インフルエンサーとは、2000年代後半に登場したSNS上で情報発信をして、世間に与える影響力が大きい人のことです。インフルエンサーが取り上げたグルメ情報によって飲食店に行列ができたり、ファッションアイテムが瞬く間に完売したりするなど、消費に与える影響は無視できなく存在となりました。現在では、企業がインフルエンサーと正式にアンバサダー契約を結び、PRの一環として商品レビューやキャンペーン情報を発信するケースも増えてきています。実際にインフルエンサーにはどのような種類があり、そしてどのように企業から依頼をすればよいのか解説します。
誰でもインフルエンサーになれる
インフルエンサーには明確な資格などがあるわけではありません。知名度の高い芸能人やスポーツ選手だけでなく、サラリーマン、主婦、学生など一般人でも、SNSに投稿するコンテンツに魅力がありフォロワーが集めることができれば、インフルエンサーになれる可能性があります。
インフルエンサーの種類と違い
インフルエンサーは、発信をするSNSごとに呼び方が異なります。SNSごとにコンテンツのフォーマットが異なり、求められるコンテンツも違います。
エンターテインメント要素が強いユーチューバー
動画共有プラットフォームYouTube(ユーチューブ)に自身のチャンネルを開設して、動画を投稿している人をユーチューバーと言います。ユーチューブの規約に違反しない限りは、誰でもユーチューブ上に動画をアップすることができます。
ユーチューブには毎日膨大な量の動画が投稿されるため、勝手に再生回数が伸びていくわけではありません。ユーチューバーは、企画を立て、撮影と編集をして、自身のユーチューブチャンネルに動画を投稿します。ユーチューブにはテレビのバラエティ番組にようなお笑い企画もあれば、料理のレシピ紹介、自動車を整備している様子を投稿するなど、コンテンツの幅はさまざまです。まさにユーチューバーはテレビ番組制作会社のようなものです。個々が考える『面白い』が動画によって形になることで、新しいエンターテインメントが生まれています。
ユーチューバーはチャンネル登録者数や総視聴時間など一定の条件をクリアすると、自身のユーチューブチャンネルで表示された広告収益の一部を受け取れるようになります。その金額は、再生回数が伸びるトップクラスのユーチューバーだと莫大なものになります。すると、収益をもとに制作費をかけてさらに魅力的な動画を制作できるようになり、さらに再生回数が伸びるようになります。また、人気ユーチューバー同士がコラボ動画を制作してお互いのチャンネルで公開することにより、それぞれのファンが相手の動画を視聴するようになり、再生数が大きく伸びます。そうして一部のユーチューバーがどんどん再生数を伸ばし、集まってコミュニティとなり、ますます影響力を増大させていきます。
企業がユーチューバーを起用する場合は、動画投稿キャンペーンに参加してもらったり、体験している様子がないと魅力がわかりにくい施設や商品などのレポートを依頼するのが適しています。
ビジュアル重視ならインスタグラマー
写真や動画を使ってコミュニケーションをするSNSのInstagram(インスタグラム)には、ファッション、コスメ、トレンドスポット、グルメなどに関わる写真もしくは動画と、テキストが投稿されています。そして、インスタグラムでフォロワーが多い人のこととインスタグラマーと呼びます。モデル、美容研究家、ファッション関係者、料理研究家など、人気が高いテーマのプロフェッショナルがフォロワーを集めやすい傾向があります。
インスタグラムでは、興味のある投稿をしている人をフォローするか、ハッシュタグや検索の機能を使って自分が興味ある投稿をしている人を探して閲覧します。おしゃれな写真を投稿すると、たくさんの「いいね!」がつくことから、「インスタ映え」という言葉が使われるようになりました。ストーリーという短尺動画を投稿する機能があり、投稿から24時間以内に消えてしまいます。ライブ配信の機能もあります。
インスタグラムは外部とのリンクを投稿内に設置することができないため、基本的にはインスタグラム内でのコミュニケーションを重視しています。
ファッションや美容などは、インスタグラムが消費に与える影響が特に大きいため、アパレルやコスメ関連の商品のPRには、インスタグラマーは欠かせない存在となっています。
ティーンをターゲットにするならティックトッカー
ティックトッカーとは、若年層に絶大な人気を誇るTikTok(ティックトック)という短尺動画アプリにコンテンツを投稿している人のことです。
ティックトックは中国の「ByteDance(バイトダンス)」という会社が運営しており、15秒〜1分の短尺動画をアップします。最新の楽曲に合わせて振り付けをすることや、早回しなどの機能を使うことで、簡単におしゃれな動画を編集できることが特徴です。
2020年に紅白歌合戦に出場した瑛人の「香水」のように、ティックトックがきっかけで大ヒットする楽曲もあり、今やヒットを生み出す一大メディアとなりました。ティックトックはユーザーが若年層に偏っているためそれだけでフォロワーを増やしている人は少なく、大体はツイッターやユーチューブとの併用で、生活者との接触を増やしながらフォロワー数を増やしています。
若年層を対象にしたキャンペーンの告知などには、ティックトッカーの起用が適しています。
深い洞察により理解促進を促すならブロガー
1990年代後半から、インターネット上で日記をつけられるサービスはありました。それが、より高度な記事編集ができ、読者登録機能や、いいね!やコメントなどを記事単位でつけられるようになったものがブログです。2000年代に多くの芸能人や有名人がブログを開設するようになり、ジャーナリスト、経済評論家、子育て日記など、さまざまなバックボーンを持った人たちが書くブログが人気となりました。ブログが書籍化され、ベストセラーになったり、映画化やドラマ化されたりするケースも多くあります。アメブロやnote(ノート)などのプラットフォームを使用する場合と、WordPress(ワードプレス)などのCMSを使って、自分で構築する場合があります。
