コロナ禍でリモートワークにおけるオンラインミーティングが一挙に普及。またコンサートやイベントの中止や観客制限下での実施により、自宅で楽しめるライブ配信も瞬く間に生活に浸透してきました。むしろ我が家に居ながらたくさんのコンテンツが観ることができるようになった状況を、前向きにとらえる人も多いようです。いま急激に広がりを見せているライブ配信サービスはどんな使い方がされているのでしょう。エンタメ業界に限らず最近ではさまざまな企業がPRの手法として積極的に取り入れてきているようです。
ライブ配信の種類
さまざまなサービス、アプリ乱立の状況
ネットで「ライブ配信アプリ」を検索すると、実にさまざまなタイトルが出てきます。誰もが知っているYouTube、Facebook、twitter、Instagram、LINEといった巨大SNSプラットフォームにもライブ配信機能は搭載されています。また新興のサービスではザッと上げるだけでも「17LIVE」「ミクチャ」「Pococha」「SHOWROOM」「Spoon」「21LIVE」「REARITY」「Mirrative」「EVERY.LIVE」「BIGO LIVE」「ボイコネ」・・・・乱立状態と言ってよいくらい多くのアプリが存在しています。ユーザー数も数千万人を超える規模に成長してきています。ライブ配信を始めようと思っても、いったいどのサービスを選んだらよいのか途方に暮れてしまいます。
さまざまな特徴
ひと言にライブ配信をするといってもその目的は多岐にわたるでしょう。個人として配信なのか、会社としての配信なのか、社外向けなのか、社内向けなのか、モノを売りたいのか、イベントの告知をしたいのか、ターゲットはどの年齢層なのか、女性か、男性か…上記に挙げたサービスはほんの一例ですが、それぞれのユーザー層や得意な領域が違っています。狙った層に強い配信サービスを選ぶことが大切になります。まずはそれぞれのメインユーザーのポートフォリオを確認し、配信コンテンツの傾向や使用できる機能をチェックしましょう。
企業が行うライブのメリット
企業がライブで配信をする場合、一つには社内向けのウェビナーや会議、式典などの放映を目的とするものがあります。ただここでは主に社外顧客に向けての活用法を考えていきたいと思います。ライブ配信のメリットとして考えられるのは、下記のようなものです。
- ライブであることの熱量で顧客との距離が縮まる
- 双方向機能で書きこみ、注文などができることから、顧客のリアルな反応を確認できる
- コツさえつかめばスタッフも予算も最小限に抑えられる
- ライブなので編集する手間がかからない
- ライブをのちに編集して自社HPなどへの呼び水としてアーカイブ化もできる
Tips まずはそれぞれの配信サービスのユーザーやコンテンツの傾向を確かめて選択する。
活用法いくつか
ライブコマース
実際の活用法としてどのようなものがあるか見ていきましょう。
今後最も広がりの可能性を示しているのが、このライブコマースです。最近ではあまり見かけなくなりましたが、デパートやスーパーなどに行くとよくあった「実演販売」、そのネット版と言えるでしょう。一部のテレビショッピングなどにもライブで行うものもありますが、ネット上では顧客とのやり取りがよりリアルにオンタイムに実現できます。担当者やモデルが実感を込めて話す言葉にエンゲージメントも高まり、その場で売買も成立します。すでに中国などでは非常に盛んになっているシステムですが、日本ではまだ開拓の余地が残されているようです。専門の配信サービスなど続々と立ち上がっているので、特に「商品を売る」ことに注力したい場合、実施の検討をしてみてはいかがでしょうか。
商品発表会などイベントの中継
社としての大きなイベントをより多くのユーザーへ告知したり、リアルでの参加が難しい人たちに向けてライブ中継を行うことも有効です。大掛かりな体制を作って中継をしなくても、少人数で手作り感たっぷりに作られた配信も逆に親近感が増したりします。たとえばデパートの催事場からのライブ配信なら、店舗への潜在的な顧客の誘因に貢献できるでしょう。
オンラインセミナー、勉強会
自社の商品・コンテンツに関連するセミナーや勉強会をライブ配信する企業もあります。参加に関しては内容によって無料、有料の使い分けをしてもよいでしょう。潜在的な顧客の知識欲を満足させつつ、自社への好意度とエンゲージメントを高めるための方策です。のちにダイジェスト版をホームページ上に格納し、コンテンツとして活用することもできます。
社内レポート、インタビュー中継
短期的な売り上げにはつながらなくとも、長い目での企業の好意度や親近感アップのために日常の社内、工場、現場の様子や、トップの方々、社員のインタビューなどを中継する活用法もあるでしょう。ただこの場合、漫然と中継するのではなく、時流に合わせた企画と構成を事前に立てることが必要です。あくまで見ている人が面白いな、と感じられる内容でなくてはすぐに離脱され、むしろ逆効果になってしまいます。
Tips 目的によってライブ配信の活用法は様々。大きな予算をかけなくてやり方はある。
ライブ配信を効果的に行うために
誰に向けて、何のために、何を、の確認
まずは誰に向けて、何のために、何を伝えたいかを確認しましょう。たとえば10代の女性向けのコスメ商品を伝えたいのであれば、10代女子ユーザーの多い配信サービスを選び、そこでどういった形で訴求するのかを考えるとよいでしょう。ライブコマースであれば、そこに特化したプラットフォームもあります。ある商品カテゴリーを専門に扱っていたり、どういった手法で配信を行ったらよいかのコンサルサービスまで実施していたりするものもあります。
企画性
極端に言えばスマホ1台あれば誰でもすぐに始められるライブ配信ですが、企業として活用する場合、やはり企画性についてはきちんと事前に詰めるべきでしょう。ライブなので特に話し手のキャラクターは重要です。けして熟練の人ではなくても、誠実感のある人、実感をもって話せる人、時には外部からインフルエンサーを招いたりするのもよいでしょう。また配信時間帯もユーザーの特性を考えながら必ず固定にする、同じ曜日にする、毎日するなど、様々な工夫をこらしている企業も多いようです。
告知の重要性
とても有用で見ていてワクワクするライブ配信を行えたとしても、それを視聴してくれる人がいなかったら意味がありません。せっかく企画を立てたのなら、それを多くの人に事前に告知し集客することも合わせて考えましょう。すでにSNSに一定のフォロワーがいるブランドなどであれば、SNS上で告知すればよいかもしれません。そうでない場合は予算に応じてエリアや媒体を絞り、告知広告という手法も検討してみるのもよいかもしれません。より効果的なプロモーション施策としてプロジェクトを構築しましょう。
Tips ライブ配信の目的の確認、企画性の検討、告知の重要性を押さえておく。
まとめ
やり方によってはとても廉価で手軽に商品や企業をアピールできるライブ配信。受け皿のサービスも含めて、今後さらに市場が拡大することは間違いありません。一方で、ライブであるが故のリスクもつきものです。不注意な発言や、不正確な情報を伝えることでたちまち炎上することもあります。企業が責任と自覚をもって、きちんと準備をした上で世の中に発信していくことが大切です。