日本のジャーナリズムをこれまで牽引してきたのはやはり新聞です。新聞メディアが過去より培った「公共性」、「権威性」、「信頼性」今も健在、と言ってよいでしょう。
この歴史あるメディアに掲載される新聞広告はどんな特徴を持っているのでしょうか。ここから、新聞広告の基礎知識を「新聞ならでは」の特徴を踏まえながらご説明します。
新聞の種類には、どのようなものがあるか?
配布エリア分類
・全国紙
朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、日経新聞、産経新聞で、「中央5紙」と呼ばれています。
・地方紙
東京 大阪以外の、各地域を中心に発行されている新聞。
・ブロック紙
北海道新聞、中日新聞、西日本新聞で、「ブロック3紙」と呼ばれています。地方紙の中でも配布エリアの広い3紙です。
・県 紙
配布地域が特定の県内中心の新聞。(信濃毎日新聞/東奥日報 その他)
紙面内容による分類
・一般紙
政治・経済・スポーツなど、総合的なニュースを扱う。全国紙、地方紙、ブロック紙など
・スポーツ紙
「日刊スポーツ」「スポーツニッポン」「サンケイスポーツ」「スポーツ報知」「デイリースポーツ」「東京中日スポーツ」「東京スポーツ」
・夕刊紙
「夕刊フジ」「日刊ゲンダイ」など
・業界紙
「繊研新聞」「日本教育新聞」「日本農業」など
・専門紙
「日経産業新聞」「日刊工業新聞」「Fuji Sankei Business i.」など
新聞の部数(ABC発表部数 主な新聞)
2021年上半期 (1-6月)
読売新聞 7,166,592
朝日新聞 4,751,459
毎日新聞 2,011,884
中日新聞 2,020,387
日本経済新聞 1,887,070
産経新聞 1,205,916
各種の新聞広告
新聞広告のスペース(大きく分けて、2つ)
<記事下広告>
★新聞記事の下に掲載される広告
「全15段」 片面全面広告
「全7段」 高さは15段中7段、幅は片面いっぱいのスペース
「半5段」 高さは15段中5段(約1/3ページ)、幅は片面の半分
などがあります。
★その他
二連版広告(見開き広告。「のど」の部分にも印刷されている広告のこと。)
<雑報広告>
(新聞社ごとに定められた定型スペースに掲載されます)
★「題字下」 1面の新聞タイトルのすぐ下のスペース
★「突き出し」 記事下広告のすぐ上に掲載される小型広告
★「記事中」 記事の中に入る小型広告
「営業もの」と「臨時もの」
「営業もの」
★いわゆる、商品広告。
「臨時もの」
★死亡、火事見舞い、御礼、お詫び 等の広告。
事前の計画なしに、「臨時で出稿されるので、臨時ものという。第一社会面の記事下 掲載が多い。
「その他」
●法定広告 ●選挙広告 ●募集もの ●案内もの
新聞広告の料金体系
基本は、「記事下契約料金」と呼ばれる料金体系が多くの新聞社で採用されています。「一定期間内の “総出稿段数“ が多ければ多いほど、単価(一段当たり料金)が安くなる、という方式です。即ち、(仮に6カ月を契約期間とした場合)、その期間に合計何段分の出稿をされたかに応じて契約料金が決まる、という体系です。
新聞広告の料金は、大きく分けて 下記2点に集約されます。
1、スペース料金 ⇒ 「どれだけのスペースが必要か?」
2、付加料金 ⇒ 「色刷りにしたい」&「掲載面を指定したい」
◆新聞広告ならでは!◆
広告のスペースや形態は、紙面ごとの記事の形態で決まる
広告の申し込みから掲載まで
新聞に広告を掲載するときには、広告会社におおよそ以下のような希望を伝えます。
1. 掲載内容
2. 広告ターゲット
3. 掲載エリア
4. 掲載希望日
5. 予算
6. 使用希望媒体
7. 朝・夕刊
8. 広告段数
9. 希望掲載面
10. 色の有無
依頼を受けた広告会社は、なるべく希望に沿った広告掲載枠を探します。
<例えば>
掲載内容 : 「オーガニック きくらげ/椎茸」の新商品告知
広告ターゲット: 主婦を中心にした女性層
掲載エリア : 全 国
掲載希望日 : 1月20日~2月15日
予 算 : 1億5,000万円(原稿制作費 別途)
使用希望媒体 : 読売・朝日
朝・夕刊 : 朝 刊
広告段数 : 15段
希望掲載面 : 柔らかい面(生活面、くらし面など)
色の有無 : 色(有り)
プランにあった出稿計画が広告主と広告会社の間で合意できたところで、広告会社は具体的な広告枠の申し込みを始めます。
新聞広告の申込み
前月の中旬までに申込みます。遅くなればなるほど、希望面や希望掲載日で場所が取れなくなる可能性があります。朝日新聞では「SPEED」(掲載日・面)の早期確定制度を導入しており、2カ月先までの申込みを受け付けています。
