企画
オリエンテーション(オリエン)
テレビCMに限らず、広告表現物制作の第一歩はオリエンテーション(オリエン)です。広告主がそのCMでどんな成果をあげたいのか、ターゲットをどう設定するか、などを広告会社に伝えます。広告会社はオリエンに基づいて具体的なテレビCMのプラン作りに入りますから、オリエン内容はその後のCMの方向を大きく左右することになります。
プレゼンテーション(プレゼン)
オリエンテーションを踏まえて、広告会社が企画案を広告主に提案する場です。
テレビCMの案は、「企画コンテ」と表現コンセプトなどの説明で提示されるのが一般的。企画コンテは通常、「絵コンテ」と呼ばれるコマ割りしたイラスト(4コマ漫画のようなもの)が多く用いられますが、内容をシナリオのような文章だけで説明(通称「字コンテ」)することもあれば、完成版さながらに動画編集したもの(通称「ビデオコンテ」「Vコン」)が使われることもあります。
ただ広告主からすれば、コンテの出来栄えは必ずしもその企画の本質とは言えません。このCMでどんな成果をあげたいのか、という当初の目的に照らし合わせた上で、絵コンテと説明を読み取り最適な案を採用します。よりスムースに採用の可否を決めるため、企画案の採用基準と方法を予め決めておくとよいでしょう。
【確認ステップ.1】
プレゼンテーションは、広告主にとっても広告会社にとっても、多くあるテレビCM制作の確認・承認ステップのうち、最初の、そして最重要といってよいステップと言えます。
制作準備
スタッフィングと撮影準備
採用案が決まると、ここからはいよいよ「制作」のステップに入っていきます。
まず、制作スタッフのアサインです。広告会社のパートナーとしてCM制作会社とプロデューサー、さらには制作作業の総指揮にあたるディレクター(監督)を選びます。広告会社とプロデューサー、ディレクターが中心となり、カメラマンなど他のスタッフを決めていきます。
指名されたディレクターは、企画コンテをさらに詳しく具体的にした演出プラン(演出コンテ)を立案します。ここにはカットごとにアングルやカメラワーク、役者の演技やセリフなどが書き込まれています。
【確認ステップ.2】
企画コンテがマンションの完成予想パース図だとしたら、演出コンテは制作を進めるための設計図のような役割を果たす重要なものですので、この段階で広告主に提示し確認していただくのが一般的です。
演出コンテが承認されると、この「設計図」に基づいて様々な準備が行われます。ざっとご紹介すると、以下のようなものがあります。
- スケジュール作成
- 出演者オーディション
- ロケーションハンティング(ロケハン)と撮影許可どり
- スタジオ、機材手配
- 美術プラン、衣装プラン作成
- アニメーション/CGスケッチ
- 音楽制作依頼、ラフスケッチ制作
- コンプライアンスチェック etc.
PPM(プリ・プロダクション・ミーティング)
【確認ステップ.3】
撮影に向けての準備が概ねできた段階で、PPMと呼ばれる確認ステップを実施します。また、確認です!演出コンテのほか、出演者・美術・衣装・撮影場所・音楽スケッチ・アニメ/CGスケッチなど準備したプランを広告主に提示し、撮影前の最終チェックをします。事前の詳細見積も提示されます。PPMの段階まで進むとプランの大きな変更ができないことも多いので、特に確認したいことはPPMに先駆けて確認ステップを挟む必要があります。この段階になると、完成をかなりイメージできるようになってきます。
撮影
スタジオ撮影・ロケーション撮影
撮影は言うまでもなくCM制作のメインイベントです。大きく分けると「スタジオ撮影」と「ロケーション撮影(ロケ)」があります。タレントが出演する場合などで、背景と出演者を別に撮って合成するケースもあります。テレビCMの場合、かつては35mmフィルムで撮影してビデオに変換、というのが主流でしたが、今はハイビジョンや4Kカメラでの撮影が大半となりました。公共の場でのロケーション撮影では、広告会社と制作会社は撮影中の近隣への配慮や、第三者の肖像等がアングル内にないかなどのチェックをします。
【確認ステップ.4】
特に化粧品・ファッション・食品・車などの撮影では、商品を使用した状態がどのように撮影されるかなどを広告主が現場でチェックします。
アニメーション・CG制作
CMの中には撮影を伴わないものもあります。アニメーションやCGだけで構成されたCMなどがそれに当たり、撮影を伴う場合とは違った確認・承認のステップで進めます。作るものによって変わりますが、「CG(アニメ)コンテ」「原画(静止画)」「基本的な動きの確認」「彩色・ライティング」「合成」などのステップがあります。アニメやCGを部分的に使う場合も、ほぼ上記のようなステップでチェックします。
ポストプロダクション
仮編集
撮影の後の作業を総称して「ポストプロダクション」と呼びます。仮編集はその最初のステップです。動画のRAWデータ(撮影したままの非圧縮データ)は大変重いので一般に軽くした素材を使います。演出プランに基づいて素材を編集し、CMの流れを組み立てます。日本ではディレクター自身が仮編集に当たることが多いですが、エディター(編集専門スタッフ)が行うこともあります。
【確認ステップ.5】
この段階で、広告主にチェックしていただくステップを「仮編集試写」と呼びます。
本編集と録音
仮編集の確認が済むと仕上げの工程に入ります。撮影したRAWデータ素材を使い、色の調整(カラーコレクション、カラコレ)をしたのち、本編集作業に入ります。アニメーションやCGの素材も含めた合成や調整、エフェクトやタイトル(文字要素)の挿入などを行います。音声部分も仕上げの段階です。音楽やナレーションを録音し、効果音や撮影時に収録したセリフなどを映像素材のタイミングに合わせてミキシングします。出来上がった動画を、放送局の基準に合わせたフォーマットに仕上げます。
【確認ステップ.6】
最後に広告主に行う試写が「完成試写」です。
まとめ
テレビCMの流れを、広告主のチェックのステップに注目して説明しました。個々の制作で、全てのステップが必ずしも行われているわけではありませんが、テレビCMは企画段階ではなかなか完成した状態をイメージしにくいですし、また人によってもばらつきがあります。そのため広告主と制作者との間で方向を都度確認して、ずれがあれば方向を微修正していくことで、元々の意図・狙いが最大限発揮できるようにしていくことが大切なのです。
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