テレビの「視聴率」という言葉は一般にもよく知られていますが、実際にどのような方法で測定されているのか、どのように計算して算出されているのかなどを正確に知っておくことが、効果的なテレビCMのメディアプランには必要です。テレビの視聴率の基本から、テレビCM出稿量の概念、適切なテレビCM出稿量の決め方の手法について紹介します。
テレビの視聴率って何?
視聴率の概要
視聴率とは、地上波、BS放送、CS放送、CATVなどのテレビ放送を、世帯内にある自家用据え置き型テレビにより、放送と同時に視聴している世帯または個人の割合です。日本では(株)ビデオリサーチが視聴率調査を実施し、データを提供しています。
世帯視聴率
テレビ所有世帯のうち、何世帯でテレビをつけていたかを示す割合。関東地区は約2,000万世帯なので、関東地区の世帯視聴率1%は、約20万世帯にあたります。
個人視聴率
誰がどのくらいテレビを視聴していたかを示す割合。性別、年齢別、職業別などに分けて、どれくらい見ていたかを知りたいときに利用します。関東地区の個人視聴率1%は、約42.5万人にあたります。
個人視聴率については、関東・関西・名古屋地区は従来の日記式と比べ、より精度の高いPM(ピープルメーター)を導入しています。(関東1997.4 〜。関西2001.4 〜。名古屋2005.4 ~)また関東では録画機器等で再生された番組の視聴率を測定するタイムシフト測定も行っています
視聴率は放送局との取引の「通貨」
放送局とのセールスの基準は「世帯視聴率」で行われています。関東エリアのスポットのみ2018年4月より「個人全体視聴率」をセールス基準にしております。個人視聴率はあくまでも補足データとして、番組やスポットのプランがターゲットに合っているかどうかを判断する指標として使われます。
テレビCM出稿量とは?
リーチ、フリークエンシー
ある広告に接触した人の割合を「リーチ(=広告到達率)」といいます。リーチ80 %といえば、広告を出稿した地域内で、その広告を1回でも見た人が80%いる、ということを表します。そして広告を見た人が、その広告を何回見たかを表すのが、フリークエンシー(接触回数)です。
GRP、TRP
期間中に出稿したスポット枠の視聴率を足し上げたもののことをGRP(Gross Rating Point)または、延べ視聴率と言います。どれだけの人に接触したか(リーチ)という数値を、何回接触したか(フリークエンシー)と掛け合わせることになるので、GRPはリーチ×フリークエンシーで計算することもできます。
また、個人視聴率をもとに、ターゲット層別のGRP、すなわちTRP(Target Rating Point)を計算することもできます。狙っているターゲット層にどれだけ届いたかを測定する指標として使用することができます。
また、30秒CMは15秒CM2回分として考えることもできます。「15秒換算GRP」と呼ばれる指標は、それを反映した数値です。ちなみに英語では、15秒換算の数値をRegarded(読み:リガ―デッド)、換算しない数値をRegardless(読み;リガードレス)と言います。
適切なテレビCM出稿量を決めるための手法の紹介
テレビCM出稿量の単位はGRPですが、どの程度のGRPを出稿するのが適切かを決めるには、いろいろな手法があります。ここでは、その代表的な手法を3つ紹介します。
有効フリークエンシー
広告が効果を発揮するために必要な最低接触回数のことを「最低有効フリークエンシー」といい、それ以上露出しても効果が見られない上限を「最高有効フリークエンシー」といいます。そして、広告が効果的に機能する回数だけ接触している人への到達率のことを「有効リーチ」と呼びます。ただし、実務的には、最高有効フリークエンシーを決めることは稀で、「○○回以上リーチ(R○○+)」のことを「有効リーチ」として扱うことが一般的です。
それでは、テレビCMには何回接触すると効果があるのでしょうか? 古典的な理論としては、H.E.クラグマンが提唱した「Three Hit Theory」があります。これは、CMに3回接触させれば、好ましい広告反応が生起するという理論です。但し、3回というのは目安であって、すべての商品カテゴリー、すべての消費者属性に当てはまるものではありません。そこで、ターゲットとした消費者は「当該商品の広告を何回見たら記憶するのか」という調査を行い、そのデータをもとに有効フリークエンシーの回数を決めます。
ここで、仮に自社商品のテレビCMの有効フリークエンシーが4回だったとしましょう。その場合に、4回接触者のリーチのグラフを書き、その伸びが鈍化するあたりをテレビCM出稿量の目安にするという方法があります。
相関分析
実際にテレビCMを出稿したデータと、その結果の認知率を調査したデータの蓄積がある場合は、それをもとにテレビCM出稿量とテレビCMの認知率の相関を分析することができます。
過去のキャンペーンのテレビCMの出稿量と認知率のそれぞれのデータを、キャンペーンごとに散布図にプロットし、出稿量と認知率の相関分析を行い、近似曲線を散布図に追加します。
この散布図において、目標とする認知率を獲得するのに必要なテレビCM出稿量の目安をとして、有効フリークエンシーからの分析と同様に、近似曲線の傾きが鈍化するあたりをポイントと考えることができます。
ROI分析
また、出稿量にコストを加味したうえで、適正出稿量を判断する方法も考えられます。上記の相関分析を行う際に、GRPが1%増えた場合のコストの上昇と認知率の増加をもとにしたグラフを描き、コストを増やしても効果が上がらなくなるポイントを算出し、その点を出稿量の目安とする方法があります。この場合、テレビCM認知率を指標とする場合もあれば、テレビCMの好意率を指標として使う場合、当該商品広告のキャッチコピーの認知率を指標として使う場合、等々、様々な指標を活用することができます。
なお、この単位コストの増加に対して効果の伸びが逓減することを経済学の概念である収穫逓減(Diminishing Returns)と呼ぶことがあります。
まとめ
テレビCMの効果を測定するには、まずは正確な視聴率の概念の理解が必要です。そのうえではじめて適切なテレビCM出稿量の分析が可能になります。
また、適切な出稿量の算出には、マーケティング目的にあった手法の選択が重要です。正しい知識と明確な目的をもってテレビCMのメディアプランをしていきましょう。
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