テクノロジー関連やBtoB商材など、専門性の高い解説が必要な商品のプロモーションには、ブロガーとのタイアップが有効です。
バズ要素があり、拡散を期待するならツイッタラー
ツイッターを使用してツイート(投稿)するユーザーのことをツイッタラーと言います。ツイッターは全角140文字/半角280文字にも文字数が制限されおり、2006年に登場した時はミニブログとも呼ばれていました。ハッシュタグをつけることができ、自由に外部にリンクを貼ることも可能です。リツートと呼ばれる誰かのツイートを再びツイートする機能により、爆発的に情報が広がる可能性があり、知名度や専門性にかかわらず多くの人が利用しています。ツイッターは、アメリカのドナルド・トランプ元大統領や、テスラ社のCEOであるイーロン・マスクを初め、世界中に大きな影響力を持つ政治家やビジネスパーソンが重要な発表をする際にも利用しており、テレビや新聞などのメディアにも大きな影響を与えることがあります。
文字数が限定されていることから、複雑な情報を説明する必要がない、プレゼントキャンペーンの告知や、お手軽に試してシェアできる商品のサンプリングなどに適しています。
企業がインフルエンサー施策を実施するには
企業がインフルエンサー施策を実施する際には、中長期的にアンバサダー契約を結ぶ場合と、スポットで投稿を依頼する場合があります。
アンバサダー契約では、実際に商品を使用してもらい、その感想などを継続的に発信してもらいます。元々利用者であった人などを探し依頼をすることで、よりリアルな感想を発信してもらうことが期待できます。商品理解と関係性が深まれば、一緒に新商品開発を行ない、実際にコラボ商品として販売することもあり、インフルエンサーのファンを企業の顧客に呼び込むことができます。
スポットで投稿を依頼する場合は、インフルエンサーと企業の間には深い関係性の構築は難しくなるため、単純な商品レビューだけではそこまで大きな反響を得ることが難しい可能性があります。例えば動画投稿キャンペーンであれば実際にインフルエンサーにも動画を制作して投稿をしてもらったり、インフルエンサーが普段から利用しているものとセットで紹介してもらったりするなど、ただ単に広告のような投稿をしてもらうだけではない仕掛けがあると、情報の広がりに期待ができます。
フォロワーの数だけでなく、エンゲージメントも重要な指標に
フォロワー数が多いと、より多くの人に投稿が知られる可能性があります。新聞や雑誌の発行部数に近い指標とも言えます。しかし、実際にフォロワーとどの程度深い関係性があって、投稿が大きな影響を与えているかを図る指標として、エンゲージメント率を見ることがあります。SNSには、いいね!やコメントなど、投稿を閲覧した人がリアクションをすることができる機能がついています。この数を足しあげて、フォロワー数で割ることでエンゲージメント率を算出することができます。
どうやってインフルエンサーに依頼するのか
一般的に、企業からインフルエンサーに投稿を依頼する最もシンプルな方法は以下の通りです。
[Step.1]
まず依頼をしたいインフルエンサーが使用するSNSに自社の公式アカウントがあるかを確認します。ない場合は、新規でアカウントを作ります。
[Step.2]
インフルエンサーのアカウントをフォローや読者登録し、DMやメッセージ機能などを使ってコンタクトを取りたい旨を送り、返事を待ちます。仕事依頼用のメールアドレスが記載されている場合には、そちらにメールを送ります。
[Step.3]
相互フォローなどにより連絡が取れるようになったら、依頼したい内容や条件を丁寧に伝え、相手の意向を伺います。条件がマッチすると依頼が成立し、以降は契約を進めたり、具体的な投稿内容の依頼をしたりします。
なお、インフルエンサーが芸能活動をしている芸能人や有名人であったり、トップクラスの人気ユーチューバーであったりする場合は、交渉の窓口となる所属事務所があります。事務所の連絡先が伝えられるので、担当マネージャーを通じて依頼を行います。
交渉を、広告会社やPR会社、インフルエンサー専門のエージェンシーに代行してもらう事も可能です。これらの会社はインフルエンサーに企業からの依頼を繰り返し行っており、すでに依頼したいインフルエンサーとのリレーションが強固になっている場合もあり、スムーズに交渉を進めることができます。
健全にインフルエンサー施策を実行するために
企業が何かしらの報酬を渡しているのに隠してインフルエンサーに投稿することは「ステマ(ステルスマーケティング)」と呼ばれて、これらの行為は違法とされる国もあり、社会から強い反発を受けます。
インターネット広告に関わる業界団体であるJIAA(一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会)が定める広告ガイドラインや、WOMJ(WOMマーケティング協議会)が定めるWOMJガイドラインに従って、広告であることの表記や、インフルエンサーと企業間の関係性と便益の明示を必ず行う様にしてください。また投稿内容が薬機法や景表法などに抵触してはいけません。投稿を依頼する段階で、注意事項として伝える必要があります。
健全なインフルエンサー施策を実現するためには、両協会の会員となっている広告会社やPR会社、インフルエンサー専門のエージェンシーに相談すると安心です。
まとめ
SNSの普及により、個人がメディアを持つことが当たり前の時代となり、インフルエンサーの発信力は、消費に大きな影響を与えるようになりました。インフルエンサーの影響力は日々強くなり、企業のマーケティングに欠かすことのできない存在となりつつあります。インフルエンサーの特徴をよく理解して、正しく活用をしていきましょう。
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