OOH(オー・オー・エイチ)とは?
OOHとはOut-of-Homeの略です。直訳すれば「屋外広告」となりますが、欧米より交通メディアが発達している日本では、交通広告と屋外広告を総称してOOHと呼んでいます。新聞・雑誌・テレビ・ラジオをよく「4マス」と呼びますが、OOHはこれと対照的に「非マス」領域の代表格と言えます。
成長するOOHメディア
OOHの大きな特徴は、特定の「コンタクトポイント」で強い訴求力を持つ、ということです。
「コンタクトポイント」とは、消費者と自社の商品やブランドとの接点のこと。OOHは消費者の購買行動に影響する “リーセンシーメディア”として、広告主から高い評価を受けています。
また、デジタル化の影響により苦戦を強いられるトラディッショナルな広告メディアの中で、T VとOOHは“出会い”のきっかけとなるメディアとして世界的にも成長を続けるメディアとなっています。
ここから、具体的なOOHの種類をご説明します。
交通広告
公共交通機関に関わる広告全般を総じて交通広告と呼びます。一般に知られている中吊りや駅張りなどの他に、ステッカーや柱巻きなど様々な媒体が鉄道・バス・空港などそれぞれに存在します。
◉ターゲット
公共交通機関に掲出されるため、ターゲットの中心は毎日の通勤・通学で電車やバスなどを利用しているビジネスマンやOL、学生など利用頻度の高い人々です。
車内
◎中吊り
列車の車内天井から吊るされるポスター広告のこと。
1車両に1枚掲出されるのが通常です。サイズはB3サイズを最小単位としています。
掲出期間は、平日期間内の場合は2日間、土日を含む場合には3日間というのが一般的です。
◎額面
列車内の壁面の枠等に入れられたポスター広告全般。
掲出位置ごとに、窓の上部分のものを「まど上」、ドアの上部分のものを「ドア上」、ドアの横部分のものを「ドア横」、車両連結口横のものを「貫通」などと呼んだりします。通常は1車両に1枚掲出されます。掲出期間は媒体毎に異なりますが多くの場合1週間ないしは1ヶ月単位です。
◎ステッカー
電車のドア周辺の壁面やガラス部分に貼り付けられている広告のこと。
特にドア横周辺に貼られるものを「戸袋」、窓ガラスに貼られるものを「窓ガラス」、車両連絡通路周辺に貼られるものを「貫通」と分類します。
◎車内ビジョン
主に車両のドア上に設置されているモニターで流される広告。
モニターが2つ左右にあり、一方が運行情報を、もう一方が広告を流すモニター、というのが一般的です。他の車内媒体と違い「動画」で訴求できる点が最大の特徴ですが、音声の出ない「無音媒体」で、音がないことを前提にしたCM作りが必要です。
◎その他
「広告貸切電車」、「車体広告(車体ラッピング広告)」、「つり革広告」等があります。
駅構内
◎駅ばり
駅構内に貼られたポスター広告のことを指します。主にホームのコンコースの壁面等に設置されたボードに貼られ、サイズはB0やB1が一般的です。駅ばりの販売方法は媒体社によって異なり、1駅1枚から「一般貼り」として販売している場合もあれば、複数の駅の駅ばりをセットで販売する場合もあります。
◎駅デジタルサイネージ
駅構内に設置された大型ディスプレイに動画やコンテンツを配信できる媒体です。
16:9の縦型ビジョンが現在の主流です。
◎駅特殊媒体
「柱巻(アドピラー)」「フラッグ広告」「臨時集中貼り」「駅シート広告」「フロア広告」「自動改札ステッカー」等、様々な媒体が存在。これらと「駅ばり」を組み合わせることで駅ジャックなどインパクトのある展開が可能になります。
◎駅電飾看板
駅ホームやコンコース内に設置されている、内照式の看板広告。掲出期間は通常3ヶ月単位ですが、1年〜数年間の長期掲出する広告主が一般的です。
◎サインボード
駅ホーム上のベンチ横や線路対向、駅構内の通路壁面などにボードとして設定されている大型のシート広告。販売方法は各駅毎に1面単位だったり、複数の駅のボードをセット販売しているケースがあったりします。掲出期間は一般的に、半月、1ヶ月、6ヶ月、年間です。
路線バス
◎バスシェルター
バス停に設置された専用の筐体に掲出される広告のこと。「シティスケープ」とも呼ばれます。内照式のため夜間はライトアップされます。公道上で歩行者が視認できる希少な媒体で、歩行者、バス停利用者に限らず、車道を利用する人からも視認性が高いのが特徴です。販売方法は2週間、隔週月曜スタートが基本で、1都市毎に媒体社が定めるセットに応じて実施可能です。