新聞広告の広告審査
入稿された広告原稿は、新聞社の「広告審査」でチェックされ、パスした原稿だけが掲載されます。
■原稿の内容について
広告主が明確か?記事内容に誤りがないか?公序良俗に抵触しないか?違法性がないか?肖像権・著作権に抵触しないか? 等の「広告審査」が行われます。
<過去にNGとなったケース>
〇原稿内容について
・「NO 1」「最大(最小・最速)」客観的根拠を説明できないケース
・薬事法などの法令に抵触するケース
・比較広告をしようとして、誹謗・中傷にあたるケース。
〇印刷上の問題について
・色の濃さが適当か?(ウラ移りなど)
・文字の大きさが適当か?(文字が小さく、読者から読めないという苦情が入る可能性があるので掲載できない。)目安として11級。
新聞広告の入稿締め切り
「モノクロ原稿」の入稿締切りは、原則「掲載日の実働2日前の12時」です。
(GW・年末・年始は、早まる可能性あり)
「カラー原稿」の締切りは、「5営業日前の16時」です。
(新聞社により、異なる場合があるので、詳細は担当に確認。)
ただし、あまりぎりぎりに入稿すると考査でNGが出ても代替の広告原稿を用意できません。広告内容に気になる点がある場合は余裕をもって入稿するか、入稿用データを作成する前に広告内容を新聞社に示しておきます。
新聞広告の掲載日や掲載面の決定について
・新聞社の中で、広告局と編集局がスペースをどれだけ取るかの「編集・広告調整 会議」が行われ、例えば「この日は〇〇の催事があるので記事が増える」「広告の申込が多いので、スペースが欲しい」というような調整会議が行われます。その時点までの情報をもとに、仮で割り付け、広告会社と新聞社間での交渉が行われます。
その交渉を経て、掲載日・面が「ほぼ決定」となりますが、大きなニュースが発生した場合などでは、広告スペースが編集増段・広告減段ということが稀にあります。かなり突発的なことだとお考え下さい。送稿とともに、最終確定となります。
◆新聞広告ならでは!◆
広告内容の信ぴょう性・遵法なども厳しくチェック…広告も含めた新聞メディアの信頼性担保
その他の「新聞広告ならでは」
新聞広告の記事チェック/同載
広告掲載日に、クライアントにとって都合の悪い記事が掲載されていた場合、広告が掲載されていることで、イメージを悪化させる恐れがあります。その場合「広告」と「記事」の同載を避けたいところですが、記事内容の事前チェックは編集権の侵害になるので、基本的には出来ません。
<広告同載>
競合社の広告が、一緒に掲載されることを「広告同載」と言います。広告主によっては「同載不可」の条件付きで出稿することもあります。「自動車」と「アルコール」などは広告の同載が問題となることもあります。基準は広告主ごとに違いますが、一般的には新聞見開き内に掲載されている場合を「同載」と呼ぶことが多いです。
新聞広告原稿のカラー印刷
新聞のカラー印刷には、「多色」と「単色」の2種類が存在します。
「多色」⇒雑誌のカラー広告などと同様、Y(黄)M(マゼンタ)C(シアン)K(黒)の4色に分解して印刷します。
「単色」⇒通常の墨版の輪転機+他の色(+1色)を使用します。
新聞の記事体広告
記事体広告とは、編集記事風の体裁の広告のことを言います。新聞の特徴である「公共性」「権威性」から、通常の広告よりも「信頼性」「説得性」を持って受け入れられる傾向があります。
原稿制作は、新聞社広告局が行なう場合と、広告会社側で記事風に仕上げるケースがあります。
(※)新聞社制作の場合は、記事体部分のスペースも含めた掲載料にプラスして制作料が発生することがあります。
(※)実施するにあたり、記事体広告に添えて広告であることを明示する文字を入れることが条件になっており、これを「ノンブル」と呼びます。
広告主としては、「新聞の公共性、信頼性、権威性」を借りて、広告に説得力を付与しようという狙いがあっても、新聞社は「広告」と「記事」を明確に区別します。
新聞社主催・後援イベントへの協賛
社会性、信頼性の高い新聞社主催事業に協賛することで、一般消費者に対しての認識を深めていただく機会が創出できる可能性があります。
まとめ
新聞広告も今やその形態が多岐にわたっていることがご理解いただけたでしょうか。広告の発信者が誠実なメッセージを生活者に届けたい時、新聞広告は重要な選択肢の一つとなるでしょう。新聞が持ち続けている「公共性」、「権威性」、「信頼性」を活かしながら、ぜひ効果的な新聞広告の出稿をご検討下さい。
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