若者は「最初に新しくなる人」
「電通若者研究部(以下、電通ワカモン)」は、高校生や大学生を中心とした10~20代の実態を調査し、企業や社会、ブランドが若者とよりよい関係を築くために、プランニングからクリエイティブ開発までを一貫して行う電通内の特命異能ユニットです。
電通ワカモンが若者と向き合う理由は、若者こそ「最初に新しくなる人」だからです。いつの時代も、上の世代にいろいろ言われながらも、新しい感性や考え方で半歩先の未来を象徴する若者たち。彼らの持つ、しなやかなたくましさの中に、社会が未来に向かうためのヒントが隠されていると私たちは考えています。
そんな信念のもと、電通ワカモンは2017年、多様なバックグラウンドを持つZ世代の学生と企業による新しい形の産学連携型プロジェクトとして、共創プラットフォーム「βutterfly」を発足。Z世代の、既成概念にとらわれない視点と、電通ワカモンのプランニングやナレッジを掛け合わせることで、新規サービス開発・プロダクト開発・組織開発・広告表現開発など、さまざまな領域でコラボレーションを展開してきました。
Z世代インサイトから、半歩先の未来を読む
「βutterfly」では、毎月、現役の大学生と電通ワカモンのメンバーで、「ツギクル」ワークショップを実施しています。このワークショップでは、「次に来る“イベント”のかたち」「次に来る“健康”のかたち」など毎月テーマを設定し、大学生から提出いただいたレポートを元にディスカッションしながら、テーマごとに未来仮説を構築していきます。半歩先の未来を読むこの仮説のことを、私たちは「フォーサイト」と呼んでいます。
学生とのワークショップから、どんなフォーサイトが生まれるのか?ここでは、「次に来る“かっこいい”かたち」をテーマにした例をご紹介します。
学生たちのレポートでは、「次に来る“かっこいい”かたち」について、次のようなことが挙げられました。
・自分のコンプレックスを個性として自分の強みに変えるようなファッションスタイル
・世間の慣習に流されず、私はこれをやりません!と宣言すること
・サステナビリティーな生き方
・「かっこいい=男らしさ」ではなく、「かっこいい=その人らしさ」
・努力を隠すのではなく、努力をさらけだせる人がかっこいい
・見た目よりも、共感できるもの・ことがかっこいい
レポートではそれぞれ、「次に来ると考えた理由」と「そのかっこよさを具現化した事例」も述べられています。30以上あるこれらのレポートをもとに、時にZ世代の大学生たちとディスカッションしながら、電通ワカモンのメンバーで話し合い、「かっこいい」のフォーサイトの輪郭を掴みにいきます。
そこで生まれた仮説は、「かっこいい」の基準は自分のスタンスを持っていることなのではないか、ということ。過去にさかのぼると、例えばタバコに象徴されるように、反体制的なものがかっこいいとされている時代がありました。あるいは流行を取り入れた「見た目の良さ」が重視されている時代も長く続いてきたと思います。しかし、これからは、「スタンスを持って生きること」「信念を持って行動する姿」が、かっこいいと支持を集めています。「かっこいい」と感じるポイントが、「表面」から「内面」にシフトしているようです。
ではなぜスタンスを持っていることが支持されているのか。SNSで誰もが発信できる時代になったいま、特に著名人は、異なる価値観の人からの誹謗中傷やアンチコメント、あるいは思わぬ方向からの“クソリプ”を浴びる機会が増えています。
このような中で、「スタンスを持っている人」は 、フォロワーが自分や自分のスタンスを“推す理由”をつくっていることになります。フォロワーは「何となく」ではなく、明確な理由をもって批判的な意見に対抗できる。つまり、「スタンス」は「推しやすさ」につながり、フォロワーシップを形成しやすくなるのです。
このような議論をもとに、本テーマのフォーサイトを次のようにまとめました。
キーワードの1つ目は、「常識に反するとも、思想を持つ」です。「芸能人は政治の話をしてはいけない」「女性は〇〇しなければならない」などの常識や慣習にNOと言えることや、自らのオピニオンを発信できることが、「かっこいい」の重要な要素になっています。
キーワードの2つ目が地球/環境視点です。消費の選択肢が増え、「安くていいもの」が当たり前になる中、「明確な理由があるから選ぶ」という“イミ消費 ”の時代になってきています。その“イミ”の多くを占めるのが、地球や環境に対する視点を持っているかどうかです。
キーワードの3つ目が、「嘘をつかず、透明性がある」こと。情報の透明性が高まり、物事の裏側まで見えるようになりました。企業の言動の不一致をはじめ、嘘はバレる時代。広告だけで良いことを言っている企業や、身の丈を超えたことを言っているブランドは支持されません。
このように学生とのワークショップを通して生まれたフォーサイトは、サービスやプロダクト開発などさまざまな領域において新しい視点を与えてくれます。
新しいマーケティング発想が生まれる「フォーサイトプランニング」
このたび、電通ワカモンは、Z世代のインサイトからフォーサイトを導き、プロダクト開発やコミュニケーション開発など、あらゆる企業活動のコンセプト開発を支援するサービス「Foresight Planning(フォーサイトプランニング)」を提供開始することにしました(リリースは、こちら)。
競合分析や顧客分析など、従来のマーケティング発想では、正しいけれど面白くない、正しいけれど当事者には刺さらない、机上の空論のコンセプトになってしまいがち。フォーサイトプランニングでは、従来のマーケティング発想だけでなく、Z世代のインサイトやn=1の視点から導き出すフォーサイトもよりどころとします。社会と若者の翻訳者として活動してきた電通ワカモンがコンセプト開発を行うことで、半歩先の未来の価値観や潮流を捉え、左脳と右脳のバランスのとれたプランニングを可能にします。
フォーサイトプランニングは、大きく3つのステップで行います。
①共創プラットフォーム「βutterfly」を活用し、未来仮説(フォーサイト)を構築
②フォーサイトを起点としたコンセプトを開発
③クリエイティブ開発や継続的なコンサルティング活動を提供(オプション)
実際のフォーサイトプランニングでは、新規に実施するワークショップはもちろん、これまで電通ワカモンが構築してきた数々のフォーサイトや、Z世代の学生へのインタビューを通してコンセプトを開発していきます。すでに複数のクライアントやブランドにてフォーサイトプランニングを活用したリブランディングも実施しています。
「フォーサイトプランニング」についてのお問い合わせは事務局まで。
【お問い合わせ先】
フォーサイトプランニング事務局(電通若者研究部内)
d.wakamon@dentsu.co.jp
電通若者研究部(電通ワカモン)は、高校生や大学生を中心とした10~20代の実態を調査し、企業や社会、ブランドが若者とよりよい関係を築くために、プランニングからクリエイティブ開発までを一貫しておこなう電通内の特命異能ユニットです。
https://dentsu-wakamon.com/
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