「ドラえもん」、ONE PIECE」などの人気漫画・アニメは各出版社のドル箱ともいえるコンテンツです。アニメに登場するキャラクターは、グッズとして販売されることもさることながら、キャラクターがCMタレントとして、広告に起用されたり、コンビニ等のタイアップで起用されたりするケースもあります。

映画

日本の漫画・アニメに対して、アメリカを代表する漫画(コミックス=アメコミ)といえばミッキーマウス。ミッキーマウスの生みの親の一人であるウォルト・ディズニーはミッキーマウスを1928年にスクリーンデビューさせ、ディズニーランド、ディズニー映画へエンターテインメントを極めていきます。ディズニー映画はさらに2009年に、アメコミで数々の話題作を生み出したマーベルを買収しましたが、その後、アベンジャーズやトランスフォーマー、スターウォーズシリーズなどヒット作を連発しているのは周知のことと思います。

さて、映画と言えばCMと比べて、予算も制作期間もスケールも段違いです。特にハリウッド映画で世界をマーケットにしたものになると、俳優の起用するにも莫大な費用がかかります。そこで、さまざまな方法で投資費用をまかなう工夫がされています。

先ずは、映画の中で商品を露出することで宣伝効果を狙うタイインという手法があります。プロダクト・プレイスメントと呼ぶこともあります。例えば、007シリーズで、武器として使用されるボンドカーや、腕時計などのシーンを思い浮かべていただくと分かり易いと思います。また、タイアップは映画公開前や公開時に映画のシーンをそのまま切り出して、CMの映像の中で使用することで、スポンサーにとっては認知度を上げることに貢献できますし、映画配給サイドにとっても集客を狙えるので、双方メリットのある活用方法といえます。

Tips コンテンツビジネスの形は様々、メリットも様々

ネーミングライツ

ネーミングライツとは、主に国や地方公共団体が所有するスポーツ施設や文化ホールなどの施設の名称に、スポンサー企業の社名や商品ブランド名を付与する権利のことで、 「命名権」あるいは「施設命名権」とも呼ばれます。ネーミングライツを活用して集めたお金を施設運用に活用できるので、税金を納めている地方住民にとってはありがたい仕組みではないでしょうか。 

プロ野球が使用する野球場や、Jリーグなどで使用するサッカースタジアムなどで目にするケースが多いので、いくつかの名前を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないかと思います。施設名にとどまらず、道路の名前や歩道橋などにもネーミングライツを活用するなど、地方自治体などでは幅広く活用されています。


まとめ

コンテンツホルダーにとって、露出が高まれば高まるほど、広告塔としての価値が高まるため、人が集まる場所やバーチャル空間など今後ますます新たなビジネスが生まれていくことが想像されます。2019年にロシアで開発された、人口衛星によって空にメッセージを浮かべる「宇宙広告」など、技術の進化によって今後新たなビジネスが生まれ、そこにはまた新たな権利が生まれていくことでしょう。大切なことは、広告を実施する前に、法規制や権利の有無を確認してから実施することではないかと思います。

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