「アイデア」で、音楽に関わる人に恩返しをしたい!
前回の記事でご紹介しましたが、音楽ライブ配信ソリューションを提供する「DENTSU音楽がかりONLINE」(以下、音楽がかり)が誕生したきっかけはコロナ禍です。
ライブに行けない渇望感から、電通社内の音楽ファン同士が情報交換を始めたことが発端ですが、これをビジネスに発展させたいと思ったモチベーションは、音楽業界、特にライブ・エンタメ業界の苦境です。
ぴあ総研によると、2020年のライブ・エンターテインメント市場規模は1836億円。前年の7割減と試算されています。
パフォーマンスをする人はもちろんのこと、ライブハウスやホール、フェスのオーガナイザー、その場をつくり上げる数多くのスタッフが活躍する場を失い、経済的に打撃を受けています。そしてそれは一過性のものではなく、2021年になっても続いています。
この苦境を前にして、アイデアをビジネスにして多くの人に還元することこそが、音楽を支えてくれている人たちへの恩返しと信じ、音楽がかりは活動しています。
そのため、音楽ライブ配信のビジネスやイベントを生むことはもちろんのこと、課題によってはチャリティーのスキームを組み込むなど、さまざまなソリューションを開拓しています。
VR、LED、コミュニティー。配信することで、音楽ライブは多くのパートナーを見つけた
2020年はライブが配信にシフトしただけでなく、その見せ方も進化した一年でした。
ライブコンサートをそのまま収録・中継・配信するスタイルは基本型としてありつつ、普段は人を収容できないような場所で実施したり、まるで映画のようなビジュアルエフェクトを加えたりと、いろいろな進化型が見られました。
私が見たあるライブ配信は、夜の森にランタンを灯して行われたもので、幻想的な風景の中で人気アーティストを間近で見るような親密な演出は、配信ならでのアイデアだと感動しました。
音楽ライブ配信はVR、LEDといった技術も配信との相性が良く、アーティストもさまざまな演出にチャレンジしています。
例えば、オンラインゲーム「フォートナイト」内ではアーティストによるライブが開催されました。世界ではラッパーのトラヴィス・スコット、日本ではシンガーの米津玄師のライブに多くの視聴者が集まり、話題になりました。
その他にも、渋谷区公認の第二の渋谷「バーチャル渋谷」がVRライブ会場になるなど、音楽ライブ配信の世界では、技術と掛け算した新しい楽しみ方が増えています。
しかし「音楽×配信」の姿は、最新テクノロジーを用いたものとは限りません。例えば自粛期間には、アーティストが自宅や作業場からSNS配信を使い、ライブを中継するなど、アーティストと直でつながる感覚の音楽ライブも多く見られ、定着していきました。
また、ファンクラブが進化して、アプリやウェブ上で会員コミュニティーをつくり、会員限定のコンテンツやライブを配信する事例も見られました。私もInstagramライブで、演奏の合間にチャットの質問に答えるアーティストの姿を見て、今まで会場で行われていたコール&レスポンスが進化したものだという印象を受けました。
音楽ライブ配信というと、一方的にコンテンツを流すとイメージされがちですが、実はコミュニティーとも相性が良いと実感した1年でした。アーティストからは「配信はオーディエンスの反応がなくて面白くない」という意見も聞かれますが、コミュニティーとの相性の良さを考えると、今後はファンや視聴者の反応をフィードバックする仕組みがあれば、より発展する可能性があります。
「必要は発明の母」ではないですが、音楽ライブはコロナ禍を経ることで、音楽を届ける人と聴く人をつなぐシンプルな関係性から、テクノロジー、コミュニティーとの掛け算へと一気に進化しました。ここにこそ“クリエイティブの種”があると、音楽がかりでは考えています。
音楽がかりは掛け算をストーリーにする!
音楽がかりは大きく分けて「プロデューサー」「クリエイティブ」「テクニカル」の3領域の人材で構成されています。
私の所属するクリエイティブチームでは、ライブイベントのコンセプトづくり、制作、それに伴うコミュニケーション作業が主です。しかし、アイデアはクリエイティブチームだけが考えているのではなく、プロデューサーチームやテクニカルチームも一緒。知恵と経験と発想力をお互いフラットに出し合うのが音楽がかりの特徴です。
クリエイティブチームは、広がるアイデアを「ひとつのストーリーに組み上げる担当」といえるかもしれません。
なぜフラットなのか?理由は二つあります。
一つ目は、先ほど音楽ライブ配信の進化型の話で書いたように、これからは音楽ライブを配信するだけでなく「音楽×配信×〇〇」の掛け算こそが必要です。〇〇に当たる部分は、さまざまなステークホルダーの情報とニーズを握るプロデューサーが、あるいは実現のための手法やテクノロジー視点を熟知しているテクニカルチームが提案する場合もあります。
それぞれが持っているノウハウがどれもアイデアになるため、フラットなチームになっています。
理由の二つ目は、音楽がかりの向き合う相手はアーティストやスポンサー企業だけでなく、アーティストのファンの人々、イベント会社や配信会社、関連団体まで、多岐にわたっていることです。
つまり、広告コミュニケーションの場合、多くはスポンサー企業の課題があり、そのためのソリューションをつくりますが、音楽がかりでは、関わる多くの人がWin-Winになる形を模索します。そのため、いろいろな立場の意見を集め議論することが多く、メンバーも多視点であること、フラットであることを意識しています。
音楽がかりが導くアイデアは、「音楽×配信×スポンサーA×テクノロジーB」かもしれないし、「音楽×配信×スポンサーCの持つ施設×団体Eのドネーションの仕組み」かもしれません。あるいは「音楽×配信×メディアF×スポンサーG×ファンコミュニティーH」かもしれません。
そして電通の豊富なクライアントリソースも、掛け算のひとつの要素です。この掛け算の要素が多いほどたくさんのアイデアを生むことができ、さまざまなストーリーを描けるのが「DENTSU音楽がかりONLINE」の強みです。
例えば、あるクライアントのコミュニティーサイト向けに提案した際には、
「コミュニティー×その季節のお客さまのインサイト×オンライン配信フェス×プレゼントキャンペーン」
の掛け算を考え、それをつなぐストーリーとして、“ステイホームだからこそどっぷりと好きな音楽に浸るシチュエーション”を描きました。
あるいは昨年、音楽とアートが融合したフェス向けに、“フェスに行けないからこそ楽しめる、ゆったりとしたアートと音楽のある時間”をストーリーに、
「感度の高い顧客を持つクライアント×幕間の時間を生かしたオンライン限定のインタビューコンテンツ」
を企画しました。
一緒に掛け算をしてみたいなと思った方、アイデアをお持ちの方がいれば、ぜひ気軽にご連絡ください。音楽がかりといっしょに、音楽に恩返しをしていきませんか。
【お問い合わせ先】
DENTSU音楽がかりONLINE
ongakugakari@dentsu.co.jp
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