◎バス額面
路線バスの車内広告はステッカー広告等、各バス会社でいろいろ存在しますが、各社共通のものとしては「バス額面」があります。通常1車1枚の掲出で販売単位や掲出期間の設定は、バス会社によります。
◎ラッピングバス
路線バスの車両側面や後面に特殊シートを貼り付けた広告のことを言います。通常の申し込み単位は1台ごとですが、複数台数をセット販売していることもあります。掲出期間はバス会社によって様々です。
空港
◎電飾看板
空港内にある内照式看板です。掲出期間は、原則6ヶ月以上となっています。
◎その他
「イベントスペース」「大型バナー」等があります。
屋外広告
屋外広告のメディアの種類は多く、日々新たに生み出されています。以下に、「短期メディア」と1年以上を契約期間とする「長期メディア」と大きく2つに分けてその一部をご紹介します。
短期メディア
◎ネットワークボード/懸垂幕
繁華街や駅の前に目にするボードや、高速・幹線道路沿いにネットワーク化されたボードのことを言います。セット販売が主流です。これらのネットワークボードには繁華街にあり流行に敏感な若者に訴求できる繁華街ボードと、ターゲットをドライバーにセグメントしたロードサイドボードがあります。ロードサイドボードではデジタルサイネージをネットワーク化した「デジタルロードサイドボード」もあります。
また「懸垂幕」とは繁華街のビル壁面にかかっている1枚ものの塩ビ及び布のシートでできている幕のことです。
◎大型ビジョン
主に繁華街などにある屋外向けビジョンのこと。現在、全国で約100基あります。
15秒または30秒素材で7日もしくは14日間、3大都市圏で放映するプランがスタンダードです。
◎シアタープロモーション
映画館内におけるプロモーションのことです。映画本編の前に上映されるCM(シネアド)を中心にチケットカウンターでのサンプリングやロビースペースでの展示等、映画館全体を利用してプロモーションが可能です。「シネアド」は、選択する映画や、劇場の立地・タイプ(シネコン・ロードショー館・単館)等でターゲットを絞ることができます。
◎移動体メディア
観光バスやタクシー更にはトラック等の移動体に掲出される広告。有名な音楽アーチストのビジュアルがラッピングされた大型バス、ステッカーを窓に貼ったタクシー等です。最近では、タクシー内のデジタルサイネージも注目されています。
◎流通メディア
コンビニやスーパー、ドラッグストアなどの流通店舗周りに設置されるメディア。流通によって多種多様なメディアがあり、店舗内に設置されるPDP(プラズマディスプレイ)や、内照式看板等もあります。販売商品の売上拡大を期待したり、各流通との関係性向上を期待する場合もあります。
◎ルートサンプリング
美容院・C D販売店・幼稚園等で試供品やリーフレット等を配布するもの。通販カタログや宅配便への同梱もルートサンプリングです。
長期メディア
◎施設媒体
野球場やサッカースタジアム等の施設に設置・掲出される看板/サインのこと。
一般的なOOH媒体と違い1年以上の長期契約が多く、指定代理店制度を導入している媒体も多数あります。
◎広告塔
ビルの屋上等の看板のことです。「ネオン/L E D広告塔」、「内照式広告塔」「外照式広告塔」等があります。
まとめ
消費行動や意思決定の場に直結した媒体として、OOHメディアはプロモーションへのダイレクトな効果が期待される一方、効果検証や、情報到達の効率を計測する手段があまりなく、昨今のDATA重視のマーケティングプランに盛り込みにくい、という側面もあります。
そうした中、OOH媒体のデジタル化が欧米を中心に進化を続けています。“枠からヒトへ”という概念はマスコミ4媒体のみならず、OOHの進化系とも言えるDOOH(デジタルOOH)の分野にも浸透しつつあります。モバイルや位置情報を活用したOOH広告接触者の行動の把握や、広告コンテンツの連動により、今後新たなデジタルOOH活用の手法が開発されていくでしょう。
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