現在、先進諸国を含む多くの国ではインターネット広告がその国での最大広告メディアになり、さらにはビジネス全体の変革を目指すDX(デジタルトランスフォーメーション)への発展が期待されるマーケティング施策の中核サービスとして定着して来ました。
しかし2022年以降、人々の生活に強力な影響を与えすぎるまでになったインターネット広告に歯止めをかける法改正と、サービスの中核を担うプラットフォーマーたちの自主規制により今まで出来ていたことが禁止されるなど大幅なゲームチェンジが起きています。これまでインターネット広告を実施してきた企業も大幅な方針変更を余儀なくされる可能性があります。今まで出来てきたことができなくなる。今まで蓄積したデータがリスクになる。今までの成功パターンが通用しなくなるなどのかつてない大変革です。
ここでは数回に分けてインターネット広告の現状を説明し、直面している問題点を解説していきます。
インターネットのハードル① ルール変更
インターネット広告市場の概況
2020年の日本広告費[1]は新型コロナによる日本経済減速の影響を受け、それまでの成長から一転して前年比88.8%(6兆1,594億円)と大幅な減少に転じました。しかしその中にあってインターネット広告は前年比105.9%(2兆2,290億円)と堅調に推移し、前年に引き続きテレビ広告を上回り日本で一番売り上げの多い広告メディアでした。
メディアの広告価値はそのメディアに接触するユーザー数と接触時間の積和で評価されることが多いですが、さらにはそのユーザーの中にどれだけ広告主にとっての見込み顧客が多く含まれるかで各広告主にとっての価値が決まります。
総務省の調査[2]によるとインターネットの利用時間は全世代においては平日1日の平均利用時間は126.2分とテレビの161.2分に次いで第2位ですが、10代、20代、30代においてはテレビよりもインターネットの平均利用時間が上回ります。これは日常的感覚でも納得できるかと思いますが、ではなぜ利用時間2位のインターネット広告の総売り上げが1位のテレビ広告を凌駕しているかと言えば、それはテレビ以外のメディアの広告需要をインターネット広告が取り込んで来たからと考えられます。
実際日本の広告費は、現在の統計が始まった2005年とコロナ禍直前の2019年を比較してみると総額では1.6%しか伸びておらず、テレビ広告も0.8%減とほぼ横ばいなのに対してインターネット広告は557%と大幅に躍進し、前述の通りテレビ広告の総額を上回りました。その代わり新聞、雑誌、折込チラシ、ダイレクトメールなど特定の地域、性年齢、趣味嗜好、業界などを絞り込めたセグメントメディアの広告売上が激減し、より簡単に特定のセグメントに広告を配信できるインターネット広告が躍進を遂げました。
一般的にユーザー一人当たりに広告メッセージを配信するコストはテレビ広告が一番安く効率的ですが、特定のエリア、ターゲットに正確に濃密に広告を配信するのはインターネット広告が得意とするところで、少額でのテスト配信や細分化されたターゲットへの広告の出し分けなどはインターネット広告でこそ実施可能な施策です。
インターネット広告がこれだけの価値を持ったことで、当然価格も上がり、今や「ネットならただでしょ?」などという言葉は耳にすらしなくなりました。そしてメディア価値が上がることで、社会的責任やリスクも比例して高まってきたのです。
インターネットのハードル② メディア価値増大に伴う責任とリスク
インターネット広告のハードル
これほどまでに便利さが評価され成長しているインターネット広告を、まだ本格的に実施していない企業があるとしたら、それはどのような問題があるからでしょうか。
まずはどのメディアに広告を掲載するのが良いのかわからない。それ以前にインターネットメディアが多すぎてどこを選べばよいか判断に迷うというのはよく聞くお悩みです。
電波帯域割り当ての認可をもらわないと開局できないテレビ・ラジオや、大規模な印刷工場と販売網が必要な新聞・雑誌とは違い、パソコン1台社員一人でも開業できるインターネットメディアは把握できないほどの無数のメディアがインターネット空間に存在します。あなたのビジネスに興味を持ってくれる見込み顧客と、一体どのインターメディア上で出会うことができるでしょうか。
インターネットのハードル③ 無数にある「メディア」の選択肢
成功には優秀なパートナーを選ぶこと
広告会社が提案する施策を評価判断するために広告主自身も知識を身につける必要がありますが、古い資料やあやふやなネット情報に記載されていることを鵜呑みにするとリスクがあることに注意してください。この分野は利用者のトレンド、関心も移ろいやすいですし、新たな犯罪の手口や法律の整備、セキュリティ環境も変化し続けています。
また、インターネット広告媒体の多くは個人商店などのスモールビジネスにも対応できるように、セルフサービス方式で直接ネット経由でも広告を受注できる機能を有しています。理解を深めるために広告主のご担当者も一度は操作運用してみることをお勧めしますが、前述の通りあまたあるインターネット広告のメディアの中から最適のメディアを選ぶ効率と安全性・安定性を考えると、市場の変化に精通していて技術と経験がある、信頼できる広告会社をパートナーとして選んで相談することが結局近道とはいえないでしょうか。
ここでは詳細の説明はしませんが、SNSによる情報発信施策についても一度そのパートナーにご相談されてはどうでしょう?他のメディアでの広告とのバランスの中でSNS発信についても総合的にその効率を提示してくれるはずです。自社の社員が発信業務を担えばSNSプラットフォーマーへの掲載料の支払いは発生しませんが、コンテンツ制作や施策の管理運営を行う社内コストは当然発生します。「内製でやればタダで済む」と言って社内に過剰な負担をかけていては本業にリスクが及びかねません。
インターネットのハードル④ 「自分でできる」が諸刃の剣にも
まとめ
インターネット広告は今や広告の中心と言っても過言ではありません。ただ一方で、急速に成長した分野だからこその難しさやリスクもあることは事実です。
こんな話も聞きます。せっかく苦労してインターネット広告に投資する計画を立案し会社に上申したところ、日頃インターネットをあまり利用されない経営層に「スマホでモノを売り契約を取る?営業の基本は足と腰だ。まじめにやらんか!」などと理解されないまま頓挫してしまった…。
実はこれこそ、広告会社の出番です。投資効果を見える化した上で説得力のあるインターネット広告計画を立案、さらには別のメディアとの連動も考案し、意思決定者にプレゼンすることこそが、広告会社に期待される役割です。ぜひここでの記事を他の項も含めてご参考いただき、信頼できるパートナーを見つけてください。