広告ビジネスの中で、オリエンテーション(オリエン)は広告を打とうと思う広告主が最初にまとめる「依頼書」のようなもので、それに基づいて行われる広告会社からの提案(プレゼンテーション、プレゼン)や最終的な実施・成果を大きく左右する大切なファーストステップです。
広告会社からプレゼンを受けたあとで、「ん~。なんか違う。どうしてこんな案しか出てこないのだろう…」と思ったことはありませんか。広告会社の理解力が足りない?企画力が弱い?もちろん、そういうケースもあります。でも、もし「なんか違う。」が続くようでしたら、一度オリエンを疑ってみてください。広告会社はオリエンに基づいてプレゼンをしますから、良いオリエンが良いプレゼンを呼び込みます。では、「良いオリエン」をするにはどうしたらいいでしょう。
オリエンの肝は「目的」
オリエンでは、「広告主は広告会社に何をしてほしいのか」を明確にすることが肝要です。その中でも最も重要なのは、「目的」です。「目的」とは、その施策によって何を解決したいか、何を達成したいか、ということです。
ターゲットの態度や意識をどのように変化させたいのか、ターゲットにどんな行動をさせたいのか、それが「目的」です。「新商品・サービスの市場導入なので、まずは認知を獲得したい。」、「この商品の〇〇という特徴を理解させたい」、「サイトでのユーザー登録を増やしたい」「オンラインイベントの集客数を増やしたい」など、発注内容に応じて様々ですが、目的があいまいだったり、たくさんあったりすると、広告会社は何をしたらよいのか迷ってしまいます。その結果、提案される施策案もぼんやりしたり、ピントはずれになってしまったりします。逆に適切・明確な目的によって広告会社からの提案も明確になりますし、結果として強い広告キャンペーンにつながるでしょう。
「目的」は、是非、ひとつに絞り込んでください。例えば、ECサイトでの売り上げを増やすために、新規ユーザーを増やしたいのか、既存ユーザーのクロスセルを増やしたいのか、どちらを選択するかで、施策は違います。何を「目的」とした施策を広告会社に求めるのか、それがオリエンの肝になります。
「目的」が決まれば、「目標(数値)」を決めることができます。「目的」の達成度を見極め評価するために設定するのが「数値目標」です。
そのオリエン、社内でオーソライズされていますか?
提案者がプレゼン中に、「あれ、なんか、マズいかも。」と感じる瞬間があります。 プレゼン出席者の中で一番上席の方が、となりの担当者に何か耳打ちしています。担当者がちょっと慌てた様子で、広告会社に渡したオリエンシートを上席者に差し出します。その光景を見た提案者は、「もしかして、このプレゼン、やり直しかも…」と思います。もっと深刻なケースでは、プレゼン途中で上席者が部下である担当者に向かって「どういうオリエンしたの?」と発言されることもあります。
要は、「広告会社にこういうオリエンをしますよ」という内容が承認されていないのです。プレゼンを受けながら、そもそも広告会社に何をさせようとしているのか、そのことに上席者が疑問を感じている状態です。そうした疑問は、ほとんどの場合、1.で述べた「目的」に関わることです。
広告主企業によっては、オリエンシートそのものに社内の承認印の欄があったりします。事業部担当者、事業部責任者、宣伝部担当者、宣伝部責任者…というように。でも、ハンコが押されていても、納得してもらえているとは限りません。忙しい上席者・責任者に事前にすべてを説明するのが難しい場合でも、「こういう目的で、広告会社にオリエンします」の部分だけは、あらかじめ承認をもらっておきましょう。
そのオリエン、広告会社をやる気にさせていますか?
オリエンで示された「目的」を達成するために、広告会社は施策案を練ります。提案した案が採用されれば、それを実施します。目的がゴールだとすれば、提案内容を練り、提案し、採用された案を実施するのは一連のプロセスです。このプロセスについても細かく指定するオリエンを目にすることがありますが、プロセスをガチガチに規定するのは得策ではありません。
広告会社に発注するのは、広告主の自社内だけでは得られないコミュニケーション領域の専門性を活用するためですから、その専門性を最大限に発揮させてこそ価値があります。そして、広告会社の多くのスタッフはプロセスに自由度があるほどモチベーションが高まり、かえって目的にかなう企画案が生まれたります。
目的を明快に示したら、あとは、そこに到達する道筋・やり方は思い切ってまかせるほうが、広告会社の力を引き出し、ジャンプした施策の実現につながるケースが多いのです。
オリエン項目
オリエンにどういった項目を含めばよいかについてはケースによっていろいろです。様々なサイトでも紹介されていますね。ここでは提案の領域に関わらず、広告会社へのオリエンでぜひ言及すべき項目に限定してみていきます。
■商品・サービスの特徴
対象となる商品やサービスの特徴を示します。競合する商品・サービスと比較した強み・弱み、販売チャネルや価格設定など。
■ターゲット
想定ターゲットの属性を示します。性別や年齢、対象商品・サービスカテゴリーへの関与度、職業や所得水準・居住地など。
■目的
オリエンの肝は「目的」をご参照ください。
■目標
目的に応じて、その達成度を測定するための目標数値を示します。
■求める提案内容
具体的に、提案物の書式や部数などを指定します。
■予算と期間
目的と目標を達成するために投下する予算金額を示します。また、例えばキャンペーン等の場合、その対象期間を示します。
■その他特記事項
準拠すべき法律(例:薬事法)や、同時期に当該商品で予定されている他の活動などがあれば示します。
まとめ
はじめてつきあう広告会社との仕事のスタートはオリエンです。それぞれの広告主のポリシーで、毎回複数の広告会社を呼んでオリエンを実施し、競合プレゼンをする会社もありますが、取引してみて「良い広告会社がみつかった。この会社に依頼してよかった。」と思えるようでしたら、是非継続を検討してください。
商品・サービスの理解度が深まり、広告主のお悩みをいつも共有できるようになれば、提案の精度もあがっていきますし、オリエンなんかしなくても、広告会社が自主的に「次の課題を解決するために、こんな施策をしましょう。」と提案を持ってくるでしょう。
会社の事情でどうしても競合にしなければならない場合でも、「じゃ、一緒にオリエンを作りましょう。」と言ってくれるはずです。
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