パラ馬場馬術は1996年アトランタで開催されたパラリンピックより正式種目に加わりました。パラリンピック競技の中でも唯一の採点競技であり、こちらも唯一ですが、動物と一緒に演技を行う競技であることが特徴です。ヨーロッパ(特にイギリスが強豪)において盛んな競技であり、東京2020パラリンピック競技大会において、63歳(開催時点)の宮路満英選手が個人で7位入賞するなどで注目をあびた競技です。パラ馬術に協賛することで、アニマルセラピー内で最もメジャーともいわれるホースセラピーへの理解がある企業として、共感を得られる可能性もある、今後注目の競技です。
パラ馬術とは
パラ馬術は、演技の芸術性や技の正確さを競います。上肢や下肢、視覚に障害がある選手が出場し、障害の程度や違いに応じて5クラスに分かれます。男女の区別はなく競技は行われます。パラリンピック競技大会においては、決められた演技を行う「個人規定」と、その上位進出者が出場でき、選手各自が選んだ楽曲に合わせて演技する「自由演技」、選手3人で構成するチームで争う「団体」があります。
障害に応じて馬具を改造したり、使い方を工夫したりすることができ、むちを2本使う選手もいます。視覚障害の選手には声で位置を知らせる役割の「コーラー」、記憶に難のある選手にはコースなどを伝える「コマンダー」が補助することができます。
馬の歩法はスピードの違う常歩(なみあし)、速歩(はやあし)、駈歩(かけあし)の3種類が基本です。さまざまなリズムのステップを踏んだり、図形を描いたりすることで正確性や演技力が審査されます。パラリンピック唯一の採点競技で、複数の審判によって得点が決まります。
【採点の基準(着眼点)】
- 正確さ…運動内容を正確に行なっているか
- ペース…歩法のリズムが正確か
- 活発さ…馬が活気良く歩いているか
- 調 和…人馬が一体となっているか
【美しいとされる演技】
- 馬の体勢
馬の首がキュッと縮まり、頭が上がって地面に垂直に垂れている状態が美しい姿勢です。
- 後肢の踏み込み
歩く際、後肢が前肢のつけた蹄跡により近づくと評価が上がります。
- 馬のリラックス
馬は緊張していると耳を伏せます。この状態は馬の自然な動きに影響を与えます。
パラ馬術が注目に値するもう一つの要素として、「アニマルセラピー」「ホースセラピー」効果があげられます。筋肉運動の整合や平衡感覚の向上など、障害そのものの軽減効果も期待できますし、人(騎乗者)と馬とのコミュニケーションが成立することの身体的・精神的満足感も乗馬ならではの効果です。青空の下、訓練室で行うような訓練を行う解放感が、知的障害・精神障害を持つ子供たちに効果を上げているという検証もなされています。
[Tips]パラ馬術はまだ歴史の浅い競技ではあるが、人と馬が一緒に歩んできた歴史は深く、アニマルセラピーの中でもメジャーといわれている「ホースセラピー」の要素が含まれる、今後注目のスポーツ。
日本障がい者乗馬協会について
国内の統括競技団体として、日本障がい者乗馬協会が1995年に設立されました。以降、多数の国内大会の開催を実施、国際大会に選手派遣を行い、2016年「一般社団法人日本障がい者乗馬協会」に名称変更、現在に至ります。
協会の活動方針としては、「競技の奨励と、競技会の開催」があります。ただし、単なる競技志向ではなく、一度もスポーツに触れ合ったことのない障がい者への門戸開放であったり、技術の習得による向上心の育成であったり、すそ野の拡大、唯一のパートナーである馬との意思疎通など、他の競技とは少し異なった視座を持っている協会であるとも感じ取れます。
最近では、「乗馬倶楽部銀座」との連携で体験を促進するほか、公式インスタグラムを開設するなど、生活者との接点を増やす活動を行っています。
[Tips]競技はもとより、障がい者のQOLに寄り添った活動方針を持ち、共生社会実現にチャレンジしている協会。
協賛メリット
現在のスポンサードは30万円から500万円までの協賛プログラムがあります。
公式ホームページや大会会場での企業ロゴ露出が中心となりますが、別途乗馬体験のイベントへの協賛もあるようです。パラスポーツ唯一である、動物を操る競技を通じて、企業価値の向上が期待できます。
[Tips]共生社会の実現、SDG‘s視点の活動後援など、競技団体側との協議により、今後さまざまな協賛メリットが協創可能である。
まとめ
いかがでしたでしょうか?動物を操る競技であること、パラスポーツでありながら障がい者であるハンディキャップが少ないこと、競技としてだけでなく、セラピー効果についても世界各国で研究されていることなど、数々のユニークな特徴をもった「パラ乗馬」。競技の特殊な部分はもとより、競技団体との折衝により、まだまだ新しい協賛メリットが引き出せそうな、魅力的なスポーツといえます。詳細は日本障がい者乗馬協会にお問合せ下さい。