広告業界におけるメディアは、新聞・テレビ・雑誌・ラジオのマスメディア、OOH・交通広告・フリーペーパーなどのプロモーションメディア、そしてインターネットメディアというカテゴリーで整理されてきました。しかし、インターネットメディアが急速に発展していく中で、異なる視点があるのではないかと言われて登場したのが「PESOモデル」です。PESOモデルをどのようにメディアプランニングに活かすか、解説をします。
PESOモデルでメディアを整理する
PESOモデルはアメリカのPRパーソンであるGini Dietrich氏によって提唱されました。日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)のウェブサイトには、以下のように説明がされています。
PESO(Paid, Earned, Shared, Owned)
統合メディアコミュニケーションのフレームワーク。PはPaid mediaで「買う」メディア(広告やイベントのスポンサーシップなど)。EはEarned mediaで「獲得する」メディア(ニュースメディアにおけるパブリシティなど)。SはShared media で「共有される」メディア(ソーシャルメディアやブログなど)、OはOwned mediaで「所有する」メディア(コーポレートサイト、ブランドのソーシャルメディアアカウント、広報誌、店舗やミュージアム施設など)。
https://prsj.or.jp/faqs/peso%EF%BC%88paid-earned-shared-owned%EF%BC%89/
Paid Media(ペイドメディア)
ペイドメディアは、情報の掲載を第三者に依頼してその対価を支払うメディアのことです。一般的な広告枠はここに該当します。純広枠と呼ばれるサイズや掲載期間を指定して掲載するものが中心ですが、メディアのコンテンツのフォーマットを踏襲して制作されるタイアップ記事広告や、検索キーワードにマッチさせて広告を表示させるリスティング広告などもあり、ペイドメディアは多様化をしています。文責が企業側にあるため内容をコントロールでき、ターゲットをより細かく設定することも可能となっています。メディアプランニングを行う上で、ベースとなる役割を担います。
Earned Media(アーンドメディア)
アーンドメディアは第三者によってメディアに取り上げられることで、テレビの情報番組で紹介されたり、雑誌の特集で記事になったり、ネットニュースでピックアップされることを指します。掲載に対する対価は支払われないため、広告とは明確に区別されます。対象は編集機能を持つ報道機関と呼べるようなメディアに限定されており、SNSや掲示板などは含みません。
信頼性が高く伝わりやすいことは魅力的ですが、メディアの制作サイドへの働きかけをすることに留まるため、計画的に露出をすることはできず、再現性が低くて不確実性があります。
Shared Media(シェアードメディア)
シェアードメディアは主にSNSや掲示板などが中心となり、生活者間での共有や評価による情報の広がりを指します。自然発生的に情報が広がることがほとんどで、一度拡散が始まると、爆発的に増加する可能性があります。影響力は年々増しており、経済や政治すらも変えていく力があると言われています。
企業にとっては、シェアードメディアで広がる情報はポジティブなものであれば良いのですが、ネガティブな意見も含む場合には炎上につながる危険性もあります。内容をコントロールしていくことはとても難しく、意図しない方向に情報拡散が起こってしまうことが懸念点です。
Owned Media(オウンドメディア)
オウンドメディアは、自社が編集権を持つメディアです。狭義では企業やブランドのウェブサイトやブログが該当しますが、広義ではイベントや店舗なども含みます。
オウンドメディアは企業が直接編集権を持つため、自由にコンテンツを加工して発信することができます。もちろんセールスに直結するような告知も可能です。
ただし、社員や取引先、既存顧客などが閲覧してくれることはあっても、自社を知らない見込み顧客が自然に閲覧をしてくれる可能性は低くなります。広告やキャンペーン、検索経由などを活用することで、閲覧者数を増やして行きます。
情報が流通するようにPESOを組み合わせて活用する
PESOは、どれかだけを使いこなせれば良いわけではありません。例えば、下記の例のようにPESOを横断しながら、情報が流通していくことをプランニングしていきます。
オウンドメディア → ペイドメディア
自動車メーカーA社は、新車種のイメージを表現伝えるために動画広告(ペイドメディア)を活用してビジュアルを認知させます。動画広告を閲覧した生活者に車種の機能や価格帯を伝えるために、自社のウェブサイトの新車種用特設ページ(オウンドメディア)に集客します。
アーンドメディア → シェアードメディア
飲料メーカーB社は、熱心なファンが多いネットニュースに、記事(アーンドメディア)として取り上げられやすいタレントを活用した企画を立てて、取材する機会を提供することをフックに編集部にアプローチをします。ネットニュースならではと言える切り口で記事化されることに成功すると、その記事がファンのツイッターでリツートされ(シェアードメディア)、フォロワーからフォロワーに情報が伝わり、広く拡散がされていきます。
オウンドメディア → シェアードメディア → アーンドメディア → ペイドメディア
スキンケアメーカーC社は、自社のウェブサイト(オウンドメディア)で肌の悩みをSNSで投稿するキャンペーンを実施します。SNSの運用型広告(ペイドメディア)を活用して告知を行い、指定されたハッシュタグをつけてツイッター、インスタグラム上で投稿する(シェアードメディア)ことを促します。
ハッシュタグがついたSNSの投稿が集まったところで、それを生活者の声としてまとめて、第三者機関によるネット調査の結果などと合わせて、ニュースサイトに最新スキンケア事情資料として配布をします。子育て世代が読者の中心である生活情報サイトには個別に訪問して資料の内容を説明し、確実に記事化(アーンドメディア)されることを目指します。
SNSの投稿やニュースサイトの記事を通じて肌の悩みに対する意識を高めたところで、バナー広告(ペイドメディア)を活用して肌の悩みをサポートするメーカーであることを伝えて、自社のECサイトの商品販売ページ(オウンドメディア)への集客を図ります。
まとめ
インターネットと通信環境の発展と、PCやスマホなどのデジタルデバイスを誰もが持つ時代になり、メディアを介した情報流通構造は複雑化しました。メディアとメディアの間を情報が行き来することで、認知度や理解の深さも変わるようになります。PESOモデルを活用して、どのメディアを基点に、どのように情報を流通させるのかという視点を持つと、メディアプランニングの精度を高めることができます。
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